ヤング聖書分析コンコーダンス:原典の言語から聖書を深く読み解くツール
聖書をより深く、正確に理解したいと願う読者にとって、翻訳された言葉の背後にある「原典の意味」を知ることは不可欠です。ヤング聖書分析コンコーダンス(Young's Analytical Concordance to the Bible)は、キング・ジェームズ訳(KJV)をベースに、英語の単語がどの原典言語(ヘブライ語、アラム語、ギリシャ語)から訳されたのかを分析的に示した画期的な索引書です。
1879年にロバート・ヤングによって初めて出版されたこの著作は、単なる単語索引にとどまらず、言語的な橋渡しをすることで、専門的な訓練を受けていない一般の読者であっても、原典に基づいた聖書解釈に辿り着けるよう設計されました。
Key Facts
- 世界初の多言語コンコーダンス:英語だけでなく、原典であるヘブライ語、アラム語、コイネ・ギリシャ語を紐付けた構成。
- 膨大な参照データ:約311,000件の参照箇所を収録し、それぞれの原典における意味と発音を提示。
- 分析的なアプローチ:同じ英語単語であっても、原典で異なる単語が使われている場合は、それらを明確に区別して分類。
- 実用的な設計:原典の単語、その根本的な意味、およびその単語が使用されている全箇所をひと目で確認可能。
コンコーダンスとしての独自性と目的
一般的に「コンコーダンス(聖書索引)」とは、特定の単語が聖書のどこに登場するかをアルファベット順にリスト化したものです。しかし、多くの索引書が単一言語(例:英語のみ)で構成されていた時代に、ヤングは「多言語的なアプローチ」を導入しました。
ヤングの目的は、ウィリアム・ティンダールの精神に基づき、学識のない人々であっても原典に触れることで、翻訳による誤解を避け、より正しい聖書理解を得られるようにすることでした。彼は、英語訳で同じ単語にまとめられてしまった異なる概念を、原典の単語に遡ることで明確に区別できる仕組みを構築しました。
また、本書は「完全な(Complete)」コンコーダンスであり、冠詞や接続詞、前置詞などの機能語を除いた、実質的な意味を持つすべての単語を網羅しています。これにより、ユーザーは効率的に意味のあるワードスタディを行うことができます。

構成と機能的な特徴
本書は単なる索引ではなく、複数のセクションを通じて多角的な研究をサポートしています。
分析コンコーダンス(Analytical Concordance)
メインセクションでは、KJVの英語単語が索引となっており、その下に対応する原典言語の単語(翻字および原文字)と、その「根本的な意味」が記されています。これにより、ある英語単語が原典のどの言葉から来ているのか、そして同じ原典の言葉が他の箇所ではどのように訳されているのかを即座に把握できます。
インデックス・レキシコン(Index Lexicons)
後にウィリアム・B・スティーブンソンによって追加されたこのセクションは、原典言語からのアプローチを可能にします。旧約聖書のヘブライ語・アラム語、および新約聖書のギリシャ語がアルファベット順に並んでおり、それぞれの単語が英語でどのように翻訳されたか、またその頻度はどのくらいかがリスト化されています。

その他の付録
版によっては、聖書解釈のヒントとなるガイドや、聖書に登場する固有名詞の現代的な発音と原典形式をまとめたリストなどが含まれています。
エディションの変遷と展開
ヤングのコンコーダンスは、イギリス版とアメリカ版で展開され、それぞれ異なる版数管理がなされてきました。
| 区分 | 主な特徴・変更点 | 備考 |
|---|---|---|
| イギリス版 | 1879年初版。第7版(1900年)でW.B.スティーブンソンによる全面改訂。 | タイトルは『Analytical Concordance to the Holy Bible』 |
| アメリカ版 | 第20版(1910年)が英第7版に相当。聖書地域の探検に関する補遺などが追加。 | タイトルは『Analytical Concordance to the Bible』 |
| 後年版 | 1979年版では聖書正典に関する補遺が追加されるなど、継続的に更新。 | 1990年までに20回以上の改訂が行われた |
Frequently Asked Questions
ストロングコンコーダンスとの違いは何ですか?
ストロングコンコーダンスは、すべての単語(冠詞や前置詞を含む)を網羅する「網羅的(Exhaustive)」な索引であり、各単語に番号を割り振って辞書と連携させています。対してヤングは、実質的な意味を持つ単語に絞った「完全な(Complete)」索引であり、索引ページ内で直接原典の意味を確認できる分析的な構造を持っています。
この本を使うとどのようなメリットがありますか?
英語訳(KJV)で同じ単語が使われていても、実は原典では異なる意味の単語が使われている場合があります。ヤングのコンコーダンスを使えば、それらを瞬時に区別でき、翻訳のニュアンスに惑わされずに原典の意図に近い理解を得ることができます。
インデックス・レキシコンはどう活用すればよいですか?
まずメインの索引で特定の箇所の原典単語を特定し、次にインデックス・レキシコンでその原典単語が聖書全体でどのように訳し分けられているかを確認します。これにより、その単語が持つ意味の幅や、翻訳の妥当性を深く研究することが可能です。
現代の聖書研究でも利用価値はありますか?
はい。KJVをベースにしていますが、原典言語への橋渡しという構造は普遍的です。ハーバード神学校などの学術機関でも、原典研究の基礎的なステップとして推奨される手法が盛り込まれています。
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