BDB辞典(Brown-Driver-Briggs)とは:聖書ヘブライ語研究の標準的リファレンス

聖書研究や古代近東の言語学において、欠かすことのできない権威ある辞書が存在します。それがBDB辞典(正式名称:A Hebrew and English Lexicon of the Old Testament)です。著者であるフランシス・ブラウン、サミュエル・ロレス・ドライバー、チャールズ・オーガスタス・ブリッグスの頭文字を取って、一般的に「BDB」と呼ばれています。

この辞典は、旧約聖書で使用されているヘブライ語およびアラム語を詳細に解説した参照資料であり、1906年の初版刊行以来、世界中の学者や学生に利用されてきました。単なる単語の意味だけでなく、言語的な背景を深く掘り下げた構成となっています。

Key Facts

  • 正式名称: A Hebrew and English Lexicon of the Old Testament
  • 通称: BDB(著者3名の名前から命名)
  • 初版刊行: 1906年(イギリス)
  • 対象言語: 聖書ヘブライ語および聖書アラム語
  • 構成: 3文字の語根(ルート)に基づくアルファベット順
  • ベース: ヴィルヘルム・ゲゼニウスのヘブライ語・ドイツ語辞典(エドワード・ロビンソン訳)

BDB辞典の成り立ちと構造

BDB辞典はゼロから作られたわけではなく、著名な言語学者ヴィルヘルム・ゲゼニウスが編纂したヘブライ語・ドイツ語辞典を基盤としています。エドワード・ロビンソンによる英訳を経て、フランシス・ブラウンが主編集者を務め、ドライバーとブリッグスの協力を得て完成されました。

最大の特徴は、その検索方式にあります。ヘブライ語の特性である3文字の語根(単語の核心となる意味を持つ基本単位)に従ってアルファベット順に整理されており、体系的な語彙分析が可能です。また、後年の版では、利便性を高めるために「ストロング番号」(聖書の各単語に割り振られた参照番号)が付加されたものも出版されています。

BDB辞典の基本仕様
項目 詳細内容
著者 Francis Brown, Samuel Rolles Driver, Charles Augustus Briggs
ページ数 1,185ページ
ISBN 1-56563-206-0
OCLC番号 13518063
言語 英語(解説)、ヘブライ語・アラム語(見出し語)

現代における展開とデジタル化

100年以上前の著作でありながら、BDBはその正確性と網羅性から現代でも高く評価されています。しかし、言語学の進展に伴い、内容の更新が求められてきました。そこで2013年、セミティスト(セム語学者)のジョアン・ハケットとジョン・ヒューナーガードが、全米人文科学基金(NEH)の助成を受け、BDBの改訂および電子版の作成に着手しました。

このプロジェクトによって誕生した「Biblical Hebrew and Aramaic Lexicon」は、ウェブサイト(Semitica Electronica)やプリント・オン・デマンド形式で提供される予定となっており、古典的な知見と最新の研究成果が融合した形での継承が進んでいます。

Frequently Asked Questions

BDB辞典は何のために使われますか?

主に旧約聖書の原文(ヘブライ語およびアラム語)を正確に解釈し、単語の本来の意味や用法を調査するために使用されます。神学的な研究や聖書翻訳の基礎資料として不可欠なツールです。

「語根(ルート)」による整理とはどういう意味ですか?

ヘブライ語の多くの単語は、3つの基本文字(語根)から派生して作られます。BDBはこの共通の語根ごとに単語をグループ化して掲載しているため、関連する意味を持つ単語をまとめて調べることができます。

ゲゼニウス辞典との関係は?

BDBは、ヴィルヘルム・ゲゼニウスが作成したヘブライ語・ドイツ語辞典をベースにしています。ゲゼニウスの学術的な成果を英語圏の利用者が使いやすい形に再構成し、発展させたものがBDBであると言えます。

現代でも利用可能な形式はありますか?

はい。伝統的な印刷版のほか、インターネットアーカイブでの閲覧や、Wikisourceなどのデジタルテキスト形式で公開されています。また、最新の改訂版を目的とした電子レキシコンの開発も行われています。