南米の雄大なアンデス山脈を貫き、アルゼンチンのサルタとチリのアントファガスタを結ぶサルタ・アントファガスタ鉄道(通称:ウアイティキナ)は、世界でも類を見ない過酷な地形を走る鉄道線路です。標高4,000メートルを超える高地を走行し、太平洋へと至るこの路線は、単なる輸送手段を超え、工学的な挑戦の結晶とも言えるルートを辿ります。
この路線は、アルゼンチン側の「フェロカリル・ヘネラル・マヌエル・ベルグラーノ」と、チリ側の「フェロカリル・デ・アントファガスタ・ア・ボリビア(FCAB)」という2つの鉄道網で構成されています。かつては両国を結ぶ重要な動脈であり、現在は観光列車や貨物輸送が中心となっています。

Key Facts
- 総延長:941km(アルゼンチン側571km、チリ側330km)
- 最高地点:ラ・ポルボリジャ橋(標高4,220m)で世界第5位、南米第3位の高さ
- 軌間:1,000mm(メーターゲージ)
- 主要目的:現在は鉱物資源の輸送および観光利用が主
- 象徴的な列車:「雲上の列車(Tren a las Nubes)」が有名
歴史的背景と建設の歩み
この壮大なプロジェクトは1921年に始動しました。主な目的は、アルゼンチン北部とチリを連結させ、地域に点在するホウ砂鉱山などの資源開発を促進することでした。設計を担ったのはアメリカ人エンジニアのリチャード・モーリーであり、彼の功績を称えて路線内には「インヘニエロ・モーリー駅」が設置されています。

建設は困難を極めましたが、1932年に最高地点となるラ・ポルボリジャ高架橋が完成。その後、1947年にチリ側区間が開通し、1948年2月20日に全線がつながりました。「ウアイティキナ」という愛称は、もともと計画されていた古代のアンデス峠の名前に由来していますが、チリ側の要望によりルートが変更され、現在の形態となりました。
ダイナミックなルートと技術的特徴
路線はサルタ市から始まり、レルマ渓谷を経て急激に標高を上げます。急勾配を克服するため、「ジグザグ(スイッチバック)」と呼ばれる特殊な走行形態がエル・アリサルやチョリジョスで採用されているほか、タクアラからディエゴ・デ・アルマグロの間には螺旋状のループ線が設けられています。
さらに、プナ・デ・アタカマの高原地帯を抜け、塩湖であるサラル・デ・アリサロを横断します。国境付近には、アルゼンチンとチリの境界線上に位置する二国間駅「ソコンパ駅」が存在します。その後、列車はアタカマ砂漠を西へと進み、最終的に太平洋に面した港湾都市アントファガスタに到達します。
主要区間と標高の概要
| 地点・駅名 | 国 | 標高 (m) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| サルタ | アルゼンチン | 1,187 | 路線の起点 |
| サン・アントニオ・デ・ロス・コブレス | アルゼンチン | 3,774 | プナ・デ・アタカマの中心地 |
| ラ・ポルボリジャ | アルゼンチン | 4,220 | 全線最高地点(高架橋) |
| ソコンパ | 国境 | 3,876 | 二国間駅 |
| アントファガスタ | チリ | 119 | 太平洋沿岸の終点 |
現在の運行状況と輸送内容
現代におけるこの路線の主役は貨物輸送です。アタカマ地域に豊富に存在するリチウム、ホウ砂、塩、パールライトなどの鉱物資源を運ぶ列車が頻繁に走行しています。
旅客サービスについては、サルタからラ・ポルボリジャまでを走る観光列車「雲上の列車(Tren a las Nubes)」が世界的に有名です。かつてはブエノスアイレスやトゥクマンまでを結ぶ混合列車(Tren Mixto)が運行していましたが、現在は廃止されています。ただし、2022年にはサルタ州政府とチリの鉄道会社フェロノールが、ソコンパ峠を経由する旅客サービスの再開に向けて協議を行うなど、国際的な旅客輸送の復活への期待が寄せられています。
Frequently Asked Questions
この鉄道の最大の特徴は何ですか?
最大の特徴は、標高4,220メートルのラ・ポルボリジャという極めて高い地点を通過することです。これにより、世界で5番目に高い鉄道路線として知られています。
「雲上の列車」とはどのような列車ですか?
アルゼンチンのサルタから最高地点のラ・ポルボリジャまでを走行する観光列車です。アンデスの絶景を楽しむことができるため、多くの観光客が訪れます。
どのような貨物が運ばれていますか?
主にアタカマ砂漠地帯で採掘されるリチウム、ホウ砂、塩、パールライト、ウレキサイトなどの鉱物資源や、ブタンなどが輸送されています。
現在、アルゼンチンとチリの間を旅客列車で移動できますか?
現在は定期的な国際旅客サービスは運行されていません。しかし、近年、両国間で旅客サービスの再開に向けた計画や協議が進められています。
路線の建設に携わった重要な人物は誰ですか?
アメリカ人エンジニアのリチャード・モーリーです。彼の設計によってこの困難なルートが実現し、路線内には彼の名を冠した駅も存在します。
References
- (in Spanish) Salta-Socompa: 1999 timetable (source for km distances, not all stations shown)
- Benedetti, Alejandro (December 2005). "El ferrocarril Huaytiquina, entre el progreso y el fracaso: Aproximaciones desde la geografía histórica del territorio de los Andes" [The Huaytiquina railroad, between the progress and the failure. Approaches from historical geography of territorio de los Andes]. Revista Escuela de Historia (in Spanish) (4): 123–165.
- Timetable Güemes-Salta-Socompa
- (in Spanish) Historical infos about the "Ramal C-14"
- "Infos, map and km at Tren a las Nubes website". Archived from the original on 2016-01-25. Retrieved 2012-04-07.
- (in Spanish) Historical infos, photos and maps at amigosdeltren.cl Archived 2011-01-07 at the
- Tren de las Nubes - Visit Argentina
- (in Spanish) Questions and answers about the Ramal C-14
- El tren de pasajeros que une a Salta con Chile está cada vez más cerca de volver a funcionar on Weekend magazine, 23 Mar 2022
- "meseta" in means plateau
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