世界的なスポーツとしてのポロの地位を確立し、かつてのオリンピック種目としての栄光を取り戻す。そんな強い志から始まったのが、国際ポロ連盟(FIP: Federation of International Polo)です。1980年代初頭、アルゼンチンポロ協会の会長であったマルコス・ウランガ氏の提唱により、世界各国のポロ競技国を統合する組織の必要性が議論されました。ブエノスアイレスでの会合を経て、1982年4月に正式に設立されたFIPは、初代会長にウランガ氏を迎え、競技の国際的な普及と標準化に乗り出しました。
Key Facts
- FIPの設立: 1982年4月、マルコス・ウランガ氏の主導によりブエノスアイレスで創設。
- 初の世界選手権: 1987年にアルゼンチンのブエノスアイレスで開催。
- 公平性の追求: 馬の能力差をなくすため、抽選で割り当てられた「分割ストリング(馬のグループ)」方式を導入。
- IOC認定: 1996年のアトランタ五輪にてIOC認定スポーツとなり、FIPが統括団体として認められた。
- 最多優勝国: アルゼンチンが5度のタイトル獲得を誇る。
ワールドチャンピオンシップの誕生と独自のルール
FIPが設立後、最初に取り組んだ大きなプロジェクトが「ワールドチャンピオンシップ」の開催でした。1987年4月、アルゼンチンのカンポ・アルヘンティーノ・デ・ポロで第1回大会が幕を開けます。当時の運営陣は、世界的にハイゴール(高ハンディキャップ)チームを揃えることの難しさを考慮し、出場チームのレベルを10〜14ゴールに制限するという現実的な判断を下しました。
また、ポロにおいて勝敗を大きく左右する「馬の質」という不公平な要素を排除するため、画期的なシステムを導入しました。それが、あらかじめ用意された28頭の馬を抽選で各チームに割り当てる「分割ストリング」方式です。これにより、純粋な技術とチームワークが競われる環境が整えられました。
オリンピックへの回帰と国際的な認知度の向上
1989年にベルリンで開催された第2回大会は、象徴的な意味を持つものでした。会場となったマイフェルト・スタジアムは、かつてポロがオリンピック種目として最後に実施された場所だったからです。この大会ではアメリカがイングランドを7-6で破り優勝し、米国におけるFIPの知名度が飛躍的に向上しました。
その後、FIPは国際オリンピック委員会(IOC)への働きかけを強めます。1993年からマイケル・シュルツ=トーレン氏がIOC代表としてフアン・アントニオ・サマランチ会長らと交渉を重ねた結果、1996年のアトランタオリンピックにおいて、ポロは「IOC認定スポーツ」としての地位を獲得しました。さらに2年後には、FIPが世界的な統括団体として完全に承認されるに至りました。
大会の変遷と覇権の争い
世界選手権は回を追うごとに競争が激化し、多様な国々が台頭しました。1992年のチリ大会ではアルゼンチンが優勝し、1995年のスイス・サンモリッツ大会ではブラジルが劇的な勝利を収めて王座に就きました。1998年のカリフォルニア大会では、アルゼンチンが優勝し、62年ぶりにオリンピックトロフィーが授与されるという歴史的な瞬間を迎えました。
2000年代に入ると、予選システムが厳格化されました。2001年のメルボルン大会では、24チームによる激しいゾーンプレーオフを勝ち抜いた8チームのみが出場し、ブラジルが僅差でオーストラリアを破りました。2004年のフランス大会でもブラジルがサドンデス(延長戦)の末にイングランドを撃破し、強さを誇示しました。
その後、2008年にはチリがメキシコ大会で優勝し、2011年のアルゼンチン大会では地元アルゼンチンがブラジルを破って頂点に立ちました。この大会ではイタリアがイングランドに勝利し、史上初めて表彰台に登る快挙を成し遂げています。

近年の大会では、2015年のチリ大会でホスト国のチリがアメリカをオーバータイムで破り優勝したほか、2017年にはアルゼンチンが5度目のタイトルを獲得しました。そして第12回大会では、スペインがアメリカを11-10で破り、悲願の初優勝を果たしています。
世界選手権の歴史まとめ
| 開催年 | 開催地 | 優勝国 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 1987年 | アルゼンチン | アルゼンチン | 第1回大会 |
| 1989年 | ドイツ | アメリカ | ベルリンのマイフェルトで開催 |
| 1992年 | チリ | アルゼンチン | 2度目の優勝 |
| 1995年 | スイス | ブラジル | ブラジル初優勝 |
| 1998年 | アメリカ | アルゼンチン | オリンピックトロフィーが授与 |
| 2001年 | オーストラリア | ブラジル | ゾーンプレーオフ制を導入 |
| 2004年 | フランス | ブラジル | サドンデスで決定 |
| 2008年 | メキシコ | チリ | チリ初優勝 |
| 2011年 | アルゼンチン | アルゼンチン | イタリアが初の3位入賞 |
| 2015年 | チリ | チリ | オーバータイムで決定 |
| 2017年 | (記載なし) | アルゼンチン | 通算5回目の優勝 |
| 第12回 | (記載なし) | スペイン | スペイン初優勝 |
Frequently Asked Questions
FIPとはどのような組織ですか?
1982年に設立された国際ポロ連盟(Federation of International Polo)の略称で、ポロの国際的な普及と運営を担う世界的な統括団体です。
ワールドチャンピオンシップで「分割ストリング」が導入された理由は何ですか?
チーム間で馬の能力に差があることで結果が左右されるのを防ぎ、競技の公平性を確保するためです。抽選で同等の馬を割り当てることで、選手の技術力を正当に競わせる狙いがありました。
ポロは現在オリンピック種目なのですか?
1996年にIOC(国際オリンピック委員会)から「IOC認定スポーツ」としての地位を認められ、FIPがその統括団体として承認されました。
これまで最も多く優勝している国はどこですか?
アルゼンチンです。2017年大会までに通算5回の優勝を果たしています。
大会の出場資格はどうやって決まりますか?
時代により異なりますが、例えば2001年大会では24チームが参加した非常に競争率の高いゾーンプレーオフを経て、上位8チームが本大会への出場権を獲得しました。