サレー紋章官(特別職)の歴史と役割
イギリスの伝統的な紋章制度において、サレー紋章官(Surrey Herald of Arms Extraordinary)は、王室に仕える紋章官の一人として重要な位置を占めていました。この職位は、一般的な紋章院(College of Arms)の構成員とは異なる「特別職(Extraordinary)」という形態をとっていた点が特徴です。
紋章院は、イングランド、ウェールズ、および北アイルランドにおける紋章の管理・認定を行う権威ある機関です。サレー紋章官は、王室の官職でありながら、ロンドンの紋章院という法人組織の正式なメンバーではないという特殊な立ち位置にありました。
主要な事実(Key Facts)
- 設立年: 1856年に創設された。
- 管轄区域: イングランド、ウェールズ、北アイルランド。
- 組織上の位置づけ: 王室の官職であるが、紋章院の法人メンバーではない。
- 現在の状況: 2001年3月10日以降、空席となっている。
- 紋章の由来: 13世紀後半のサレー伯爵ジョン・ド・ウォレンの紋章に基づいている。
職位の変遷と歴代の就任者
サレー紋章官の職は、1856年にエドワード・スティーブン・デンディが初代として就任したことで始まりました。その後、数十年おきに後任者が任命され、20世紀末までその伝統が受け継がれました。
直近の就任者はサー・ウォルター・ジョン・ジョージ・ヴェルコであり、1980年から2001年までこの職を務めました。彼の退任後、このポストは現在まで空席のままとなっています。
| 氏名 | 就任日 |
|---|---|
| エドワード・スティーブン・デンディ | 1856年8月23日 |
| チャールズ・アルバン・バックラー | 1880年7月16日 |
| サー・ウォルター・ジョン・ジョージ・ヴェルコ | 1980年7月1日 |
紋章のデザインと象徴的意味
サレー紋章官の職印(バッジ)は1981年に正式に割り当てられました。そのデザインは、紋章学的な伝統を色濃く反映しています。
具体的には、銀色の「S」字が連なった紋章官のカラー(Herald's Collar)の中に、金と青の市松模様(chequy Or and Azure)のタバード(紋章官が着用する伝統的な上着)が描かれています。この市松模様は、13世紀後半に活躍したサレー伯爵ジョン・ド・ウォレンの紋章に由来します。
この血統はその後、フィッツアラン家を経て、ノーフォーク公爵および紋章卿(Earl Marshal)を務めるハワード家に受け継がれたため、サレー紋章官の意匠には深い歴史的連続性が込められています。
よくある質問(FAQ)
サレー紋章官は紋章院の正式なメンバーでしたか?
いいえ。王室に任命された官職ではありましたが、ロンドンにある紋章院(College of Arms)という法人組織の構成員ではありませんでした。
この職位は現在も存在していますか?
職位自体は存在しますが、2001年3月10日にサー・ウォルター・ジョン・ジョージ・ヴェルコが退任して以来、現在は空席となっています。
紋章のデザインにはどのような意味がありますか?
金と青の市松模様は、13世紀のサレー伯爵ジョン・ド・ウォレンの紋章に基づいています。これは、後のノーフォーク公爵家へとつながる歴史的な系譜を象徴しています。
サレー紋章官の管轄範囲はどこまででしたか?
イングランド、ウェールズ、および北アイルランドの地域を管轄していました。