Velocity of seismic waves in the Earth versus depth.[1] S-waves (seismic shear waves) cannot propagate in liquids, leading to negligible velocity in the liquid outer core. The seismic velocities very near the surface (≲ 220±30 km) are markedly lower than at greater depths, demarking the LVZ.
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低速度層LVZアセノスフェアリソスフェア地震波

低速度層(LVZ)が解き明かす地球内部の構造とダイナミクス

🗓 2026年8月11日

地球の内部構造を理解する上で、上部マントルの境界付近に存在する低速度層(Low-Velocity Zone: LVZ)は極めて重要な役割を果たしています。ここは、リソスフェア(岩石圏)とアセノスフェア(岩流圏)の境界付近に位置し、周囲の層に比べて地震波の伝播速度が著しく低下している領域です。この特異な層の存在は、プレートテクトニクスのメカニズムや地殻の形成過程を解明する鍵を握っています。

Key Facts

  • 位置: 地下約80kmから300kmの深さに存在し、リソスフェアの底部に位置する。
  • 特徴: S波(横波)の速度が3〜6%低下し、電気伝導率が高くなる。
  • 原因: わずか1%程度の部分溶融(岩石が一部溶けている状態)が主因と考えられている。
  • 影響要因: 水や二酸化炭素の混入が、ケイ酸塩鉱物の融点を下げ、溶融を促進させる。
  • 例外: 地温勾配が低い大陸シールド(安定地塊)の下では、この速度異常が見られない。

低速度層の物理的特性と検出

LVZの最大の特徴は、地震波、特にS波(せん断波)の速度が局所的に低下することです。S波は液体中を伝播できない性質を持つため、この速度低下は内部に液体成分が含まれている可能性を強く示唆しています。一方、P波(縦波)ではこの現象が顕著に現れない地域もあり、波の種類によって検出状況が異なります。

また、この領域では地震波の減衰を示す「Q値(品質係数)」が低下し、電気伝導率が上昇するという物理的変化が見られます。深さ約220±30km付近には、速度が再び上昇に転じる境界があり、これはレマン不連続面と呼ばれています。

Velocity of seismic waves in the Earth versus depth.[1] S-waves (seismic shear waves) cannot propagate in liquids, leading to negligible velocity in the liquid outer core. The seismic velocities very near the surface (≲ 220±30 km) are markedly lower than at greater depths, demarking the LVZ.

この速度低下の程度や分布する深さは、地域の地質学的特性(テクトニック・プロビンス)によって異なります。例えば、北米のテクトニック地域やシールド地域、北大西洋地域では、それぞれ異なる地震波特性を示します。

Velocity of seismic S-waves in the Earth near the surface in three tectonic provinces: TNA= Tectonic North America SNA= Shield North America & ATL = North Atlantic.[8]

LVZの正体:なぜ速度が低下するのか

LVZが形成される理由については、主に2つの説があります。一つは、岩石が部分的に溶けている部分溶融の状態にあるという説。もう一つは、温度と圧力の変化による熱境界層の影響で、固体状態のままでも弾性波の速度が低下するという説です。

現在の有力な解釈では、ごく少量(約1%)の溶融物が存在することで、観測される速度低下や電気伝導率の上昇が説明できるとされています。通常、この深さで岩石が溶けるには、水や二酸化炭素などの揮発性成分が必要です。わずか0.05〜0.1%の水が含まれるだけで、融点が十分に下がり、部分溶融が引き起こされます。

興味深いことに、大陸シールドのような地温勾配が極めて低い地域ではLVZが検出されません。これは、温度が十分に上がらないため、部分溶融が発生しないことを裏付けています。

歴史的発見とその他の低速度領域

この領域の存在は、1959年にベノ・グーテンベルクによって提唱されました。彼は、震央から1度から15度の範囲で観測される地震波の振幅が、一度指数関数的に減少した後、急激に増加するという特異な現象に注目しました。この現象は、エネルギーを分散させる低速度層と、その後にエネルギーを集中させる高速度勾配の層が存在することで説明が可能となりました。

なお、上部マントル以外にも、地球の中心に近い核とマントルの境界付近には、厚さ約50kmの非常に薄い低速度層が存在することが分かっています。これは超低速度層(ULVZ)と呼ばれ、上部マントルのLVZとは区別して定義されています。

項目 低速度層 (LVZ) 超低速度層 (ULVZ)
主な位置 上部マントル(リソスフェア底部) 核・マントル境界 (CMB)
推定深さ 約80km 〜 300km 核・マントル境界付近(厚さ約50km)
主な特徴 S波速度の低下、高電気伝導率 極めて顕著な速度低下
主な要因 部分溶融(水・CO2の影響) 深部マントルの化学組成・温度変化

Frequently Asked Questions

低速度層(LVZ)とは具体的にどのような場所ですか?

地球の上部マントルにおいて、リソスフェア(硬い岩石圏)とアセノスフェア(流動性のある圏)の境界付近に位置する、地震波の伝播速度が周囲より遅い領域のことです。

なぜS波の速度が低下するのでしょうか?

岩石が部分的に溶けている(部分溶融)ためと考えられています。S波は液体を伝わることができないため、わずか1%程度の溶融物があるだけで速度が著しく低下します。

LVZが存在しない地域があるのはなぜですか?

大陸シールドのような地域では、地温勾配(深くなるにつれて温度が上がる割合)が低いため、岩石を溶かすのに十分な温度に達せず、部分溶融が起こらないためです。

水はLVZの形成にどのように関わっていますか?

水や二酸化炭素が岩石に含まれると、ケイ酸塩鉱物の融点が下がります。これにより、本来なら固体であるはずの深さでも部分的に溶融が起こり、LVZが形成されやすくなります。

ULVZ(超低速度層)とLVZの違いは何ですか?

LVZが上部マントルの浅い部分にあるのに対し、ULVZは地球の核とマントルの境界という非常に深い場所に位置する薄い層である点が異なります。

References

  1. GR Helffrich & BJ Wood (2002). "The Earth's Mantle" (PDF). Nature. 412 (2 August). Macmillan Magazines: 501–507. :10.1038/35087500.  11484043.  4304379.
  2. L Stixrude & C Lithgow-Bertolloni (2005). "Mineralogy and elasticity of the oceanic upper mantle: Origin of the low-velocity zone". Journal of Geophysical Research. 110: B03204. :2005JGRB..110.3204S. :10.1029/2004JB002965. :2027.42/94924.
  3. EJ Garnero, MS Thorne, A McNamara & S Rost (2007). "Chapter 6: Fine-scale ultra-low-velocity zone layering at the core-mantle boundary and superplumes". In David A Yuen; Shigenori Maruyama (eds.). Superplumes: beyond plate tectonics. Springer. p. 139.  .{{}}: CS1 maint: multiple names: authors list ()
  4. Philip Kearey; Keith A. Klepeis; Frederick J. Vine (2009). Global tectonics (3rd ed.). . p. 32.  .
  5. It is hypothesized that the absence of plate tectonics on the planet is due to the absence of water in its crust and upper mantle. Cooling occurs largely through . See Gillian R. Foulger (2005). Plates, plumes, and paradigms; Volume 388 of Special papers. . p. 857.  .
  6. Gutenberg, B. (1959). Physics of the Earth's Interior. New York: . pp. 240.  . {{}}: ISBN / Date incompatibility ()
  7. Anderson, D.L. (1989). "3. The Crust and Upper Mantle". Theory of the Earth (PDF). Boston: .  . Archived from the original (PDF) on 2010-06-23. Retrieved 2010-02-20.
  8. Figure patterned after Don L Anderson (2007). New theory of the earth (2nd ed.). . p. 102, Figure 8.6.  .; Original figure attributed to Grand & Helmberger (1984)
  9. Brown, G.C.; Mussett A.E. (1981). The inaccessible earth. . p. 235.  . Retrieved 2010-02-20.
  10. Condie, K.C. (1997). Plate tectonics and crustal evolution. . p. 282.  . Retrieved 2010-02-20.

📸 フォトギャラリー

Velocity of seismic waves in the Earth versus depth.[1] S-waves (seismic shear waves) cannot propagate in liquids, leading to negligible velocity in the liquid outer core. The seismic velocities very near the surface (≲ 220±30 km) are markedly lower than at greater depths, demarking the LVZ.
Velocity of seismic S-waves in the Earth near the surface in three tectonic provinces: TNA= Tectonic North America SNA= Shield North America & ATL = North Atlantic.[8]