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マントル遷移層相転移410km不連続面660km不連続面ペリドタイト

マントル遷移層の構造と相転移のメカニズム

🗓 2026年8月11日

地球の内部構造において、上部マントルと下部マントルの間に位置するのがマントル遷移層(MTZ)です。この領域は、深さ約410kmから660kmの地震波速度が急激に変化する境界(不連続面)に挟まれた領域を指しますが、広義には深さ300kmから850kmまでを含むゾーンとして定義されます。この層は主に、超マフィク岩の一種であるペリドタイトという岩石で構成されており、地球内部のダイナミクスを理解する上で極めて重要な役割を果たしています。

Key Facts

  • 位置: 上部マントルと下部マントルの境界領域(主として深さ410km〜660km)。
  • 主成分: 超マフィク火成岩であるペリドタイト。
  • 410km不連続面: オリビンからワズリーイトへの相転移によって発生。
  • 660km不連続面: リングウッダイトからブリッジマナイトとペリクラーゼへの相転移によって発生。
  • 温度の影響: 温度によって相転移が起こる深さが変動し、マントル対流に影響を与える。

マントル内部で何が起きているのか:相転移の原理

マントル遷移層を定義づけているのは、深さに伴う圧力の増加によって鉱物の結晶構造が変化する相転移という現象です。ペリドタイトの主成分であるオリビンは、高圧環境下でより密度の高い構造へと再編成されます。これらの変化は地震波の反射や屈折として観測されるため、地球物理学的な解析によってその境界を特定することが可能です。

410km不連続面:密度の急上昇

深さ約410km付近では、オリビン($\\alpha$-Mg$_2$SiO$_4$)がワズリーイト($\\beta$-Mg$_2$SiO$_4$)へと変化します。この転移は温度の影響を強く受け、冷たい領域(沈み込むプレートなど)ではより浅い場所で、暖かい領域(マントルプルームなど)ではより深い場所で発生するという特性があります。

660km不連続面:下部マントルへの入り口

さらに深い約660kmの地点では、リングウッダイトがブリッジマナイトとペリクラーゼという2つのより高密度な相へと分解されます。この反応は吸熱反応であり、粘性の急激な変化を伴います。そのため、冷たい物質がこの境界で停滞し、下部マントルへ降りにくくなるなど、地球全体の物質循環(ジオダイナミクス)に大きな影響を及ぼしています。

その他の不連続面と観測データ

主要な2つの境界以外にも、深さ520km付近でオリビン($\\beta$から$\\gamma$へ)やガーネットの相転移が起こると予測されており、一部の地震波データでも散発的に観測されています。また、地域的な要因による小規模な不連続面の存在も示唆されています。

マントル遷移層の主要な不連続面まとめ
不連続面の深さ 主な相転移(鉱物変化) 温度による深さの変化 特徴
約410 km オリビン $\rightarrow$ ワズリーイト 低温で浅くなる 密度の増加による地震波速度の上昇
約520 km オリビン($\\beta \rightarrow \\gamma$)・ガーネット - 散発的に観測される境界
約660 km リングウッダイト $\rightarrow$ ブリッジマナイト + ペリクラーゼ 低温で深くなる 粘性の跳ね上がり、物質の停滞を誘発

Frequently Asked Questions

マントル遷移層とは具体的にどのような場所ですか?

上部マントルと下部マントルの間に位置し、深さ約410kmから660km(広義には300kmから850km)にわたる領域です。主にペリドタイトという岩石で構成されています。

なぜ「不連続面」と呼ばれるのですか?

深さとともに圧力が上がると、鉱物の結晶構造が急激に変化(相転移)し、それに伴って地震波の伝わる速度が不連続に変化するためです。

温度は不連続面の深さにどう影響しますか?

410km不連続面では、温度が低いほど浅い場所で相転移が起こります。一方で660km不連続面では、温度が低いほどより深い場所で相転移が起こるという逆の特性を持っています。

660km不連続面が地球の活動に与える影響は?

この境界では粘性が急激に変化するため、沈み込んだ冷たいプレートなどの物質が下部マントルへ降りるのを妨げ、一時的に滞留させる「ダム」のような役割を果たすと考えられています。

相転移をどのようにして観測しているのですか?

地震が発生した際に伝わる体積波(P波やS波)が、密度の異なる境界で反射、屈折、または変換される様子を解析することで、地下の構造を推定しています。

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