映画史における伝説的な女優、メアリー・ピックフォード。彼女のキャリアにおいて重要な転換点となったのが、1914年に公開されたサイレント映画『A Good Little Devil』です。本作は彼女にとって初の長編映画であり、当時の映画製作の過渡期を象徴する作品となりました。
もともと本作は、ローズモンド・ジェラールとモーリス・ロスタンによる戯曲『Un bon petit diable』に基づいています。映画化される前、ピックフォードは友人であるリリアン・ギッシュと共に、オースティン・ストロングが手がけたブロードウェイ版の舞台に出演していました。この舞台での成功が映画化への道を開き、舞台版のキャストの多くがそのままスクリーン版にも起用されることとなりました。

Key Facts
- 主演: メアリー・ピックフォードにとって初の長編映画主演作である。
- 製作: アドルフ・ズーカーとダニエル・フローマンがプロデュースし、Famous Players Film Companyが製作・配給を担当した。
- 現状: 全5リールのうち1リールのみが現存しており、大部分が失われた「ロストフィルム」となっている。
- 撮影地: ニューヨーク市26丁目にあったFamous Playersのスタジオで撮影された。
作品の構成と製作背景
本作の監督および撮影を務めたのは、初期映画の先駆者として知られるエドウィン・S・ポーターです。脚本は、原作の著者であるジェラールとロスタンに加え、オースティン・ストロングが共同で執筆しました。
公開スケジュールは、1913年7月10日のプレビュー上映を経て、1914年3月1日に全米で一般公開されました。配給方式には、当時の慣習であった「ステイツ・ライツ(州別権利販売)」方式が採用されていました。
キャスト陣
物語の中心となるジュリエット役をメアリー・ピックフォードが演じ、チャールズ・マクランス役をアーネスト・トゥレックスが務めました。また、劇中には犬のラブ(アーサー・ヒル)や、自分自身を演じたデヴィッド・ベラスコなど、多彩なキャラクターが登場します。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 公開年 | 1914年(全米公開) |
| 監督・撮影 | エドウィン・S・ポーター |
| 主演 | メアリー・ピックフォード |
| 上映形式 | サイレント(英語字幕付き) |
| 作品規模 | 5リール |
| 製作会社 | Famous Players Film Company |
失われた映像の断片
残念ながら、『A Good Little Devil』の完全な姿を現代で見ることはできません。全5リールのうち、現存しているのはわずか1リールのみです。しかし、1931年に製作された映画『The House That Shadows Built』の中に、わずか5秒間のクリップが挿入されており、貴重な映像記録として残されています。
Frequently Asked Questions
メアリー・ピックフォードにとってこの映画はどういう意味がありましたか?
彼女にとって初めての長編映画(フィーチャー・フィルム)への出演作であり、短編中心だったキャリアから長編映画のスターへと飛躍する重要なステップとなりました。
この映画は現在どこで見ることができますか?
本作は大部分が失われた「ロストフィルム」であり、全編を視聴することは不可能です。現存するのは1リール分と、別の映画に挿入された5秒間の断片のみです。
原作はどのようなものでしたか?
ローズモンド・ジェラールとモーリス・ロスタンによる戯曲『Un bon petit diable』が原作です。映画化される前にブロードウェイで舞台化されていました。
撮影はどこで行われましたか?
ニューヨーク市の26丁目に位置していたFamous Playersのスタジオで撮影が行われました。
配給の「ステイツ・ライツ」とは何ですか?
映画の配給権を州ごとに個別の業者に販売する、初期の映画業界で一般的だった配給方式のことです。
References
- "A Good Little Devil (1913 play)". IBDB.com. .
- The American Film Institute Catalog Feature Films: 1911–20. The American Film Institute. 1988.
- "A Good Little Devil". Silent Era.