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Hollywoodサイレント映画黄金時代を辿る伝説的ドキュメンタリー

🗓 2026年8月14日

映画の都として知られるハリウッド。その黎明期である1910年代から20年代にかけて、映画は単なる見世物から芸術へと進化を遂げました。この激動の時代を克明に記録したのが、イギリスのThames Televisionが制作し、1980年にITVで放送されたドキュメンタリーシリーズHollywood(別名:Hollywood: A Celebration of the American Silent Film)です。

映画史研究の権威であるケビン・ブラウンロウデヴィッド・ギルが執筆・監督を務めた本作は、全13話にわたってサイレント映画時代のスタジオ設立から文化的影響までを深く掘り下げています。名優ジェームズ・メイソンによる重厚なナレーションと、カール・デイヴィスが手掛けた情緒的な音楽が、視聴者を古き良き映画の世界へと誘います。

Key Facts

  • 制作・放送:1980年にイギリスのThames Televisionが制作し、ITVで放送。
  • 構成:1話あたり約50分、全13エピソード(総時間 約11時間15分)。
  • 評価:1981年のBAFTA TVアワードにて「最優秀オリジナルテレビ音楽賞」を受賞。
  • こだわり:当時の正確な上映速度を再現するため、ポリゴナル・プリズム・テレシン(特殊な転送装置)を使用。
  • 貴重な証言:当時の俳優や監督など、多くの関係者へのインタビューを収録。

妥協なき映像復元への挑戦

本作が映画史において高く評価されている最大の理由は、その圧倒的な技術的クオリティにあります。かつてのサイレント映画は、テレビ放送される際に低品質なコピーが使用され、不自然な速度で上映されることが一般的でした。また、BGMには安価なピアノ曲が添えられることが多く、本来の意図とは異なる見せ方がなされていました。

ブラウンロウとギルは、入手可能な最高品質の素材を追求し、当時の本来の速度で上映させることにこだわりました。さらに、ピアノではなくフルオーケストラのスコアを導入することで、当時の観客が体験した本来の視覚・聴覚体験を現代に蘇らせました。例えば、1903年の『Life of an American Fireman』の低品質な映像と、20年以上後の1926年作品『The Fire Brigade』の高精細な映像を比較し、映画技術の進化を視覚的に証明しています。

豪華な出演者と貴重な証言

このシリーズのもう一つの価値は、サイレント時代の生き証人たちによる膨大なインタビューにあります。中には、彼らが映像として残した唯一のインタビューであるケースもあり、歴史的に極めて重要な資料となっています。

出演した人物は多岐にわたります。俳優ではリリアン・ギッシュ、グロリア・スワンソン、ジョン・ウェインらが、監督ではフランク・キャプラやウィリアム・ワイラーらが当時の舞台裏を語っています。また、スタントマンや撮影監督、セットデザイナーなど、名立たないが不可欠だった技術職の人々の証言も収録されており、映画制作の全貌を立体的に描き出しています。

全13話の構成とテーマ

各エピソードは、ハリウッドの歴史における特定の側面をテーマに構成されています。

  • 黎明期と発展:映画が見世物から芸術へ変わった過程や、静かな村だったハリウッドが産業の拠点へと変貌する様子を描きます。
  • 光と影:華やかな成功の裏にあったスキャンダルや、それを受けて導入された自主規制「プロダクション・コード」の影響を考察します。
  • ジャンルの確立:戦争映画の台頭、スラップスティック・コメディの天才たち(チャップリンやキートンなど)、そして西部劇の流行について詳述します。
  • 巨匠とスター:セシル・B・デミルやエリッヒ・フォン・ストロハイムといった独裁的監督のスタイルや、スターシステムによる偶像化と没落を追います。
  • 時代の終焉:1927年の『ジャズ・シンガー』に代表されるトーキー(有声映画)の登場が、いかにしてサイレント時代のスターや監督たちのキャリアを塗り替えたかを締めくくります。

作品概要まとめ

『Hollywood』シリーズ基本情報
項目 詳細
原題 Hollywood (Hollywood: A Celebration of the American Silent Film)
制作国 イギリス
監督・脚本 ケビン・ブラウンロウ、デヴィッド・ギル
ナレーション ジェームズ・メイソン
放送期間 1980年1月8日 〜 4月1日
エピソード数 13話
主な受賞 BAFTA TVアワード 最優秀オリジナルテレビ音楽賞

Frequently Asked Questions

このシリーズは現在どこで視聴できますか?

権利関係の複雑さから家庭用ビデオ形式でのリリースは少ないですが、現在はInternet Archiveにて公開されています。

なぜ権利関係が複雑なのですか?

番組内で使用されている膨大な数の映画クリップ一つひとつに対して、ホームビデオ販売用の権利を個別に取得する必要があるためと考えられています。

この作品の後に続編は制作されましたか?

はい。1995年にブラウンロウとギルによって『Cinema Europe: The Other Hollywood』が制作されました。こちらはスウェーデン、ドイツ、フランス、イギリスにおけるサイレント映画産業の興隆を扱っています。

映像の速度にこだわったのはなぜですか?

サイレント映画は本来、特定の速度で上映されるように設計されていました。不正確な速度で再生すると、俳優の演技やコメディの間(ま)が損なわれるため、当時のオリジナル速度を再現することが重要視されました。

どのような映画が紹介されていますか?

1903年の『大列車強盗』から、1927年の『ジャズ・シンガー』、さらには後年の『サンセット大通り』まで、時代を象徴する数多くの名作が引用されています。

References