ナイジェリアの知的遺産を保護し、次世代へと継承する中心的な役割を担っているのがナイジェリア国立図書館(National Library of Nigeria)です。政府によって設立されたこの機関は、単なる本の保管場所ではなく、国の「知的記憶」として機能する法的納本リポジトリ(国内で出版された資料を法的に収集・保存する施設)としての重要な使命を帯びています。
現在、連邦首都地区のアブジャに本部を置き、全国に33の分館を展開することで、広大な国土に住む人々へ教育資料へのアクセスを提供しています。
Key Facts
- 設立年:1964年(国立図書館法に基づき運用開始)
- 拠点数:全国に33の分館を設置
- 所蔵数:国内全体で1,000万点以上の情報リソースを保有
- 主な機能:法的納本の収集、ISBNおよびISSNの発行、読書推進活動
- アクセス:資料やサービスの利用を必要とするすべての人に開放
歴史的背景と組織の歩み
この図書館の構想は、イバダンで開催された一連の教育会議から始まりました。連邦政府が資金を投じ、国民が教育資料に容易にアクセスできるネットワークを構築することが知的基盤として議論されました。その後、政府諮問委員会が知識のローカルリポジトリを構築する必要性を提言し、国家的な書誌センターの創設と知識普及の場の提供が求められたことで、国立図書館の設立へと至りました。
建設は1962年に始まり、1964年11月6日に一般公開されました。当初はラゴスに本部がありましたが、1995年に現在の首都アブジャへと移転しています。
運営面では、当初の法律で専門家による理事会の設置が定められていましたが、1966年の軍事政権下で政府職員中心の体制へと変更されました。また、ナイジェリア内戦による資金不足などの困難もありましたが、1970年の新政令によって、各州の州都へリポジトリを拡大し、ネットワーク化する方針が明確にされました。
使命と社会的役割
ナイジェリア国立図書館は、連邦政府の資金援助を受けて運営されており、設立初期にはフォード財団による専門家の派遣や書籍の寄贈、拡張資金の提供といった多大な支援を受けました。現在は、政府職員が政策を遂行するための知的根拠を提供するなど、国家の意思決定を支えるインフラとしての役割を担っています。
特に重要なのが法的納本制度です。国内で出版された政府・民間双方の書籍を収集することで、国内最大級の知識蓄積を実現しています。また、国際機関による最新のアイデアや出版物の収集にも注力しています。
さらに、出版業界にとって不可欠な国際標準書籍番号(ISBN)および国際標準CISSN(ISSN)の発行業務を担っています。かつては地域事務所での手続きに時間がかかっていましたが、現在はモバイル技術の導入により効率化が進んでいます。また、国民の識字率向上と読書習慣の定着を目指し、全国的な「読書推進キャンペーン」を毎年実施しています。
現状の強みと直面する課題
図書館は、1,000万点を超える膨大なリソースを保有し、NITDAやアメリカン・スペース、ハビラ・グループなどの国内外のパートナーシップを通じて進化を続けています。また、リーダーシップによるテクノロジーの積極的な導入や、地域コミュニティとの連携も強みとなっています。
一方で、深刻な課題も山積しています。資金不足による施設の老朽化が進んでおり、特にアブジャの本部は2006年から建設が始まっているものの未完のままであり、現在は賃貸物件で運営されています。また、国内の読書文化の衰退や、専門スタッフへの継続的なトレーニング不足、所蔵資料の陳腐化なども、サービスの質を向上させる上での障壁となっています。
施設概要まとめ
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 所在地(本部) | アブジャ、セントラル・ビジネス・ディストリクト、サヌシ・ダンタタ・ハウス |
| 収集対象 | 書籍、雑誌、新聞、音源、特許、地図、切手、写本など |
| 現在の最高責任者 | プロフェッサー・チンウェ・ヴェロニカ・アヌノビ(2021年9月就任) |
| 分館数 | 33拠点(カノ、ラゴス、エヌグ、ポートハーコート等) |
Frequently Asked Questions
誰がこの図書館を利用できますか?
コレクションやサービスの利用を必要とするすべての人に開放されており、広く一般に利用可能です。
どのような資料が保管されていますか?
書籍や雑誌、新聞だけでなく、音楽・音声録音、特許、データベース、地図、切手、図面、写本など、多岐にわたる形式の資料が収集されています。
ISBNやISSNの発行はどこで行っていますか?
ナイジェリア国立図書館が発行権限を持っており、現在はテクノロジーの導入により、出版組織への発行プロセスが簡素化されています。
分館はどこにありますか?
アブジャの本部のほか、カノ、ラゴス、イバダン、ポートハーコート、エヌグなど、全国33の主要都市や州都に設置されています。
現在の最高責任者は誰ですか?
2021年9月8日に就任したプロフェッサー・チンウェ・ヴェロニカ・アヌノビ氏がCEOを務めています。彼女はアフリカ図書館情報協会(AfLIA)の理事も兼任しています。
References
- https://nln.gov.ng/statebranches.php
- Bello, Nassir (1983-10-01). "The 1970 decree of the national library of Nigeria: a Reassessment". International Library Review. 15 (4): 375–383. :10.1016/0020-7837(83)90057-2. 0020-7837.
- "Mandate » National Library of Nigeria". www.nln.gov.ng. Archived from the original on 2020-02-06. Retrieved 2020-05-24.
- "NATIONAL LIBRARY ACT". Nigerian Law Intellectual Property Watch Inc. 2017-07-18. Retrieved 2020-05-24.
- UNESCO, UNESCO (1953-08-21). "Development of public libraries in Africa". unesdoc.unesco.org. Retrieved 2020-05-24.
- "Abandoned Abuja National Library project completion cost climbs to N100b, from N8.59b". . Lagos, Nigeria. 2022-05-02. Retrieved 2022-05-11.
- Enyia, Chris O. National library of Nigeria at 30: its history and prospects for the future (1992?)
- Aguolu, C. C. and Aguolu (2007). "A Force in Library Development in Nigeria". World Libraries, ISSN 1092-7441. Retrieved 2020-05-24.
- Aguolu, C. C. (1980). "The Evolution of the National Library of Nigeria: Antecedents, Establishment, and Recent Development". The Journal of Library History. 15 (4): 393–426. 0275-3650. 25541139.
- Harrison, J. Clement (1966). "Review of The National Library of Nigeria: Growth of the Idea, Problems and Progress". The Library Quarterly: Information, Community, Policy. 36 (4): 359–360. :10.1086/619485. 0024-2519. 4305717.