ケニアにおける知識の集積地であり、国家的な情報インフラを担うのがケニア国立図書館サービス(KNLS)です。1965年に設立されたこの政府機関は、単なる本の貸出施設ではなく、国の知的遺産を保存し、国民の識字率向上や生涯学習を支援する「国民の大学」としての役割を果たしています。
Key Facts
- 設立年: 1965年(ケニア法律Cap 225に基づく)
- 蔵書数: 約140万冊
- 主要機能: 法的納本の管理、ケニア国家書誌の編纂、ISBN/ISMNの発行
- サービス対象: 約1,600万人の人口をカバー
- 運営形態: ジェンダー・文化・児童サービス省傘下の政府法人
KNLSの使命と主要な機能
KNLSは、ケニア国内で出版されたあらゆる資料を収集・保存する法的納本(Legal Deposit)の制度を運用しています。出版者は法律に基づき、出版後14日以内に指定の部数を提出することが義務付けられており、これにより国家的な知的財産の喪失を防いでいます。
また、収集した資料を基に「ケニア国家書誌(Kenya National Bibliography)」を毎年発行し、学者や学生、司書が国内の文献を効率的に検索できるツールを提供しています。さらに、書籍の国際標準番号であるISBNおよび音楽出版物のISMNを国内で唯一発行する機関でもあります。
近年では、物理的な施設だけでなく、仮想図書館(Virtual Library)の運営を通じて、デジタルリソースへのアクセスを大幅に拡大させています。
施設とアクセシビリティ
KNLSの本部はナイロビのアッパーヒル地区にあるマクタバ・クウ(Maktaba Kuu)ビルに位置しています。ここを拠点に、ナイロビのブルブルやナクルなどの施設を通じてサービスを提供しています。

利用者は、登録メンバーシップや入場料を通じて施設を利用でき、特に子供には無料で開放されており、次世代の読書習慣の育成に力を入れています。館内には快適な閲覧エリアが整備されており、静謐な環境で研究や学習に没頭することが可能です。

また、視覚障害者向けの点字資料やオーディオブック、音声ナビゲーターなどの専門的な設備も完備しており、あらゆる人々が情報にアクセスできるユニバーサルな環境づくりを推進しています。

ケニアにおける公共図書館の歴史
ケニアの図書館の歴史は18世紀にまで遡りますが、初期の施設は主にヨーロッパ系やアジア系住民のみが利用できる会員制のサブスクリプション形式でした。1903年にモンバサに設立されたセイフ・ビン・サリム公共図書館や、1931年のマクミラン記念図書館などがその代表例です。
しかし、1960年代の独立前後から大きな転換期を迎えます。1960年には国家主導の集中型公共図書館システムの構築が提言され、それまで人種制限があった図書館が一般に開放されました。そして1965年、現在のKNLSの基盤となる法律が制定され、全市民に開かれた情報サービスが整備され始めました。
組織の再編と地方分権化
2010年のケニア憲法制定に伴い、図書館サービスのあり方も変化しました。公共図書館の運営は「分権化された機能」として定義され、2023年7月1日をもって、かつてKNLSが管理していた61の分館は各郡政府(County Governments)へと移管されました。
これにより、現在のKNLSは現場の運営よりも、国家的な政策立案、業界標準の策定、郡政府への技術支援、および国家書誌の編纂といった、より高度な統括機能に特化する体制へと移行しています。
サービス概要まとめ
| カテゴリー | 具体的な内容 |
|---|---|
| 情報リソース | 書籍、定期刊行物、電子ジャーナル、政府刊行物、点字資料 |
| 専門サービス | ISBN/ISMN発行、国家書誌の出版、データセンター運営 |
| コミュニティ支援 | 移動図書館、コンピュータ・インターネット無料提供、ユーザー教育 |
| デジタル展開 | 仮想図書館(vtabu)、電子書籍のオンライン提供、デジタル化サービス |
Frequently Asked Questions
KNLSを利用するには費用がかかりますか?
大人の利用者は登録メンバーシップへの加入または入場料の支払いが必要ですが、子供は無料で利用することができます。
法的納本制度とは何ですか?
ケニア国内で出版された書籍や雑誌などの出版物を、法律に基づいて国立図書館に寄託させる制度です。これにより、国の知的成果を後世にまで保存することが可能になります。
ISBNの申請はどこで行えばよいですか?
ケニア国内において、ISBN(国際標準書籍番号)およびISMN(国際標準音楽番号)を発行できる唯一の機関は、KNLSの国立図書館部門です。
以前あった地方の分館はどうなりましたか?
2023年7月より、憲法の規定に基づき、61の分館はそれぞれの郡政府(County Governments)に移管され、現在は地方自治体によって運営されています。
視覚障害者向けのサービスはありますか?
はい。点字資料やオーディオブック、視覚障害者用音声ナビゲーターなどの提供を通じて、アクセシビリティを確保しています。
References
- "Kenya National Library Service". Retrieved 11 February 2021.
- "Who We Are | kenya national library service". www.knls.ac.ke. Archived from the original on 8 September 2024. Retrieved 19 February 2025.
- "Kenya National Library Service (KNLS)". UNESCO. 21 October 2017. Archived from the original on 1 July 2023. Retrieved 4 February 2021.
- "Kenya National Library Service". Kenya National Library Service. Archived from the original on 26 January 2021. Retrieved 1 March 2021.
- Anderson, Dorothy (January 1977). "The Role of the National Bibliographic Centre". . 25 (3). : 645–663. Archived from the original on 10 May 2017. Retrieved 10 September 2016.
- "National Library, Kenya National Bibliography". Retrieved 9 September 2022.
- "Saif-Bin Salim Library (Mombasa), Kenya / Coast / Mombasa". wikimapia.org. 2010. Retrieved 16 July 2023.
- Sheikh Ali bin Salim is mentioned on the
- "Sir Ali Muslim Club | Since 1934". siraliclub.com.
- "Kenya National Library Service". Kenya National Library Service. Retrieved 1 March 2021.
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