The Lindisfarne Gospels is but one of the treasures collected by Sir Robert Cotton.
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国立図書館の役割と歴史国家の記憶を保存する至高の書庫

🗓 2026年8月13日

国立図書館とは、政府によって設立され、その国のあらゆる情報を集約・保存することを目的とした最高機関としての図書館です。一般的な公共図書館が地域住民への貸出を主目的とするのに対し、国立図書館は「国家の記憶」を後世に伝えるための巨大なリポジトリ(貯蔵庫)としての性格が強く、貴重書や希少な写本を数多く保有しています。そのため、原則として資料の館外貸出は行われません。

その使命は、国内のみならず国外で出版された自国に関する文献を網羅的に収集し、永続的に保存することにあります。つまり、そのサービス対象は特定の地域ではなく、国民全体、さらには未来の世代にまで及びます。代表的な例として、ロンドンの大英図書館やパリのフランス国立図書館が挙げられます。

Key Facts

  • 主目的: 国家の知的遺産の収集と永続的な保存。
  • 貸出制限: 貴重資料の保護のため、一般的に貸出は行われない。
  • 納本制度 出版社に義務付けられた資料の提出(法定納本)により蔵書を拡大する。
  • 国際連携: IFLA(国際図書館連盟)などを通じ、世界的な書誌標準の策定に寄与している。
  • 規模: 国内の他の図書館を圧倒する蔵書数を誇ることが一般的である。

国立図書館の成り立ちと発展

王室コレクションからの脱却

多くの国立図書館は、もともと君主や国家最高権力者が所有していた私的な王室コレクションに端を発しています。例えば、イギリスでは16世紀に数学者のジョン・ディーが古書や記録を保存するための国立図書館構想をメアリー1世に提示しましたが、実現には至りませんでした。

その後、収集家ロバート・コットン卿が修道院解散後に散逸した貴重な写本を組織的に収集し、「コットン図書館」を築きました。彼の死後、このコレクションが国家に寄贈されたことが、後の大英図書館形成の重要な礎となりました。

The Lindisfarne Gospels is but one of the treasures collected by Sir Robert Cotton.

近代的な国立図書館の誕生

1753年、イギリスで大英博物館の一部として設立された図書館は、教会や王室に属さず、一般に開放され、あらゆる知識を収集することを目指した新しい形態の機関でした。これは医師ハンス・スローンが遺贈した膨大な博物学的コレクションと書籍が基盤となっています。

Sir Hans Sloane's collection of books and manuscripts was bequeathed to the British Museum.

その後、1856年に就任したアンソニー・パニッツィ館長による近代化が進みました。彼は「91の目録規則」を策定し、これが後のISBD(国際標準書誌記述)やデジタル時代のメタデータ規格であるダブリン・コアの原点となりました。

世界各国の国立図書館の軌跡

フランス:王立から国民の財産へ

フランスでは、1368年にシャルル5世がルーヴル宮殿に設立した王立図書館が前身となりました。17世紀にはジャック・オーギュスト・ド・トゥーが司書となり、世界最大級の蔵書数を誇るまでに発展させました。

As librarian of the Bibliothèque Mazarine, Jacques Auguste de Thou transformed it into the largest library in the world at the time.

フランス革命を経て、1792年に「国王の図書館」は国家財産となり、「フランス国立図書館」へと改称されました。これにより、特権階級の所有物だった知識が、正式にフランス国民全体の財産へと移行したのです。

その他の国の展開

  • ドイツ: 1848年の革命期に「帝国図書館」の構想が生まれましたが、最終的に体系的な収集が始まったのは1913年のライプツィヒでの設立以降です。
  • スペイン: 1711年にフェリペ5世により王立図書館として設立。1837年には女性の利用が認められるなど、徐々に開放が進みました。
  • ポーランド: 18世紀のザウルスキ図書館を伝統として持ちますが、国家の分断や第二次世界大戦により、膨大な写本や書籍が喪失するという悲劇を経験しています。
  • ロシア: 1795年にエカテリーナ2世により帝国公共図書館が設立。ヴォルテールやディドロの私蔵本を含む豪華なコレクションを保有しています。
  • アメリカ: 1800年に議会図書館(Library of Congress)が設立。当初は議会活動のための資料室でしたが、現在は世界最大級の規模を誇ります。

The National Library of Poland in Warsaw

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資料収集の仕組みと書誌管理

法定納本(Legal Deposit)

国立図書館が網羅的に資料を収集するための強力な仕組みが法定納本です。これは、国内で出版されたすべての書籍のコピーを、法律に基づいて国立図書館に提出することを出版社に義務付ける制度です。

主要国における納本制度の概要
国・地域 制度の特徴 備考
イギリス 大英図書館を含む指定図書館へ納本 2003年法定納本図書館法に基づく
フランス 1537年より実施。現在はデジタル作品も対象 非常に長い歴史を持つ制度
オーストラリア 国立図書館および州立図書館へ納本 1968年著作権法に基づく
シンガポール 出版後4週間以内に2部を納本 出版社側の費用負担で実施
アメリカ 著作権局への「強制寄託」制度 全件保持せず、選択的に保存

書誌管理と国際標準

国立図書館のもう一つの重要な任務が、国家書誌管理です。これは、自国で出版された、あるいは自国について書かれたすべての資料をカタログ化し、誰がどこで何を探せばよいかを明確にすることです。

この取り組みは国内に留まらず、世界的な「普遍的書誌管理」へと繋がっています。各国がカタログの形式を標準化(ISBDなどの採用)し、相互にアクセス可能なプロトコルを構築することで、世界中の知識を効率的に検索・共有できる環境が整えられています。

Frequently Asked Questions

国立図書館と公共図書館の最大の違いは何ですか?

最大の違いは目的と貸出の有無です。公共図書館は地域住民の利便性と読書推進を目的とし、本の貸出を行いますが、国立図書館は国家レベルでの資料保存を目的としており、原則として資料の館外貸出は行いません。

法定納本とは具体的にどのような制度ですか?

法律に基づき、国内で出版されたすべての出版物を、指定された国立図書館などに無料で提出させる制度です。これにより、図書館は予算に関わらず、国内の知的生産物を漏れなく収集し、後世に残すことができます。

なぜ国立図書館は世界共通のカタログ規則を作るのですか?

言語や国が異なっても、同じルール(標準)で書籍情報を記述していれば、世界中の研究者が効率的に資料を探し出せるからです。これにより、国際的な知識の共有と学術研究の促進が可能になります。

アメリカの議会図書館は国立図書館なのですか?

はい、実質的にアメリカ合衆国の国立図書館としての役割を果たしています。もともとは議会を支援するための図書館として設立されましたが、現在は世界最大級の蔵書数を持ち、国家的な情報リポジトリとして機能しています。

デジタル時代の国立図書館はどう変わっていますか?

紙の書籍だけでなく、ウェブサイトや電子書籍などのデジタル作品も収集対象とする「デジタル納本」を導入する国が増えています。物理的な劣化がない一方で、データの形式変更やサーバーの維持といった新しい保存上の課題に取り組んでいます。

References

  1. Krummel, D. W. “Guides to National Bibliographies: A Review Essay.” Libraries & Culture 24, no. 2 (1989): 217–30.
  2. Line, Maurice B.; Line, J. (2011). "Concluding notes". National libraries, Aslib, pp. 317–318
  3. Lor, P. J.; Sonnekus, E. A. S. (2010). "Guidelines for Legislation for National Library Services" Archived 13 August 2006 at the , . Retrieved on 10 January 2010.
  4. Fell-Smith, Charlotte (1909) John Dee: 1527–1608. London: Constable and Company Available online
  5. . The Lives of John Selden, Esq., and Archbishop Usher; With Notices of the Principal English Men of Letters with Whom They Were Connected. 1812. p. 375.
  6. "Cotton Manuscripts". . 30 November 2003. Archived from the original on 12 September 2016. Retrieved 22 July 2014.
  7. 'An Act for the better settling and preserving the Library kept in the House at Westminster called Cotton House in the Name and Family of the Cottons for the Benefit of the Publick [Chapter VII. Rot. Parl. 12 § 13 Gul. III. p. 1. n. 7.]', Statutes of the Realm: volume 7: 1695-1701 (1820), pp. 642–643. URL: http://www.british-history.ac.uk/report.aspx?compid=46991
  8. Dunton, Larkin (1896). The World and Its People. Silver, Burdett. p. 38.
  9. "Creating a Great Museum: Early Collectors and The British Museum". Fathom. Archived from the original on 2 January 2010. Retrieved 4 July 2010.
  10. "General history". British Museum. 14 June 2010. Retrieved 4 July 2010.

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