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メアリー・ラッセル・フェレル・コルトン北アリゾナの芸術と文化を救った先駆者

🗓 2026年8月14日

アメリカ南西部の豊かな文化遺産を後世に伝えるため、情熱を注いだ女性がいました。メアリー・ラッセル・フェレル・コルトン(1889-1971)は、画家としてだけでなく、教育者、民族誌学者、そしてキュレーターとして、アリゾナ州の芸術的・文化的景観に消えない足跡を残した人物です。彼女の最大の功績の一つは、北アリゾナ博物館の設立であり、地域のアイデンティティを保護し、先住民族の権利と芸術を世界に知らしめることに人生を捧げました。

Key Facts

  • 北アリゾナ博物館(MNA)の主要な創設者であり、長年アート・民族誌キュレーターを務めた。
  • 女性芸術家集団「フィラデルフィア・テン」のメンバーとして活動。
  • ホピ族やナバホ族の伝統的な技法と素材の復興を強力に推進した。
  • 1981年にアリゾナ女性名誉殿堂に殿堂入りを果たした。
  • 風景画を中心に、鮮やかな色彩を用いたポートレートなど多彩な作品を遺した。

情熱の原点:東海岸での研鑽と西部への憧憬

ケンタッキー州ルイビルに生まれたメアリーは、幼少期に家庭教師や私立学校で学びましたが、真の才能が開花したのはフィラデルフィア女性デザイン学校への入学後でした。1909年に優秀な成績で卒業した彼女は、市内にスタジオを構え、商業美術や美術品の修復に従事しながら、女性芸術家グループ「フィラデルフィア・テン」の一員として国際的な展示会にも参加しました。

彼女の人生を大きく変えたのは、1909年のセルカーク山脈への遠征でした。この旅を通じてアメリカ西部の野生的な美しさに魅了された彼女は、後に夫となるハロルド・セラーズ・コルトン博士と出会います。1912年に結婚した二人は、新婚旅行でニューメキシコ州やグランドキャニオンを巡り、この地を拠点に活動することを決意しました。1926年には、一時的な滞在先であったアリゾナ州フラッグスタッフに完全に移住しています。

北アリゾナ博物館の設立と文化保存への取り組み

当時、フラッグスタッフ周辺の貴重な文化遺産が東海岸のコレクションへと流出している現状に、コルトン夫妻は強い危機感を抱いていました。地域の文化を地元に留めるため、1927年に北アリゾナ科学芸術協会(NASSA)を設立し、翌年には北アリゾナ博物館(Museum of Northern Arizona)を創設しました。

メアリーはアートおよび民族誌のキュレーターとして、アメリカ西部の芸術に焦点を当てたコレクションを構築しました。また、1939年にはアリゾナ州で初めて写真という媒体を芸術として認める写真展を開催するなど、先駆的な試みを続けました。彼女は自身の資産を投じて博物館の土地を寄贈し、地域の歴史を絵画や著作を通じて記録し続けました。

先住民族芸術の復興と教育的アプローチ

コルトンは、ネイティブアメリカンの芸術が商業化によって質を落としていると考え、伝統的な素材や技法への回帰を提唱しました。例えば、化学染料ではなく植物染料の使用を推奨し、ホピ族の綿花栽培の重要性を説くなど、職人たちに直接的な影響を与えました。

彼女の活動は単なる保存に留まらず、教育にも及びました。1930年には「ホピ職人展」を創設し、質の高い作品が正当に評価される市場を形成することで、芸術の向上と経済的自立の両立を目指しました。また、学校教育における芸術導入を推進し、伝統的なデザインや素材を教えるためのガイドラインを出版するなど、次世代への継承に尽力しました。

伝統技法の再興に向けた具体策

  • 素材の改善: 輸入されたメリノ羊のウールではなく、伝統的な素材への回帰を支援。
  • 銀細工の刷新: 1938年より、ホピ族独自の銀細工アイデンティティを確立するためのプロジェクトを開始。
  • 巡回展の開催: 「ペインテッドデザートの職人たち」展を全米の学校や博物館で展開し、理解を深めた。

芸術家としての軌跡と晩年

もともと肖像画を専攻していたメアリーですが、西部への移住後は広大な風景画に傾倒しました。彼女の作品は、鮮やかな色彩と、西部の果てしない遠近感を捉えた表現が高く評価されました。1951年に最後の油彩画「Courthouse Rock」を完成させた後も、鉛筆や炭による制作を続けました。

しかし、晩年は脳血管疾患(またはアルツハイマー病)の影響で心身に不調をきたし、次第に社会から離れた生活を送ることとなりました。1971年に82歳でこの世を去りましたが、彼女が守ろうとした北アリゾナの文化と芸術は、今も博物館や地域の伝統の中に生き続けています。

メアリー・ラッセル・フェレル・コルトンの概要

人物プロフィールと主要業績
項目 詳細
生没年 1889年3月25日 - 1971年7月26日
主な肩書き 画家、キュレーター、民族誌学者、教育者
主要功績 北アリゾナ博物館の創設、先住民族芸術の保護と振興
代表作(絵画) Church at Ranchos de Taos, Sedona From Red Ledge など
受賞・栄誉 米国内務省印鑑芸術工芸委員会 表彰 (1935)、アリゾナ女性名誉殿堂 (1981)

Frequently Asked Questions

北アリゾナ博物館を設立した目的は何でしたか?

地域の文化遺産が東海岸の博物館や個人コレクションに流出し、地元から文化が失われることを防ぐためです。地域の歴史、地質、生物、そして先住民族の芸術を地元で保存し、展示することを目的として設立されました。

彼女はネイティブアメリカンの芸術にどのように貢献しましたか?

商業化による質の低下を危惧し、伝統的な植物染料や素材の使用を推奨しました。また、ホピ職人展などの展覧会を企画し、質の高い伝統芸術が正当に評価される仕組みを作ることで、技法の継承と芸術性の向上を支援しました。

フィラデルフィア・テン」とはどのようなグループですか?

フィラデルフィア女性デザイン学校の卒業生らによって結成された女性芸術家集団です。メアリーはこのメンバーとして、1926年から1940年まで年次展に参加し、その才能を認められていました。

彼女の芸術的なスタイルにはどのような特徴がありますか?

特に風景画において、鮮やかで独特な色彩感覚を用いて、アメリカ西部の広大さと遠隔地特有の雰囲気を表現したことが特徴です。また、親しい人々を描いた繊細なポートレートも高く評価されています。

晩年の彼女はどのような状況でしたか?

脳血管疾患などの影響で精神的な不調をきたし、次第に家に閉じこもる生活となりました。最終的には介護施設に入所し、1971年に亡くなるまで療養生活を送りました。

References

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