Mars 3 Lander model at the Memorial Museum of Cosmonautics in Moscow
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Mars 3火星探査機ソビエト連邦軟着陸宇宙開発史

Mars 3人類初の火星軟着陸を成し遂げたソ連の挑戦

🗓 2026年8月11日

1970年代初頭、宇宙開発競争の真っ只中にあったソビエト連邦は、赤い惑星・火星への到達という壮大な目標を掲げていました。その中核を担ったのが、1971年に打ち上げられたMars 3です。このミッションは、軌道周回機(オービター)と着陸機(ランダー)を組み合わせた高度な構成となっており、人類が初めて火星の地表に「静かに降り立つ」という歴史的な快挙を成し遂げました。

しかし、その栄光は極めて短く、未知の惑星がもたらした過酷な環境が待ち構えていました。本記事では、Mars 3がどのような設計で、どのような運命を辿ったのかを詳しく解説します。

Mars 3 Lander model at the Memorial Museum of Cosmonautics in Moscow

Key Facts

  • 歴史的快挙:1971年12月2日、人類史上初めて火星への軟着陸に成功。
  • 短命な運用:着陸後の通信はわずか1分50秒で途絶。
  • 過酷な環境:全惑星規模の巨大な砂嵐がミッションに深刻な影響を与えた。
  • 科学的成果:オービターは火星の地形、大気、磁場に関する貴重なデータを収集。
  • 構成:4M型宇宙機を使用し、オービターとランダーの2つのユニットで構成。

Commemorative plaques at the Memorial Museum of Cosmonautics in Moscow

ミッションの構成と設計

オービター(軌道周回機)の役割

Mars 3のオービターは、火星の地形調査や土壌組成の分析、大気特性の測定を主目的としていました。また、太陽風や放射線、磁場の監視といった物理的な観測も行い、地上へデータを送るための通信中継局としての重要な役割も担っていました。

ランダー(着陸機)の構造

着陸機は、直径1.2メートルの球形カプセルを中心に、空気抵抗を利用して減速するための円錐形ブレーキシールド、パラシュート、そして逆噴射ロケットを備えていました。着陸後の衝撃を吸収するためにフォーム材が使用され、接地後は4枚の三角形のペタル(花弁状のパーツ)が開くことで機体を直立させ、観測機器を露出させる仕組みとなっていました。

搭載機器には、360度全方位を撮影できる2台のテレビカメラ、大気成分を調べる質量分析計、風速・温度・気圧センサー、そして有機物や生命の痕跡を探るための機械式スクープが含まれていました。

火星表面を走る計画:小型ローバー「PrOP-M」

Mars 3の特筆すべき点の一つに、重量4.5kgの小型ローバーPrOP-Mの搭載が挙げられます。このローバーはスキーのような足回りを持っており、ランダーと15メートルのケーブルで接続された状態で移動する計画でした。

地球からの遠隔操作ではタイムラグが大きすぎるため、金属製のロッドを用いた自律的な障害物回避機能を備えていました。1.5メートルごとに停止して地質の測定を行う予定でしたが、通信途絶のため、実際に展開されたかどうかは現在も不明のままです。

Rendering of the PrOP-M

着陸の瞬間と不可解な通信途絶

1971年12月2日、Mars 3のランダーは秒速約5.7kmで火星大気に突入しました。空力ブレーキとパラシュート、逆噴射を駆使し、南緯45度、東経202度の地点への軟着陸に成功しました。

しかし、着陸から90秒後に始まったデータ送信は、わずか20秒後に突如として停止しました。送信されたのは、詳細が全く判別できない「灰色の画像」のみでした。

The only result received from the camera on Mars 3 lander.

この失敗の原因については、当時火星全土を覆っていた史上最大規模の砂嵐が関係していると考えられています。砂嵐による静電気放電(コロナ放電)が通信システムを破壊した可能性や、視界不良による照明不足が画像に影響した可能性が指摘されています。

オービターがもたらした科学的知見

ランダーは短命に終わりましたが、オービターは1972年8月まで運用を続け、Mars 2と合わせて計60枚の画像を送信しました。燃料不足により予定していた25時間の低軌道には入れず、周期の長い楕円軌道となりましたが、それでも多くの成果を上げました。

  • 地形:最高22kmに達する巨大な山の存在を確認。
  • 大気:上層大気に原子状の水素と酸素が存在することを検出。
  • 環境:表面温度は−110℃から+13℃、気圧は5.5〜6mbであると測定。
  • 気象:高度7kmまで舞い上がる砂嵐の粒子を観測。

ภาพประกอบบทความ

後年の発見:機体の行方

打ち上げから数十年後、2013年にNASAは、火星偵察機(MRO)のHiRISEカメラが捉えた画像の中に、Mars 3の残骸と思われる物体を発見したと発表しました。アマチュアの宇宙愛好家による解析の結果、パラシュートや熱遮蔽板、そしてランダー本体のような形状が確認され、当時の挑戦の証が今も火星の地表に眠っていることが示唆されました。

ภาพประกอบบทความ

ภาพประกอบบทความ

ミッション概要まとめ

Mars 3 ミッション仕様一覧
項目 詳細内容
打ち上げ日 1971年5月28日
打ち上げ重量 合計 4,650 kg(オービター: 3,440 kg / ランダー: 1,210 kg)
着陸重量 358 kg
着陸日 1971年12月2日
運用期間 オービター:約1年2ヶ月 / ランダー:1分50秒
ロケット Proton-K / Blok D

Frequently Asked Questions

Mars 3はなぜ「成功」と「失敗」の両面で語られるのですか?

人類史上初めて火星への軟着陸(ソフトランディング)という技術的快挙を成し遂げた点では成功ですが、着陸後の科学観測がわずか1分50秒で途絶え、有益な画像やデータを十分に得られなかったため、実質的なミッション運用としては失敗とみなされているからです。

通信途絶の最大の原因は何だったと考えられていますか?

当時、火星全土を覆っていた極めて激しい砂嵐が原因であるという説が有力です。この砂嵐による電気的な干渉(コロナ放電)が、ランダーまたはオービターの通信装置にダメージを与えた可能性が高いと考えられています。

PrOP-Mローバーは実際に走行したのでしょうか?

残念ながら、走行したかどうかを確認できるデータは送信されませんでした。通信が途絶えたタイミングが非常に早かったため、ランダーから展開されたのか、あるいは走行を開始したのかは現在も謎のままです。

オービターはどのようなデータを地球に送りましたか?

火星の表面温度(−110℃〜+13℃)や気圧、大気中の水蒸気濃度、電離層の高度などの環境データに加え、最高22kmの山々を含む地形画像などを送信し、火星の重力場や磁場に関する知見を提供しました。

現在、Mars 3の機体はどこにあることが分かっていますか?

2013年にNASAの火星偵察機(MRO)が撮影した画像により、南緯45度、東経202度付近に、パラシュートやランダー本体と思われる物体が写っていることが報告されています。

References

  1. "Mars 3". nssdc.gsfc.nasa.gov. . Archived from the original on May 14, 2019. Retrieved November 30, 2022.
  2. Asif Siddiqi (2018). Beyond Earth: A Chronicle of Deep Space Exploration, 1958–2016 (PDF) (second ed.). NASA History Program Office.  .
  3. Mark Wade. "Mars M-71". Encyclopedia Astronautica. Retrieved May 27, 2024.
  4. V. G. Perminov (July 1999). The Difficult Road to Mars - A Brief History of Mars Exploration in the Soviet Union. NASA Headquarters History Division. pp. 34–60.  .
  5. "Mars 3 Lander". nssdc.gsfc.nasa.gov. . Archived from the original on April 5, 2019. Retrieved August 21, 2019.
  6. Guy Webster (April 11, 2013). "NASA Mars Orbiter Images May Show 1971 Soviet Lander". nasa.gov. . Archived from the original on June 29, 2017. Retrieved April 12, 2013.
  7. "Failed Soviet Mars spacecraft found?". 3 News NZ. April 15, 2013. Archived from the original on February 1, 2014. Retrieved January 18, 2019.
  8. "Как мы искали Марс-3". zelenyikot.com (in Russian). April 11, 2013.

📸 フォトギャラリー

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Rendering of the PrOP-M
The only result received from the camera on Mars 3 lander.
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