The dark and relatively featureless lunar plains, clearly seen with the naked eye, are vast solidified pools of ancient lava called maria.
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火山活動月の海玄武岩溶岩チューブ

月面の火山活動:古代の溶岩平原から地下洞窟の謎まで

🗓 2026年8月10日

夜空に浮かぶ月の表面には、地球とは異なる独自の火山活動の歴史が刻まれています。広大な暗い平原や点在するドーム状の丘、そして地下に潜む巨大な空洞など、月面を形作った火山現象は、この衛星の地質学的進化を解き明かす重要な鍵となります。

Key Facts

  • 月の海(マリア)は、表面の15%以上を占める広大な玄武岩質の溶岩平原である。
  • 火山活動のピークは約38億年前から30億年前(上インブリアン期からエラトステネス期)であった。
  • 溶岩チューブと呼ばれる地下洞窟が存在し、将来的な有人拠点の候補地として期待されている。
  • 最新の研究では、5,000万年前という地質学的にごく最近まで小規模な火山活動があった可能性が示唆されている。
  • 現在は活動的な火山は存在しないが、地下には依然として大量のマグマが残っている可能性がある。

月面の火山地形とその特徴

月の火山活動は、主に玄武岩質の溶岩流、火山ドームやコーン、そして爆発的な噴火による火砕物(パイロクラスティック堆積物)という3つの形態で現れます。地球のような巨大なカルデラは非常に稀ですが、小規模な火山複合体が各地に点在しています。

特に注目されるのが、揮発性成分を多く含んだマグマが深部から急上昇し、噴水のように噴出したことで形成された微小なガラスビーズ状の堆積物です。アポロ17号が採取したオレンジ色の土壌は、こうした古代の火山プロセスによって作られたガラスビーズによるものです。

Orange Taurus–Littrow soil discovered on the Apollo 17 mission. The orange color is due to microscopic glass beads created by volcanic processes earlier in the Moon's history.

また、月面には多様な火山地形が見られ、床が割れたクレーターや曲がりくねった谷(リル)、そして独特な形状のドームなどが確認されています。

Volcanic lunar features: A) Floor-fractured crater; B) Lava flows; C) Sinuous rille; D) Lunar dome (black arrows) and cone (white arrow); E) Lunar skylight; F) Irregular mare patch; G) 3D view of ring moat dome structures; H) Pyroclastic deposits

火山複合体の例:マリアス丘陵とリュンカー山

単独のドームよりも、複数の火山体が集まった複合体が多く見られます。その代表例であるマリアス丘陵は、59のコーンと262のドームからなり、地球の楯状火山に似た広大な溶岩台地を形成しています。また、リュンカー山も同様の構造を持ち、台地の上に20以上のドームがそびえ立っています。

Overhead view of the Marius Hills
Mons Rümker, a volcanic complex in Oceanus Procellarum

特殊な火山地帯:コンプトン・ベルコビッチ火山複合体(CBVC)

月の裏側に位置するCBVCは、一般的な「海」の地域とは異なる組成を持つ特異なエリアです。ここにはカルデラと思われる窪みや、複数のドーム(ウエスト、イースト、リトル、ミドル、ビッグ)が存在します。特に低重力の影響で、爆発的な噴火による破片が地球上では考えられないほど広範囲(約7万平方キロメートル)に飛散した痕跡が残っています。

「月の海」:広大な玄武岩の平原

肉眼で見てもはっきりと分かる暗い部分は月の海(マリア)と呼ばれ、かつての巨大な溶岩の池が凝固したものです。これらの多くは、巨大隕石の衝突でできた盆地の底に溶岩が流れ込んで形成されました。

The dark and relatively featureless lunar plains, clearly seen with the naked eye, are vast solidified pools of ancient lava called maria.

最大の「海」である嵐の大洋(Oceanus Procellarum)は直径約2,590kmに及び、他の多くの海を圧倒する規模を誇ります。これらの溶岩層の厚さは500mから1,500mに達しますが、個々の溶岩流は10〜20mと薄く、何度も繰り返し噴火が起きたことで積み重なったことが分かっています。

Most of the dark region is Oceanus Procellarum and smaller mare, such as Imbrium and Serenitatis, that sit within its ring. Left of the centerline is Procellarum proper.

海の種類は多岐にわたり、それぞれの地域で形成年代や特徴が異なります。例えば、モスコビエンセ海やスミシー海などは、それぞれ異なる地質学的背景を持っています。

Mare Moscoviense
Mare Smythii
主要な月の海(マリア)の一覧
ラテン名 英語名(意味) 直径 (km)
Mare Imbrium Sea of Showers(雨の海) 1,145.53
Mare Serenitatis Sea of Serenity(静かの海) 674.28
Mare Tranquillitatis Sea of Tranquility(静かの海) 875.75
Mare Crisium Sea of Crises(危機の海) 555.92
Mare Frigoris Sea of Cold(寒さの海) 1,446.41

地下に眠る聖域:溶岩チューブ

近年の探査により、月面には溶岩チューブ(溶岩が流れた後に中空になった洞窟)が存在することが確実視されています。表面に開いた「天窓(スカイライト)」と呼ばれる穴から内部が確認されており、日本の「かぐや」やNASAのLRO(ルナー・リコネサンス・オービター)がその証拠を捉えています。

The Mare Tranquillitatis pit may be the partial collapse of a lunar lava tube

これらの地下洞窟は、直径300mを超える巨大なものがあると考えられており、内部温度はマイナス20度前後で安定しています。厚い玄武岩の層に覆われているため、宇宙放射線や隕石の衝突、激しい温度変化から人間を守る天然のシェルターとして、将来の月面基地建設に最適な場所として期待されています。

火山活動のタイムラインと現状

月の火山活動は、約42億年前のアイトケニアン期に始まりました。その後、38億年前から30億年前にかけて最盛期を迎え、多くの溶岩平原が形成されました。かつては10億年前に活動が停止したと考えられていましたが、最新のデータでは5,000万年前まで小規模な噴火があった可能性が浮上しています。

現在、月面に活火山はありません。しかし、月震のデータは地下に相当量のマグマが依然として存在することを示唆しています。マグマが地表に現れないのは、その密度が高すぎて上昇できないためと考えられています。

Frequently Asked Questions

なぜ月の「海」は暗い色をしているのですか?

月の海は、鉄分を多く含む玄武岩質の溶岩でできているためです。周囲の明るい高地に比べて光の反射率が低いため、地球から見ると暗い色に見えます。

月には今でも火山があるのでしょうか?

いいえ、現在活動している火山はありません。ただし、地下にはまだマグマが残っている可能性が高く、地質学的な「死」を迎えたわけではないと考えられています。

溶岩チューブがなぜ月面基地に向いているのですか?

月面は宇宙放射線や微小隕石の衝突にさらされており、昼夜の温度差も極めて激しい環境です。厚い岩盤に覆われた地下洞窟は、これらの危険から居住者を保護し、安定した温度環境を提供できるためです。

月の火山活動は地球とどう違うのですか?

地球のようなプレートテクトニクスが存在しないため、活動のメカニズムが異なります。また、低重力の影響で、爆発的な噴火の際に破片が非常に広範囲に飛散するという特徴があります。

References

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  5. Whitaker, Ewen A. (2003). Mapping and Naming the Moon: A History of Lunar Cartography and Nomenclature. Cambridge University Press.
  6. Beard, Donald P. (July 14, 1917). "The Impact Origin of the Moon's Craters". Scientific American Supplement. 84 (2167supp): 20–22. :10.1038/scientificamerican07141917-20supp.
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  10. "Why are impact craters always round? Most incoming objects must strike at some angle from vertical, so why don't the majority of impact sites have elongated, teardrop shapes?". Scientific American. Retrieved 2025-04-18.

📸 フォトギャラリー

The dark and relatively featureless lunar plains, clearly seen with the naked eye, are vast solidified pools of ancient lava called maria.
Volcanic lunar features: A) Floor-fractured crater; B) Lava flows; C) Sinuous rille; D) Lunar dome (black arrows) and cone (white arrow); E) Lunar skylight; F) Irregular mare patch; G) 3D view of ring moat dome structures; H) Pyroclastic deposits
Most of the dark region is Oceanus Procellarum and smaller mare, such as Imbrium and Serenitatis, that sit within its ring. Left of the centerline is Procellarum proper.
Mare Moscoviense
Mare Smythii
Overhead view of the Marius Hills
Mons Rümker, a volcanic complex in Oceanus Procellarum
The Mare Tranquillitatis pit may be the partial collapse of a lunar lava tube
Orange Taurus–Littrow soil discovered on the Apollo 17 mission. The orange color is due to microscopic glass beads created by volcanic processes earlier in the Moon's history.