図書館目録とは、ある図書館や複数の図書館ネットワークが所蔵するすべての書誌アイテムを記録したレジスター(登録簿)のことです。書籍だけでなく、コンピュータファイル、地図、グラフィック、実物資料(リアリア)など、あらゆる情報エンティティが含まれます。また、単一の小説から三部作のような作品群、さらには関連するウェブページまで、利用者の利便性に寄与するあらゆるリソースが対象となります。複数の図書館が共同で作成する目録はユニオンカタログと呼ばれます。
Key Facts
- 目的: 特定の資料の発見(特定)、所蔵状況の把握(照合)、資料の選択(評価)を支援すること。
- 世界最大規模: 非営利団体OCLCが運営する「WorldCat」は、数億件のレコードと数十億の所蔵物を管理する世界最大のユニオンカタログである。
- 形式の変遷: 粘土板・巻物 → 手書き台帳・印刷本 → カード目録 → オンライン目録(OPAC)へと進化した。
- 標準化: 現代のデジタル目録は、MARC(機械可読目録)などの国際的な標準規格に基づいている。
目録の目的と機能的要件
目録の役割は単なる在庫管理にとどまりません。19世紀、アントニオ・パニッツィやチャールズ・アミ・カッターらは、理論的なモデルに基づいた目録作成ルールの先駆けとなりました。特にカッターは、目録が果たすべき3つの主要な目的を定義しました。
- 特定目的: 著者名、書名、主題、出版日のいずれかから資料を探し出せるようにすること。
- 照合目的: 特定の著者や主題、文学ジャンルにおいて、図書館が何を所蔵しているかを示すこと。
- 評価目的: 版の違いや内容の特性に基づき、利用者が最適な資料を選択できるよう支援すること。
これらの概念は、1960年代の「パリ原則」を経て、1998年のFRBR(書誌レコードの機能要件)へと発展しました。FRBRでは、利用者のタスクを「見つける(find)」「特定する(identify)」「選択する(select)」「入手する(obtain)」の4つに整理しています。
カード目録の誕生と普及
かつての目録は粘土板や羊皮紙、あるいは製本された台帳形式でしたが、これらは内容の追加や変更に多大なコストと手間がかかるという欠点がありました。この問題を解決したのが、個別の情報をカードに記録するカード目録です。1780年頃にウィーンで初めて登場したと言われています。

フランス革命期の1789年、宗教施設から回収された書籍の目録作成に、片面が空白のトランプが利用されたことが「1791年のフランス目録法」につながりました。その後、1815年頃にフランシス・ロナルズが個人の蔵書管理にカードシステムを導入し、実用的な運用が始まりました。

19世紀半ばには、メービル・デューイらアメリカの司書たちが、拡張性の高いカード目録を強力に推進しました。それまでの図書館では、本のサイズや著者名だけで整理されており、検索効率が低い状態でした。アメリカ図書館協会(ALA)は標準化を進め、最終的に郵便はがきと同じサイズである3×5インチ(約8cm×13cm)のカードが標準として定着しました。


また、エズラ・アボットはカードを2枚の木製ブロックの間に立てて保持する仕組みを考案し、アクセス性と安全性を向上させました。米国議会図書館(LOC)は1901年から1997年まで、自作の目録カードを販売することで、全米の図書館における重複作業の削減に貢献しました。


カード目録の実際の運用例として、イェール大学やマンチェスター中央図書館などの大規模施設では、膨大な数のカードが整然と管理されていました。






目録の種類と整理手法
目録は、どのような基準で情報を並べるかによっていくつかの種類に分けられます。
| 目録の種類 | 特徴・整理方法 |
|---|---|
| 主題目録 | 内容のテーマ(主題)に基づいて分類・整理されたもの。 |
| 書名目録 | 資料のタイトルに基づいてアルファベット順などで整理されたもの。 |
| 辞書式目録 | 著者、書名、主題などのすべてのエントリーを一つのアルファベット順に混在させたもの。 |
| キーワード目録 | 特定のキーワード体系に基づいてアルファベット順に整理された主題目録。 |
| 体系的目録(分類目録) | 主題を体系的に細分化した順序で整理されたもの。 |
| 棚卸目録(シェルフリスト) | 資料が棚に並んでいる物理的な順序と同じ順序で記録された目録。 |
効率的な検索を実現するため、典拠管理(Authority Control)という手法が用いられます。これは、同一人物が異なる表記で記載されていても、一つの標準的な形式に統一して管理することで、「ある著者の作品をすべて抽出する」といった操作を容易にする仕組みです。

デジタル時代への移行:OPACの登場
20世紀半ばからコンピュータによる目録作成が始まり、20世紀末にはほとんどのカード目録がデジタル形式に置き換わりました。これにより、OPAC(オンライン公共アクセス目録)が普及しました。

デジタル化を支えたのが、1960年代に開発されたMARC(Machine Readable Cataloging:機械可読目録)という規格です。これにより、コンピュータが書誌情報を正確に処理できるようになりました。OPACは従来のカード形式に比べ、以下のような利点があります。
- 動的なソート: ユーザーがその場で著者順、書名順、キーワード順などを切り替えて検索できる。
- 更新の効率化: データの修正や追加が瞬時に行え、物理的なカードの差し替えが不要。
- 高度な検索: 複雑な条件を組み合わせた検索が可能。
現在でも、一部の図書館では慣習的にオンライン目録を「カードカタログ」と呼ぶことがありますが、その実態は高度なデータベースシステムへと進化しています。

図書館目録の歴史的タイムライン
目録の歴史は人類の知識保存の歴史そのものです。
- 紀元前7世紀頃: アッシュールバニパル王の図書館(ニネヴェ)で、粘土板を形状や内容で分類。
- 紀元前3世紀頃: アレクサンドリア図書館の「ピナケス」が登場。最初期の目録とされる。
- 10世紀頃: ペルシャのシーラーズの図書館で、あらゆるトピックを網羅した詳細な目録が運用。
- 1595年: ライデン大学図書館で、機関として初の印刷目録が登場。
- 1815年: トーマス・ジェファーソンがフランシス・ベーコンの知識体系を応用した個人蔵書目録を米国政府に譲渡。
- 1961年: 国際的な合意に基づく「パリ原則」が策定される。
- 1967年: 英米目録規則(AACR)が導入され、標準化が加速。
Frequently Asked Questions
カード目録からOPACに変わって何が一番便利になりましたか?
最大の利点は、検索の柔軟性と更新速度です。カード目録では一度作成すると並び替えが困難でしたが、OPACではユーザーが自由にソート順を変更でき、司書側もデータの修正を即座に反映させることができます。
「ユニオンカタログ」とは具体的にどのようなものですか?
単一の図書館ではなく、複数の図書館が共同で所蔵情報を集約した目録のことです。代表例であるWorldCatを利用すれば、世界中のどの図書館に目的の資料があるかを一度に調べることができます。
典拠管理(Authority Control)とは何のために行うのですか?
表記の揺れを防ぐためです。例えば、同じ著者でも「夏目漱石」と「Natsume Soseki」とバラバラに登録されていると、検索漏れが発生します。これを一つの標準的な見出しに統一することで、確実にすべての関連資料を抽出できるようにします。
MARCとはどのような規格ですか?
Machine Readable Catalogingの略で、コンピュータが書誌情報を効率的に読み書きするためのデータ形式です。これにより、異なる図書館間でも目録データの交換や共有が可能になりました。
現代でもカード目録が使われていることはありますか?
実用的な検索手段としてはほぼ完全にOPACに置き換わりましたが、歴史的な資料として保存されているケースや、一部の小規模な施設で補助的に利用されている場合があります。また、用語として「カードカタログ」という言葉がオンライン目録を指して使われることがあります。
References
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- For example, the website of the Childress Public Library in refers to its online catalog as a "card catalog": "Online Card Catalog | Childress Public Library". harringtonlc.org. Archived from the original on 2022-10-10. Retrieved 2020-09-17. Another example of the term "card catalog" used to refer to an online catalog is in an instructional presentation produced by the Hayner Public Library District, which serves around : Cordes, Mary. "Searching the Card Catalog and Managing Your Library Account Online" (PDF). www.haynerlibrary.org. Archived from the original (PDF) on 2022-10-07. Retrieved 2020-09-17.
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