現代のデジタルデータ交換において、世界中の多種多様な組織やその内部部門を、重複なく正確に識別することは極めて重要です。ISO/IEC 6523は、コンピュータ間でのデータ交換に用いられる組織およびその一部をユニークに識別するための構造を定義した国際標準規格です。この規格により、異なるシステム間でも一貫した方法で組織を特定することが可能になります。

Key Facts

  • 組織やその内部組織を世界的に一意に識別するための構造を定義する国際標準
  • 識別コードの発行機関を示す「ICD(国際コード指定子)」を基軸としている。
  • GS1のGLN(グローバルロケーションナンバー)など、多くの実用的識別子に採用されている。
  • ISO/IECに代わり、Farance Inc.が登録機関(Registration Authority)として運用を担っている。
  • Schema.orgのプロパティ「iso6523Code」としても組み込まれている。

ISO/IEC 6523の構成と識別構造

本規格は大きく分けて2つのパートで構成されており、識別子の「構造」と、その運用に必要な「登録手続き」について規定しています。

パート1:識別スキームの構造

組織を特定するための識別子は、以下の要素を組み合わせて構築されます。これにより、どの機関が発行したコードであるかを明確にしつつ、詳細な組織単位まで特定できます。

  • ICD (International Code Designator):コードを発行した権限機関を識別する最大4桁の数字です。
  • 組織識別子 (Organization Identifier):組織自体を特定する最大35文字のコードです。
  • 組織部分識別子 (OPI: Organization Part Identifier):組織内の特定の部門や施設などを識別するための任意項目で、最大35文字まで設定可能です。
  • OPIソースインジケーター:誰がそのOPIを割り当てたかを示す1桁の任意項目です。

パート2:登録手続きの規定

ICD値の整合性を保つため、パート2では登録機関が遵守すべき要件や、ICDの割り当ておよび削除に関する具体的な手順が定められています。また、登録済みの識別スキームを管理するレジストリ(一覧表)の内容についても規定されています。

実社会での応用と連携規格

ISO/IEC 6523は単なる理論的な枠組みではなく、多くの業界標準の基盤となっています。代表的な例が、GS1が策定したGLN (Global Location Number)です。GLNはB2B取引において、工場、倉庫、会計部門、配送先といった特定の場所や機能を識別するために広く利用されており、UN/EDIFACT仕様に基づく注文書や請求書のやり取りにおいて不可欠な鍵となっています。

また、本規格はOSIプロトコル(ISO/IEC 8348)における命名規則や、オブジェクト識別子(OID)ツリーの構築にも寄与しています。さらに、OASISが発行した「ebCore Party Id Type」技術仕様では、ISO/IEC 6523に加え、ISO 9735やISO 20022をベースとしたURN(Uniform Resource Name)名前空間が定義されています。

適用範囲は広範で、一般的な企業だけでなく、GS1の商品識別(GTIN)や、米国国防総省の活動住所コード(DODAAC)、政府・民間団体コード(CAGE)といった軍事・行政分野の識別スキームにも活用されています。

ISO/IEC 6523 識別構造のまとめ
構成要素 最大長/形式 役割
ICD 4桁 コード発行機関の特定
組織識別子 35文字 組織自体のユニークな特定
OPI (任意) 35文字 組織内の部門や場所の特定
OPIソース (任意) 1桁 OPIの割り当て者の特定

Frequently Asked Questions

ISO/IEC 6523とは具体的に何をするための規格ですか?

コンピュータでのデータ交換時に、世界中の組織やその内部組織を重複なく、一意に識別するための共通ルール(構造)を定める規格です。

ICDとは何ですか?

International Code Designatorの略で、その組織識別コードをどの機関が発行したかを示す最大4桁の識別子です。これにより、異なる発行機関の間でコードが重複することを防ぎます。

GLNとISO/IEC 6523の関係は?

GLN(グローバルロケーションナンバー)は、ISO/IEC 6523の規範に準拠して開発された識別子です。B2B取引における場所や機能の特定に広く利用されています。

ICD値を取得するにはどうすればよいですか?

ISO/IECに代わり登録機関を務めるFarance Inc.を通じて手続きを行います。詳細は公式の案内ページ(iso6523.info)で確認でき、割り当て済みのICDリストも公開されています。

この規格はどのような分野で利用されていますか?

一般企業のB2Bデータ交換だけでなく、GS1による商品・場所の管理、軍事組織の識別、さらにはSchema.orgのようなウェブ構造化データなど、多岐にわたる分野で利用されています。