地球上の特定の地点を正確に伝え、共有するためには、世界共通のルールが必要です。ISO 6709は、緯度、経度、および高度(または深度)を用いて地理的な位置を表現するための国際標準規格です。この規格があることで、異なるシステム間や国を越えて、位置情報を誤解なく交換することが可能になります。
本規格は、測地学(地球の形状や大きさを測定する学問)の基礎に基づき、デジタルデータから人間が読み取る形式まで、幅広い表現方法を定義しています。
Key Facts
- 目的: 地理的な地点座標(緯度・経度・高度)の標準的な表現方法を定めること。
- 構成要素: 基本的に「第1水平座標(緯度)」「第2水平座標(経度)」「垂直座標(高度/深度)」「座標参照系(CRS)」の4項目で構成される。
- 最新版: 2022年に第3版(ISO 6709:2022)が発行されている。
- 基本原則: 座標参照系の指定がない場合は、「緯度→経度」の順で、北緯と東経を正の値として扱う。
規格の変遷と管理体制
ISO 6709は、時代の要請に合わせて更新されてきました。1983年に第1版がISO/IEC JTC 1/SC 32によって策定され、その後2001年には地理情報・ジオマティクスを専門とするISO/TC 211へ管理が移管されました。
2008年には大幅な改訂が行われ第2版が公開され、2009年には技術的な修正(Cor 1)が加えられました。そして、最新の技術動向を反映した第3版が2022年に公開されています。
地理的地点を定義する4つの要素
ISO 6709では、ある地点を特定するために以下の4つの情報を定義しています。
- 第1水平座標(Φ または y): 一般的に緯度を指します。赤道を基準とし、北側を正、南側を負の数値で表します。
- 第2水平座標(λ または x): 一般的に経度を指します。本初子午線を基準とし、東側を正、西側を負の数値で表します。
- 垂直座標: 高度または深度を指します(任意項目)。
- 座標参照系(CRS): 座標値と地球上の実際の地点を紐付けるための定義です(任意項目)。
特にCRS(Coordinate Reference System)は重要であり、EPSGなどのレジストリによる識別子が利用されることが一般的です。これにより、どの楕円体や基準点に基づいた座標であるかが明確になります。
データの表現形式とルール
デジタルデータ交換の原則
システム間でのデータ交換においては、度・分・秒の60進法よりも、十進法(Decimal Degrees)による表記が推奨されています。また、CRSの指定がない場合は、以下の慣習に従って解釈されます。
- 緯度を先に、経度を後に記述する。
- 北緯を正(+)、東経を正(+)とする。
人間向けの表示スタイル(Annex D)
ユーザーインターフェースなどで人間が読みやすく表示する場合、以下のスタイルが提案されています。
- 各値(緯度・経度・高度)の間はスペースで区切る。
- 度・分・秒の記号(°、′、″)を使用し、数値との間にスペースを入れない。
- 10未満の分・秒には先頭にゼロを付与する(例:05′)。
- 方位は数値の直後に N, S, E, W の記号で示す。
- 高度・深度の単位記号を数値の直後に付記し、基準面より下の場合はマイナス記号(−)を用いる。
例:50°40′46″N 95°48′26″W 123.45m
文字列による表現(Annex H)
特定の形式の文字列として表現する場合、緯度、経度、高度、CRS識別子を区切り文字なしで連結し、最後にスラッシュ(/)を付加します。高度を含める場合は、必ずCRS識別子の記載が必要です。
| 桁数 | 単位 | フォーマット | 表記例 |
|---|---|---|---|
| 2桁(緯度)/ 3桁(経度) | 度 | ±DD.D / ±DDD.D | +40.20361 / -075.00417 |
| 4桁(緯度)/ 5桁(経度) | 度・分 | ±DDMM.M / ±DDDMM.M | +4012.22 / -07500.25 |
| 6桁(緯度)/ 7桁(経度) | 度・分・秒 | ±DDMMSS.S / ±DDDMMSS.S | +401213.1 / -0750015.1 |
座標参照系(CRS)の識別方法
CRSの識別子は「CRS」という文字列で始まり、以下の3つのスタイルで記述されます。
- オンラインリゾルバー形式:
CRS<url>(URLを通じて定義を参照) - オフラインレジストリ形式:
CRSregistry:crsid(レジストリ名とIDを指定) - 完全定義形式:
CRS<CRSID>(ISO 19111に基づいた詳細定義)
具体例として、世界的に広く利用されているWGS 84は CRSWGS_84 と表記されます。
Frequently Asked Questions
ISO 6709とはどのような規格ですか?
地球上の地点を緯度、経度、高度を用いて表現するための国際的な標準ルールを定めた規格です。データの互換性を確保し、正確な位置情報を共有することを目的としています。
座標参照系(CRS)を指定しない場合はどうなりますか?
CRSの指定がない場合、標準的な慣習として「緯度が先、経度が後」であり、「北緯と東経が正の値」であると解釈されます。
高度や深度を表記する際の注意点はありますか?
文字列表現(Annex H)を用いる場合、高度や深度を記載するときは必ずCRS識別子を併記しなければなりません。また、正負の方向(上向きか下向きか)は使用するCRSによって定義されます。
人間向けの表示とシステム向けの表記はどう違いますか?
人間向けには「° ′ ″」などの記号や「N, S, E, W」の方位記号を用いた60進法表記が推奨されますが、デジタルデータ交換では計算効率と精度の観点から十進法(Decimal Degrees)が好まれます。
最新のバージョンはいつ発行されましたか?
最新の第3版(ISO 6709:2022)は、2022年に発行されました。
References
- Probably the intention is that the locale environment should not be overridden.
- This is different from SI style guides.[ – ]
- Height without CRS identifier was allowed in the first edition, but not today. Ending with longitude is still allowed.
- Annex H allows letters
NandSas sign characters, but gives no examples. - Annex H allows letters
EandWas sign characters, but gives no examples. - This is different from the 1983 edition.