私たちが暮らす地球は、一見すると完璧な球体のように見えますが、実際にはわずかに歪んだ形状をしています。地球の中心から表面までの距離である地球の半径は、測定する場所によって異なります。このわずかな差が、現代のGPSなどの精密な位置測位システムを支える基礎となっています。
地球の形状を近似的に表すと「扁平球(oblate spheroid)」と呼ばれ、赤道付近が膨らみ、南北の極方向に押しつぶされた形をしています。このため、半径の値は赤道上で最大となり、極で最小となります。

Key Facts
- 赤道半径 (a): 約6,378.1 km(地球で最大の半径)
- 極半径 (b): 約6,356.8 km(地球で最小の半径)
- 平均半径: 一般的に約6,371 kmとして扱われる
- 形状の特性: 自転による遠心力で赤道方向に膨らんでいる
- 偏差: 球体からのズレはわずか0.3%程度である
地球の形状を決定づける物理的要因
地球が完全な球ではなく扁平な形状をしているのは、主に地球の自転による影響です。自転に伴う遠心力が赤道付近に強く働くため、物質が外側へ押し出され、赤道部分が盛り上がります。この現象は物理学的に計算可能であり、惑星の質量、自転速度、重力定数などの関係から導き出されます。
興味深いことに、この赤道方向の膨らみは一定ではなく、海洋海流による質量の再分配などの影響で緩やかに変動しています。1998年以降は、再び膨らみが大きくなる傾向にあることが示唆されています。

測地学的な半径の定義と基準
地球の正確な大きさを定義するために、測地学ではWGS-84(世界測地系1984)などの参照楕円体が用いられます。これは地球の表面を理想的な数学的曲面で近似したものです。
主要な半径の値
WGS-84に基づくと、赤道半径(長半径)は6,378.1370 km、極半径(短半径)は6,356.7523 kmと定義されています。これらの値は、天文学的な比較や地球物理学的な計算の基準となります。

平均半径の3つのアプローチ
単一の「平均半径」を求める際、国際測地学・地球物理学連合(IUGG)は目的に応じて3つの異なる定義を提示しています。いずれも約6,371 kmに近い値となります。
- 算術平均半径 (R1): 赤道2点と極1点の半径から算出される単純平均。
- 等面積半径 (R2): 地球の表面積と同じ面積を持つ球の半径。
- 等体積半径 (R3): 地球の体積と同じ体積を持つ球の半径。
場所によって異なる曲率半径
地球表面上の特定の地点において、曲がり具合(曲率)は方向によって異なります。これを解析するために、以下の概念が用いられます。
子午線曲率半径と垂線曲率半径
南北方向の曲がり具合を示すのが子午線曲率半径 (M)であり、南北軸に垂直な方向(東西方向)の曲がり具合を示すのが垂線曲率半径 (N)です。これらは緯度によって変動し、極地方と赤道地方では異なる値を取ります。

また、これらを組み合わせたガウス曲率半径や平均曲率半径といった指標もあり、地図投影法や精密な距離計算に利用されています。



地形による実際の変動
数学的なモデルである楕円体とは別に、実際の地表には山や海溝があるため、中心からの距離はさらに変動します。
- 最大距離: エクアドルのチンボラソ山の山頂は、地球中心から約6,384.4 km離れており、地球上で最も「宇宙に近い」地点の一つです。
- 最小距離: 北極海の海底などは、中心から約6,352.8 kmまで近づきます。
地表全体の平均的な距離を算出すると、モデル上の平均半径よりも約230m大きくなり、約6,371.230 kmとなります。
地球の大きさを測った歴史
地球の大きさを知ろうとする試みは古くからありました。紀元前350年頃のアリストテレスが周長について言及し、紀元前240年頃のエラトステネスが科学的な計算手法を用いて地球の周囲を測定したことが知られています。

その後、16世紀のマゼランによる世界周航が地球の球形を実証しました。18世紀に入ると、アイザック・ニュートンらが「地球は扁平である」と主張しましたが、これに反対する説もありました。最終的に1730年代のフランス測地遠征隊が、北極圏付近と赤道付近で緯度1度の長さを測定し、ニュートンの正しさを証明しました。
地球半径のまとめ
| 指標 | 定義・特徴 | 近似値 (km) |
|---|---|---|
| 赤道半径 (a) | 中心から赤道までの距離 | 6,378.1 |
| 極半径 (b) | 中心から極までの距離 | 6,356.8 |
| 平均半径 | IUGG定義の代表値 | 6,371.0 |
| 最大地形半径 | チンボラソ山頂 | 6,384.4 |
| 最小地形半径 | 北極海海底 | 6,352.8 |
Frequently Asked Questions
なぜ地球の半径は場所によって違うのですか?
地球が自転しているためです。自転による遠心力が赤道付近で最も強く働くため、その部分が外側に膨らみ、結果として赤道半径が極半径よりも長くなっています。
「平均半径」にはどのような種類がありますか?
主に、単純な算術平均、表面積を基準とした等面積半径、体積を基準とした等体積半径の3種類があります。用途によって使い分けられますが、いずれも約6,371 kmとなります。
WGS-84とは何ですか?
世界測地系1984の略で、地球の形状を数学的に定義した参照楕円体の一種です。GPSなどの衛星測位システムで世界共通の基準として利用されています。
地球で最も中心から遠い場所はどこですか?
エベレストよりも、赤道に近いエクアドルのチンボラソ山頂の方が地球の中心から遠い位置にあります。これは、山自体の高さに加えて、赤道付近の地球の膨らみが影響しているためです。
地球の形状は完全に固定されていますか?
いいえ。海洋海流による質量の移動などの影響で、赤道方向の膨らみは時間とともにわずかに変動していることが分かっています。
References
- For details see , , and .
- There is no single center to the geoid; it varies according to local conditions. Where there is land, the geoid is generally below ground; it represents where the sea level would be if water could reach it from the ocean via an imaginary canal.
- In a geocentric ellipsoid, the center of the ellipsoid coincides with some computed center of Earth, and best models the earth as a whole. Geodetic ellipsoids are better suited to regional idiosyncrasies of the geoid. A partial surface of an ellipsoid gets fitted to the region, in which case the center and orientation of the ellipsoid generally do not coincide with the earth's center of mass or axis of rotation.
- The value of the radius is completely dependent upon the latitude in the case of an ellipsoid model, and nearly so on the geoid.
- This follows from the rule (2): a planet assumes a shape due to where and are nearly balanced.
- East–west directions can be misleading. Point B, which appears due east from A, will be closer to the equator than A. Thus the curvature found this way is smaller than the curvature of a circle of constant latitude, except at the equator. West can be exchanged for east in this discussion.
- N is defined as the radius of curvature in the plane that is normal to both the surface of the ellipsoid at, and the meridian passing through, the specific point of interest.
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