私たちの身の回りにある「球体に近い形」の物体は、厳密には完全な球ではないことが多くあります。数学的に、楕円をその主軸のいずれかを中心に回転させて得られる曲面を回転楕円体(spheroid)と呼びます。これは2つの半軸の長さが等しい楕円体であり、円対称性を持つのが特徴です。
回転させる軸によって、その形状は大きく2つのタイプに分かれます。短軸を中心に回転させると、上下に押しつぶされたような「扁平楕円体(oblate spheroid)」になり、長軸を中心に回転させると、ラグビーボールのように伸びた「長球(prolate spheroid)」になります。なお、もとの楕円が正円であれば、結果は完全な球体となります。

Key Facts
- 回転楕円体とは、楕円を回転させてできる円対称の立体である。
- 扁平楕円体は短軸回転で形成され、地球や木星などの惑星の形状に近い。
- 長球は長軸回転で形成され、ラグビーボールや一部の原子核の形状に似ている。
- 地球は自転による遠心力で、赤道方向に膨らんだ扁平楕円体として近似される。
- 体積は、半軸 $a$(赤道半径)と $c$(極半径)を用いて $V = \frac{4}{3}\pi a^2 c$ で計算できる。
扁平楕円体(Oblate Spheroid):惑星の形
扁平楕円体は、回転軸方向(極方向)に短く、それに垂直な方向(赤道方向)に長い形状をしています。この形状の代表例が、地球を含む多くの惑星です。天体が高速で自転すると、遠心力によって赤道付近が外側に膨らむため、完全な球ではなくわずかに平らな形になります。
例えば、太陽系で最も扁平率が高いのは土星であり、その値は0.09796に達します。地球の場合、地図作成や測地学において「基準楕円体」としてこの形状が採用されています。現在の世界測地系(WGS)では、赤道半径を6,378.137km、極半径を6,356.752kmとしてモデル化しています。

長球(Prolate Spheroid):伸びた形状
一方で、長球は回転軸方向に長く伸びた形状をしています。日常的な例では、ラグビーボールやアメリカンフットボール(ただし後者は端がより尖っている)がこれに近い形です。また、潜水艦の設計にもこの形状が応用されることがあります。
宇宙空間では、巨大な天体の近くを回る衛星が潮汐力の影響を受けることで、長球に近い形に歪むことがあります。木星の衛星イオはその典型例であり、軌道の離心率によって形状が変動し、それが激しい火山活動の原因の一つとなっています。また、天文学ではカニ星雲のような星雲の形状を説明する際にもこの用語が使われます。

数学的特性と定義
回転楕円体の形状を定義する際、重要な指標となるのが扁平率(flattening)と離心率(eccentricity)です。扁平率は、赤道半径 $a$ と極半径 $c$ の差を赤道半径で割った値($f = (a-c)/a$)で表されます。これにより、その物体がどれだけ「潰れているか」を定量的に示すことができます。
また、微視的な世界でもこの形状は現れます。原子核における陽子と中性子の密度分布は、球形だけでなく、扁平楕円体や長球の形をとることがあり、これは電磁気的な反発力や量子シェル効果などの相互作用によって決定されます。
| 種類 | 回転軸 | 形状の特徴 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| 扁平楕円体 (Oblate) | 短軸 | 上下に平ら(赤道方向に膨らむ) | 地球、土星、木星 |
| 長球 (Prolate) | 長軸 | 縦に長い(ラグビーボール状) | ラグビーボール、一部の衛星、原子核 |
| 球 (Sphere) | (円の回転) | 全方向で等しい | 理想的な球体 |
Frequently Asked Questions
地球はなぜ完全な球ではないのですか?
地球が自転しているため、赤道付近に強い遠心力が働き、外側へ押し出されるからです。その結果、赤道部分が膨らみ、極方向にわずかに潰れた扁平楕円体のような形状になります。
扁平楕円体と長球の決定的な違いは何ですか?
回転させる軸の違いです。楕円の短い方の軸(短軸)を中心に回せば扁平楕円体になり、長い方の軸(長軸)を中心に回せば長球になります。
離心率とは具体的に何を意味しますか?
楕円がどれだけ円から離れているかを示す指標です。回転楕円体においては、赤道半径と極半径の比率に基づいて計算され、形状の歪み具合を数学的に定義するために用いられます。
原子核が回転楕円体になるのはなぜですか?
陽子同士の電気的な反発力、表面張力、そして量子力学的なシェル効果が互いに影響し合うことで、球形ではなく扁平または長球状に歪むためです。
ラグビーボールは数学的に正確な長球ですか?
近似的には長球と言えますが、厳密な数学的定義における回転楕円体よりも、実際には端がより尖っていたり、わずかに異なる形状をしていたりすることが一般的です。
References
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- "Nuclear fission - Fission theory". Encyclopedia Britannica.
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