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D. Appleton & Company19世紀アメリカを代表した出版社の軌跡

🗓 2026年8月16日

19世紀から20世紀初頭にかけて、アメリカの知的風景に多大な影響を与えたのがD. Appleton & Companyです。ニューヨークを拠点としたこの出版社は、単なる書籍の販売にとどまらず、科学、医学、文学、そして歴史に至るまで、幅広い分野で質の高い知識を大衆に提供し続けました。

創業者のダニエル・アップルトンは、もともと書籍も扱う雑貨店を営んでいましたが、1831年に初の書籍を出版したことで、本格的な出版業へと舵を切りました。その後、同社は手頃な価格で最先端の知見を届ける戦略をとり、当時の知識層のみならず、一般市民の間でも広く支持される存在となりました。

Key Facts

  • 創業: 1825年(ダニエル・アップルトンによる)
  • 拠点: アメリカ合衆国 ニューヨーク市
  • 強み: 科学、医学、スペイン語圏向け書籍、アメリカ史などの専門分野
  • 主要功績: チャールズ・ダーウィンら著名な科学者の著作を普及させた
  • 終焉: 1933年にThe Century Companyと合併し、後にAppleton-Century-Croftsへ

出版事業の展開と専門領域

D. Appleton & Companyの最大の特徴は、学術的な権威と商業的な普及を両立させた点にあります。特に科学分野への貢献は目覚ましく、チャールズ・ダーウィン、トーマス・ハクスリー、ジョン・ティンダル、ハーバート・スペンサーといった当時の世界的科学者の著作を、手の届きやすい価格で出版しました。

また、医学書の専門部門を設けたほか、南米市場をターゲットにしたスペイン語書籍(ラファエル・ポンボの作品など)の出版にも注力し、独自のニッチ市場を開拓しました。文学やアメリカ史の分野においても、一流の著者を揃えた強力なラインナップを構築していました。

百科事典と定期刊行物の成功

同社は大規模な参照図書の出版でも名を馳せました。『American Cyclopedia』や『Universal Cyclopaedia』などの百科事典シリーズは、当時の知識の集大成として高く評価されました。また、1872年にはエドワード・L・ユーマンズ編集による『Popular Science Monthly』誌を創刊し、科学の普及に大きく寄与しました。

沿革と組織の変遷

会社の歴史は、絶え間ない拡大と組織再編の連続でした。1848年に創業者ダニエルが引退すると、息子ウィリアム・ヘンリーと兄弟たちがパートナーシップを組み、経営を引き継ぎました。1857年には、ニューヨークの貿易出版社として初めて購読出版(サブスクリプション形式)を導入し、ビジネスモデルの革新を図りました。

しかし、順風満帆なことばかりではなく、1900年には一度破産申請を行い、『Popular Science』を売却するなどの苦境を経験しています。その後、ジョセフ・H・シアーズによる再編成を経て、再び業界での地位を回復しました。

1933年6月2日、同社はThe Century Companyと合併し「Appleton-Century Company」となりました。さらに1948年にはF. S. Crofts Co.と合併し、「Appleton-Century-Crofts」としてその歴史を継承することとなりました。

D. Appleton & Company 主要年表
出来事
1825年 ニューヨークで書籍ビジネスを開始
1831年 初の書籍『Crumbs from the Master's Table』を出版
1869年 『Appleton's Journal』創刊
1872年 『Popular Science Monthly』および国際科学シリーズを開始
1890年 American Book Companyを共同設立
1933年 The Century Companyと合併
1948年 F. S. Crofts Co.と合併し、Appleton-Century-Croftsとなる

代表的な出版作品

同社が世に送り出した作品は多岐にわたります。文学作品では、ルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』の米国初版や、スティーヴン・クレーンの『赤い勲章』などを出版しました。また、ラドヤード・キプリングの全集(15巻)や、ヘンリー・ジェイムズ、エディス・ウォートンの著作など、時代を彩る作家たちの作品を数多く手がけています。

実用書や歴史書では、ウィリアム・テカムセ・シャーマン将軍の回想録や、ジェファーソン・デイヴィスの著作など、南北戦争に関連する重要な記録を世に送り出しました。また、『Appleton's Railroad and Steamboat Guide』のような旅行ガイドも出版し、当時の交通インフラの発展に合わせた情報提供を行っていました。

Frequently Asked Questions

D. Appleton & Companyはどのような出版社でしたか?

1825年にニューヨークで設立されたアメリカの出版社で、科学、医学、文学、歴史など幅広い分野の書籍を出版し、特に学術的な知見を一般に普及させたことで知られています。

どのような著名な著者の本を出版していましたか?

科学分野ではチャールズ・ダーウィンやトーマス・ハクスリー、文学分野ではルイス・キャロル(米国初版)やラドヤード・キプリング、エディス・ウォートンなどの著名な著者の作品を出版していました。

同社が特に力を入れていた専門分野は何ですか?

最先端の科学書籍を低価格で提供することに注力したほか、医学書の専門部門の運営や、南米市場向けのスペイン語書籍の出版に強みを持っていました。

会社は最終的にどうなったのでしょうか?

1933年にThe Century Companyと合併してAppleton-Century Companyとなり、その後1948年にF. S. Crofts Co.と合併してAppleton-Century-Croftsとなりました。

百科事典などの参照図書も出版していましたか?

はい。『American Cyclopedia』や『Universal Cyclopaedia』など、大規模な百科事典シリーズを多数出版し、当時の知識ベースの構築に貢献しました。

References

  1. "Century to Merge with Appleton & Co.; Two of the Oldest Publishing Houses in Nation Being United by Stockholders. Hiltman to be Chairman W.M. Shuster Will Be President of New Company — Project Long Under Consideration. (Published 1933)". . March 18, 1933. Retrieved February 5, 2021.
  2. Rines, George Edwin, ed. (1920). "Appleton, Daniel" . .
  3. "Granted Charter". Brooklyn, New York: Times Union. June 2, 1933. p. 11. Retrieved November 27, 2024.
  4. "1831---House of Appleton". Major American Publishers. The Hyde Park Book Store. February 7, 2012. Archived from the original on May 19, 2006. Retrieved September 14, 2013.
  5. International Scientific Series (D. Appleton & Co.) - Book Series List, publishinghistory.com. Retrieved 7 July 2023.