地球から約520光年離れた、ひとつの黄色い矮星(主系列星)の周囲を猛烈な速度で回る惑星があります。その名はCoRoT-7b。2009年にフランス主導のCoRoTミッションによって発見されたこの惑星は、当時、直径が測定された系外惑星の中で最小であり、地球のような岩石主体の「地球型惑星」である可能性を初めて示した画期的な存在でした。
しかし、その環境は地球とは程遠い、想像を絶する過酷な世界です。主星に極めて近い軌道を回るため、表面は灼熱の溶岩に覆われていると考えられています。

Key Facts
- 分類: スーパーアース(地球より大きく、海王星より小さい岩石惑星)
- 公転周期: 約20.5時間(1日で1周する計算)
- 表面温度: 1,300〜1,800 K(約1,030〜1,530 °C)
- 特徴: 昼側が溶岩の海に覆われている「溶岩海洋惑星」の先駆け
- 発見方法: トランジット法(惑星が恒星の前を横切る際の減光を観測)
発見の経緯と観測手法
CoRoT-7bは、惑星が主星の前を通過する際に星の明るさがわずかに低下するトランジット法によって検出されました。2007年から2008年にかけての観測で、約1.3時間という短時間の減光が153回も繰り返されることが確認され、その後の地上観測を経て惑星であることが確定しました。
また、スピッツァー宇宙望遠鏡による異なる波長での検証が行われたことで、ノイズの多いデータの中でもこの惑星の存在が極めて高い信頼性で裏付けられました。

物理的特性と内部構造の謎
この惑星の質量については、主星の揺れを測定する視線速度法を用いて解析されましたが、主星自体の活動が激しいため、研究者間で数値に幅があります。初期の推定では地球の約4.8倍でしたが、後の解析では約6〜8倍という説が有力視されています。密度が地球と同等かそれ以上であることから、ガス惑星ではなく、鉄などの重い元素を多く含む岩石惑星であることは間違いありません。
内部構造のモデルでは、中心に小さな鉄の核を持ち、その上のマントルで対流が起きていると考えられています。特に、主星に常に面している「昼側」では、表面まで対流が及んでいるため、地表全体が溶岩の海となっている可能性が高いとされています。

極限環境:溶岩の海と岩石の雨
CoRoT-7bは主星に非常に近いため、潮汐ロック(常に同じ面を主星に向ける状態)されていると考えられています。これにより、昼側は白熱電球のフィラメントのように高温になり、岩石が蒸発して希薄な大気を形成している可能性があります。
この特殊な大気では、ナトリウムやケイ素などの成分が気体として存在し、それが夜側へ運ばれたり、あるいは昼側で凝結したりすることで、エンスタタイトやコランダムといった鉱物が「雨」のように降り注ぐという、地球ではありえない現象が起きていると推測されています。
CoRoT-7bの基本データまとめ
| 項目 | 数値・詳細 |
|---|---|
| 半径 | 地球の約1.528倍 |
| 質量 | 地球の約6.06倍(推定値) |
| 公転周期 | 0.853585日(約20.5時間) |
| 平均温度 | 1,300〜1,800 K |
| 軌道長半径 | 0.0172 AU |
Frequently Asked Questions
CoRoT-7bに生命は存在する可能性がありますか?
可能性は極めて低いです。表面温度が1,000度を超え、溶岩の海が広がっているため、私たちが知る形態の生命が生存できる環境ではありません。
「スーパーアース」とはどのような惑星ですか?
地球よりも質量が大きいものの、海王星や天王星のようなガス惑星よりは小さい岩石主体の惑星を指します。CoRoT-7bはその代表的な例の一つです。
この惑星はもともとガス惑星だったのでしょうか?
一部の説では、もともと海王星のようなガス惑星だったものが、主星に近すぎたために外層のガスを剥ぎ取られ、核だけが残った「クソニアン惑星(Chthonian planet)」である可能性が指摘されています。一方で、最初から岩石惑星だったとする説もあり、議論が続いています。
CoRoT-7b以外に同じ星を回る惑星はありますか?
はい。視線速度法の観測により、地球の約8.4倍の質量を持つ「CoRoT-7c」という別のスーパーアースの存在が検出されています。また、さらに外側に海王星サイズの惑星(CoRoT-7d)が存在する可能性も示唆されています。
References
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