大英博物館グレートコートの建築と変遷
ロンドンの象徴的な文化施設である大英博物館の中央には、光あふれる広大な空間「グレートコート」が広がっています。かつては書架で埋め尽くされていたこの場所が、どのようにして現代的な交流拠点へと生まれ変わったのか。その劇的な建築プロセスと構造的な工夫について解説します。
主要な事実(Key Facts)
- 旧用途:1997年まで大英図書館の書庫(3階建ての書架)として利用されていた。
- 屋根構造:オーストリアのWaagner-Biro社が設計・施工した革新的なグリッドシェルガラス屋根を採用。
- 空間活用:地階にクローア教育センターとアフリカ・ギャラリーを配置し、地上階のレベルを引き上げた。
- 保存と再生:歴史的な読書室を維持しつつ、外壁の新設により現代的な機能を持たせた。
書庫から開放的な広場へ:空間の再定義
1997年に大英図書館がセント・パンクラスへ移転するまで、博物館の中央中庭は巨大な「ブックスタック(書架)」に占拠されていました。3階建ての高さまで積み上げられた本棚が空間を埋めていたため、来館者は中庭を横切ることができず、外周を回らなければなりませんでした。
図書館の移転後、これらの書架が撤去され、現在のグレートコートが建設されました。特筆すべきは、元の地面よりも一段高い位置に新しい「地上階」を設定したことです。これにより生まれた地下空間には、1970年からマンカインド博物館に置かれていたアフリカ・ギャラリーや、クローア教育センターが収容されることとなりました。
建築的ハイライトと機能的な刷新
革新的なガラス屋根とアクセス改善
中庭全体を覆うのは、オーストリアの専門企業Waagner-Biro社が手掛けたグリッドシェル(格子状のシェル構造)のガラス屋根です。これにより、屋外だった中庭が全天候型の屋内空間へと変わり、博物館の中心的なハブとして機能するようになりました。
また、南ポルティコ(玄関ポーチ)の大規模な再建も行われました。ここではバリアフリーへの配慮から、上層階へアクセスするための新しいエレベーター2基が導入されています。
歴史的読書室の保存と統合
中庭の中央に位置する大英図書館の読書室は、リノベーションを経て博物館の図書館および情報センターとして再利用されました。もともとこの読書室には外壁がなく、背後まで書架が密接していましたが、今回の改修で新たに外壁が構築されました。この壁は、読書室の保護だけでなく、屋根の支持や地下空間への換気ダクトの隠蔽という重要な役割を担っています。
複合的な施設配置
読書室の北側には多機能なブロックが配置されています。地上階にはミュージアムショップが構え、その上階には企画展のためのギャラリー、さらに最上階(ガラス屋根の直下)にはレストランが設けられており、文化と憩いが融合した設計となっています。
グレートコートの構造概要
| エリア | 主な機能・特徴 | 備考 |
|---|---|---|
| 屋根 | グリッドシェルガラス構造 | Waagner-Biro社による設計 |
| 地上階 | メインエントランス・ショップ | 元の地面より一段高いレベル |
| 地下階 | アフリカ・ギャラリー、教育センター | 空間の有効活用による新設 |
| 中央施設 | 読書室(情報センター) | 新設の外壁で保護・補強 |
| 北側棟 | ショップ、ギャラリー、レストラン | 垂直方向の機能分担 |
Frequently Asked Questions
グレートコートができる前、中庭はどうなっていましたか?
1997年まで大英図書館の書庫として利用されており、3階建ての高さがある巨大な本棚が中庭を埋め尽くしていました。そのため、来館者は中庭を通り抜けることができず、迂回する必要がありました。
ガラス屋根にはどのような特徴がありますか?
オーストリアのWaagner-Biro社が設計したグリッドシェル構造のガラス屋根で、中庭全体を覆うことで、天候に左右されない開放的な屋内空間を実現しています。
読書室の構造にどのような変更が加えられましたか?
以前は外壁がなく書架に接していましたが、新しく外壁が設置されました。これにより、建物の保護、屋根の重量支持、および地下への換気システムの集約が可能になりました。
バリアフリー対応としてどのような対策が取られましたか?
南ポルティコの再建に伴い、車椅子利用者などの移動を支援するため、上層階へアクセスできる新しいエレベーターが2基設置されました。
地下階には何が配置されていますか?
地上階のレベルを引き上げたことで生まれたスペースに、クローア教育センターと、以前はマンカインド博物館にあったアフリカ・ギャラリーが配置されています。