人類を再び月へと送り届ける壮大なプロジェクト「アルテミス計画」。その重要なステップとなる「アルテミス IV」ミッションでは、地球から月軌道までを繋ぐ高度な輸送インフラが投入されます。本記事では、ミッションの成否を握る強力なロケット、乗組員の生命線となる宇宙船、そして月面への最終アプローチを担う着陸システムの詳細を解説します。
主要コンポーネントの概要
アルテミス IV では、役割の異なる3つの主要システムが連携して動作します。まず、超大型ロケットであるSLS(スペース・ローンチ・システム)がオリオン宇宙船を月方向へ打ち上げます。次に、乗組員を輸送し、月軌道での活動を支えるオリオン多目的 crew vehicleが機能し、最後に月面への降下と離陸を担うHLS(有人着陸システム)が運用されます。
| システム名 | 主な役割 | 特記事項 |
|---|---|---|
| SLS | 地球からの打ち上げ・月軌道投入 | RS-25エンジンを4基搭載 |
| オリオン宇宙船 | 乗組員の輸送・地球への帰還 | 欧州サービスモジュール(ESM)を統合 |
| HLS | 月面への着陸および月軌道への復帰 | SpaceXまたはBlue Originの機体を採用 |
SLS:月への道を切り拓く超重量級ロケット
地球の重力を振り切り、オリオン宇宙船を月遷移軌道(地球から月へ向かうルート)へと送り出すのが、超重量級ランチャーであるSLSです。このミッションのコアステージには、強力な推進力を生み出すRS-25エンジン(シリアル番号:E2044, E2050, E2051, E2063)の4基が搭載されます。
また、今回のミッションは、暫定的な極低温推進段であるICPS(Interim Cryogenic Propulsion Stage)を使用して打ち上げられる最後のミッションとなる予定です。
オリオン宇宙船:宇宙飛行士の安全な移動を保障
すべてのアルテミスミッションにおいて、乗組員の移動を担うのがオリオン多目的 crew vehicle です。この宇宙船は、人間が滞在する「乗組員モジュール」と、電力や推進力を供給する「欧州サービスモジュール(ESM)」で構成されています。オリオンは地球から月軌道まで飛行し、月面着陸船とのドッキングを経て、最終的に乗組員を地球へ安全に帰還させる役割を担います。
アルテミス IV で使用されるESM-4(欧州サービスモジュール4号機)は、ドイツのブレーメンにあるエアバス社施設で製造され、2025年12月にNASAへ納入されました。
HLS:月面への最終アプローチ
月面への降下と離陸を担うHLS(有人着陸システム)には、NASAが選定した2つの候補のいずれかが採用されます。具体的には、SpaceX社の「Starship HLS」またはBlue Origin社の「Blue Moon」です。
どちらの着陸船が採用されるかは、2027年半ばに予定されているアルテミス III ミッションでの低地球軌道におけるランデブーおよびドッキング試験の結果に加え、各企業の機体提供準備状況に基づいて決定されます。
Key Facts
- SLSの推進力: RS-25エンジンを4基搭載し、オリオンを月軌道へ送り出す。
- ICPSの運用: アルテミス IV はICPSを使用する最終ミッションとなる。
- オリオンの構造: 乗組員モジュールと欧州サービスモジュール(ESM)の組み合わせで構成。
- ESM-4の供給: 2025年12月にエアバス社(ドイツ)からNASAへ納入済み。
- HLSの選定: Starship HLSかBlue Moonのいずれかが、試験結果と準備状況により決定される。
Frequently Asked Questions
アルテミス IV で使用されるロケットは何ですか?
超重量級ランチャーであるSLS(スペース・ローンチ・システム)が使用されます。このロケットのコアステージには4基のRS-25エンジンが搭載されています。
オリオン宇宙船の役割は何ですか?
乗組員を地球から月軌道まで輸送し、月面着陸船とのドッキングを行い、最終的に乗組員を地球へ帰還させる輸送車両としての役割を担います。
欧州サービスモジュール(ESM)とは何ですか?
オリオン宇宙船の一部であり、ミッションに必要な推進力や電力を提供するモジュールです。アルテミス IV 用のESM-4は、ドイツのエアバス社によって製造されました。
月面着陸船(HLS)はどの会社が提供しますか?
SpaceX社のStarship HLSか、Blue Origin社のBlue Moonのいずれかが採用されます。最終的な決定は、アルテミス III での試験結果や各社の準備状況に基づいて行われます。
ICPSとは何ですか?
Interim Cryogenic Propulsion Stage(暫定極低温推進段)の略称で、SLSの打ち上げにおいて使用される推進段です。アルテミス IV がこのシステムを使用する最後のミッションとなります。