Oblique view of part of the interior of Antoniadi from LRO. The smaller crater near the center of the image contains the lowest point on the moon.[3]
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アントニアディクレーター南極エイトケン盆地月面地形

アントニアディ・クレーター月で最も低い地点を抱く巨大衝突盆地

🗓 2026年8月10日

月の裏側、南半球に位置するアントニアディは、単なる巨大な衝突跡ではありません。ここは月面で最も低い地点が存在することで知られる、地質学的に極めて重要なエリアです。広大な南極エイトケン盆地の中に組み込まれたこのクレーターは、月の内部構造や過去の火山活動を解き明かす鍵を握っています。

主要な事実(Key Facts)

  • 月面最深点:内部の小さなクレーターに、月で最も低い地点が存在する。
  • 特異な構造:外壁に加えて「第2の内環」と「中央丘」の両方を備える稀な形態。
  • 地質組成:中央丘からは、地下14.3〜23.6kmから由来するオリビン含有ノーライトが検出されている。
  • 火山活動の痕跡:約26億年前と16億年前の玄武岩流および火山円錐丘が確認されている。
  • 名称の由来:ギリシャ系フランス人天文学者、ウジェーヌ・M・アントニアディにちなんで命名。

地形的特徴と構造

アントニアディは、後期インブリア時代に形成された最大級のクレーターの一つです。直径は約138kmに及び、外縁は概ね円形ですが、周囲には不規則な凹凸が見られます。壁面は浸食が少なく、鋭い縁と内壁の段丘構造が鮮明に残っているのが特徴です。

特に注目すべきは、その内部構造です。多くのクレーターとは異なり、外壁の内側にさらに小さな「内環(インナーリング)」を持っており、さらにその中心に中央丘がそびえています。この内環は南北にのみ険しい山岳状の断片が残っており、西側はほぼ消失し、東側にはわずかな丘が点在しています。

Oblique Lunar Orbiter 5 image facing west of Antoniadi (above center) and Numerov (below center)

内環に囲まれた中心部は非常に平坦で滑らかですが、内環の外側は対照的に粗い質感を持っています。また、このクレーターの形成時の衝撃は非常に強力で、南極エイトケン盆地の底を最大9kmまで掘り下げました。二次クレーターの分布から、衝突体は斜めの角度で月面に激突したと考えられています。

月面最深点「ポイント・トリエステ」

アントニアディが天文学的に有名な最大の理由は、ここに月で最も低い地点があるためです。この地点は、日本の月探査機「かぐや(SELENE)」のレーザー高度計(LALT)によって初めて測定されました。平均的な月ジオイド(月の基準面)から9.178kmも低い位置にあることが判明し、その後、中国の探査機「嫦娥1号」のデータによってさらに詳細な座標が特定されました。

この最深点は、地球の最深部へ到達した深海潜水艇トリエステにちなみ、非公式ながら「ポイント・トリエステ」と呼ばれています。

Oblique view of part of the interior of Antoniadi from LRO. The smaller crater near the center of the image contains the lowest point on the moon.[3]

地質学的組成と火山活動

分光分析の結果、中央丘の鉱物組成はオリビン(かんらん石)を含むノーライトであることが分かっています。これは、衝突によって地下14.3kmから23.6kmという深い場所にあった岩石が地表に押し上げられたことを示唆しています。

また、クレーター内部には玄武岩の堆積が見られ、約26億年前と16億年前の2回にわたって溶岩流が発生したと考えられています。特に後者の活動は中心付近で顕著であり、地表には火山円錐丘(ボルケーニック・コーン)も確認されており、かつてこの地で活発な火山活動があったことを物語っています。

アントニアディの基本データまとめ

アントニアディ・クレーターの概要
項目 詳細データ
座標 南緯69°42′ / 西経172°00′
直径 137.92 km
最大深さ 約 9 km
形成年代 後期インブリア時代
主な構成鉱物 オリビン含有ノーライト(中央丘)
近接するクレーター ミナール、ヌメロフ、ブラシア

Frequently Asked Questions

アントニアディ・クレーターはどこにありますか?

月の裏側、南半球の「南極エイトケン盆地」という巨大な衝突盆地の中に位置しています。

なぜここが「月で最も低い地点」と言われるのですか?

クレーター内部にあるさらに小さな窪みが、月の平均的な基準面(ジオイド)から約9.178kmも低くなっているためです。これは日本の探査機「かぐや」と中国の「嫦娥1号」によって確認されました。

「ポイント・トリエステ」とは何ですか?

アントニアディ内にある月面最深点の非公式な名称です。地球の最深部(マリアナ海溝)に到達した深海潜水艇「トリエステ」に由来しています。

このクレーターの地質的な特徴は何ですか?

外壁、内環、中央丘という3層構造を持つ珍しい形態であることと、地下深くから運ばれたオリビンを含む岩石や、過去の火山活動による玄武岩流が存在することが特徴です。

周囲にはどのような地形がありますか?

南東側には浸食が進んだミナール・クレーターがあり、東側にはヌメロフ・クレーターが隣接しています。また、正南方向には小さなブラシア・クレーターが位置しています。

References

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  2. ; McCauley, John F.; Trask, Newell J. (1987). The geologic history of the Moon. Professional Paper 1348. Washington: U.S. Government Printing Office. :10.3133/pp1348. Table 11.2.
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📸 フォトギャラリー

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Oblique Lunar Orbiter 5 image facing west of Antoniadi (above center) and Numerov (below center)