高解像度の写真撮影や4Kビデオなどの大容量データを扱うクリエイターにとって、記録メディアの転送速度は極めて重要です。XQDカードは、従来のメモリカードの限界を超える高速性能を実現するために開発されたフラッシュメモリ規格であり、プロ向けのデジタルカメラやカムコーダーを中心に普及しました。

本記事では、XQDカードの技術的な仕組みから、後継規格であるCFexpressへの移行までを詳しく解説します。

Key Facts

  • 高速インターフェース:PCI Expressを採用し、1Gbit/sから最大8Gbit/s(バージョン2.0)の転送速度を実現。
  • 大容量設計:2TiBを超えるストレージ容量をサポート。
  • 主な用途:ハイエンド一眼レフ、ミラーレスカメラ、放送用カムコーダー。
  • 後継規格:より低消費電力で高速なNVMeプロトコルを採用したCFexpressへと進化。

XQDカードの技術的概要と開発経緯

XQDカードは、1994年に登場したCompactFlash(CF)規格の代替として、2010年にSanDisk、Sony、Nikonの3社によって提案されました。その後、CompactFlash Association(CFA)が開発を引き継ぎ、2011年12月に最終仕様が策定されました。

最大の特徴は、データ転送にPCI Expressインターフェースを採用している点です。これにより、従来の規格では困難だった高速な読み書きが可能となりました。2012年に発表されたバージョン2.0では、PCI Express 3.0への対応により、転送レートは最大8Gbit/s(1GB/s)まで向上しています。

なお、名称は似ていますが「xD-Picture Card」とは全く異なる規格であり、またCompactFlashやCFastカードとの互換性もありません。

対応デバイスとメーカーの動向

XQDカードはその高いパフォーマンスから、特にプロ向けの機材に採用されました。代表的な対応デバイスは以下の通りです。

  • Nikon:D4、D4s、D5、D6、D850、D500などのハイエンド一眼レフや、Z6、Z7といったミラーレス機で採用。
  • Sony:PXW-Z100、PXW-FS7、PXW-FX9などの4Kカメラや、XDCAM、XDCAM EXなどの放送用カムコーダーでサポート。放送用機材では、MPEG HD422 50 Mbit/s形式の記録に対応しています。
  • Phase One:XF IQ4カメラシステムでサポート。

製造メーカーについては、Sony、Nikon、Delkinなどが展開してきましたが、Lexarはライセンスや製品供給の問題から、後にCFexpressへの移行を理由にXQDのサポートを終了しています。

An XQD card reader from Sony

CFexpressへの移行と互換性

2016年9月、CFAはXQDの後継としてCFexpressを発表しました。CFexpressはXQDと同じフォームファクタ(形状)とインターフェースを維持しつつ、ストレージ業界の標準であるNVMeプロトコルを採用しています。これにより、さらなる高速化、低遅延化、そして消費電力の削減が実現しました。

注目すべきは、一部のXQD対応カメラにおいて、ファームウェアのアップデートを行うことでCFexpress Type Bカードが利用可能になった点です。これにより、ユーザーは既存のハードウェアを活かしながら最新の高速メディアへ移行できるようになりました。

XQDカードの仕様まとめ

XQDカードの基本仕様
項目 詳細
インターフェース PCI Express
転送速度 1 Gbit/s 〜 8 Gbit/s (Ver 2.0)
最大容量 2 TiB 以上
外形寸法 38.5 × 29.8 × 3.8 mm
後継規格 CFexpress

Frequently Asked Questions

XQDカードとxD-Picture Cardは同じものですか?

いいえ、全く別の規格です。名称は似ていますが、技術的な仕組みや形状、用途に共通点はありません。

CompactFlash(CF)カードをXQDスロットで使用できますか?

いいえ、互換性はありません。XQDはCFの代替として開発されましたが、物理的な形状やインターフェースが異なるため、CFやCFastカードをそのまま使用することはできません。

XQDカードの最大速度はどのくらいですか?

初期仕様では1 Gbit/sでしたが、バージョン2.0ではPCI Express 3.0に対応し、最大8 Gbit/s(1 GB/s)の転送速度を実現しています。

XQD対応カメラでCFexpressカードは使えますか?

カメラの機種によります。一部のモデルでは、メーカーが提供するファームウェアアップデートを適用することで、CFexpress Type Bカードが利用可能になります。

XQDカードは現在も主流の規格ですか?

現在は後継のCFexpressへの移行が進んでいます。より高速で低消費電力なNVMeプロトコルを採用したCFexpressが、現在のハイエンド機における標準となりつつあります。