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揮発性物質(ボラタイル)の科学惑星科学から火山活動まで

🗓 2026年8月9日

宇宙や地球のダイナミクスを理解する上で欠かせないのが揮発性物質ボラタイルです。これらは、比較的低い温度で容易に気化する化学元素や化合物の総称であり、対照的に気化しにくい物質は「耐火性物質」と呼ばれます。水素や窒素、水、二酸化炭素などがこれに含まれ、惑星の組成や火山の爆発的な挙動を決定づける重要な役割を担っています。

Key Facts

  • 定義:容易に蒸発・気化する性質を持つ物質のグループ。
  • 主な成分:水、二酸化炭素、窒素、水素、硫黄酸化物、希ガスなど。
  • 惑星分類:融点に基づき、極低温のものは「ガス」、約100K以上のものは「氷」と定義される。
  • 火山への影響:マグマ中の揮発性物質の量と粘性が、噴火が爆発的になるか穏やかになるかを左右する。
  • 溶解度の法則:圧力の低下に伴い溶解度が下がり、気泡が発生して噴火の原動力となる。

惑星科学における揮発性物質の役割

天文学や惑星科学の分野では、物質の融点によって「ガス」と「氷」を使い分ける傾向があります。例えば、水素やヘリウムのように極めて融点が低いものはガスに分類されますが、融点が約100K(マイナス173℃)を超えるものは、たとえ液体や気体状態で存在していても「氷」と呼ばれます。

この定義に基づくと、木星や土星は「ガスジャイアント(ガス惑星)」、天王星や海王星は「アイスジャイアント(氷惑星)」と区別されます。ただし、これらの惑星内部では、超高圧・高温状態にあるため、実際には非常に高密度な流体として存在しており、海王星の深部では温度が5,100℃に達することもあります。

また、彗星の活動も揮発性物質によって引き起こされます。木星軌道の内側では主に水氷の昇華が活動の源となりますが、一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)のような「超揮発性物質」は、太陽から約38.6億km(25.8 AU)という遠方であっても彗星を活性化させることができます。

火成岩岩石学とマグマのダイナミクス

地球上の火山活動において、揮発性物質(主に水蒸気と二酸化炭素)は噴火の形態を決定する決定的な要因です。マグマの粘性と揮発性物質の相互作用によって、噴火の激しさが変わります。

  • 爆発的噴火:シリカ(SiO2)含有量が多く粘性が高い「フェルシック(珪長質)マグマ」では、ガスが抜けにくいため圧力が蓄積し、激しい爆発を伴いやすくなります。
  • 穏やかな噴火:シリカ含有量が少なく粘性が低い「マフィック(苦鉄質)マグマ」では、ガスがスムーズに放出されるため、溶岩流や溶岩噴水のような穏やかな噴火(溢流噴火)になりやすい傾向があります。

マグマの大部分(95〜99%)は液体状の岩石ですが、わずかな割合で含まれるガスが地表付近で急激に膨張することで、凄まじいエネルギーが放出されます。水や二酸化炭素以外にも、硫化水素、二酸化硫黄、塩化水素、フッ化水素などが放出されます。

揮発性物質の溶解度と気泡の発生

マグマにどれだけの揮発性物質が溶け込めるか(溶解度)は、主に拘束圧マグマの組成温度の3つの要因で決まります。特に圧力と組成の影響が大きく、圧力の低下に伴って溶解度が下がるため、マグマが上昇すると溶けきれなくなったガスが気泡となって現れます。

例えば、水は流紋岩(ライオライト)の方が玄武岩(バサルト)よりも溶解度が高く、より多くの水を保持できます。一方で、二酸化炭素は水よりも溶解度が著しく低いため、より深い場所で気泡化し始めます。このため、二酸化炭素はマグマ溜まりに到達する前に放出されやすく、噴火の主役となるのは最終的に水であることが一般的です。

気泡の核形成(ニュークリエーション)

物質が飽和状態に達すると、分子が自然に集まって気泡を作る「均質核形成」が起こります。しかし、表面張力が気泡を押し潰そうとするため、実際にはマグマ中に存在する固体結晶などが「核」となり、そこを起点に気泡が成長する方が効率的です。

マグマが急速に上昇すると、系は平衡状態から大きく外れ、過飽和状態になります。このとき、既存の気泡に分子が取り込まれるか、あるいは新しい気泡が形成されるかという競争が起こり、最終的な気泡の密度や大きさが決定されます。

物質名 溶解度の特徴 主な影響・挙動
水 (H2O) 比較的高い 噴火時の主要な駆動源。組成により溶解量が異なる。
二酸化炭素 (CO2) 低い 深い場所で早期に気泡化し、カルデラ方向へ漏れ出す。
二酸化硫黄 (SO2) 中程度 玄武岩や流紋岩に多く含まれ、火山ガスとして放出される。
ハロゲン (HCl, HF) 変動あり 腐食性の強いガスとして火山から放出される。

Frequently Asked Questions

揮発性物質と耐火性物質の違いは何ですか?

揮発性物質は、比較的低い温度で容易に蒸発または気化する物質(水や二酸化炭素など)を指します。対して耐火性物質は、非常に高い温度にならないと気化しない物質のことです。

なぜ「氷惑星」という言葉が使われるのですか?

惑星科学では、融点が約100K(-173℃)以上の揮発性物質を、状態に関わらず「氷」と定義しているためです。そのため、内部が高温の流体であっても、成分が水やアンモニアなどの「氷」に分類される物質で構成されていればアイスジャイアントと呼ばれます。

マグマの粘性は噴火にどう影響しますか?

粘性が高いマグマ(シリカが多い)はガスが抜けにくいため、内部に圧力が溜まりやすく、爆発的な噴火を引き起こします。逆に粘性が低いマグマ(シリカが少ない)はガスが抜けやすいため、穏やかな溶岩流となる傾向があります。

気泡はどのようにしてマグマの中で作られますか?

マグマが上昇して圧力が下がると、溶け込んでいたガスが飽和状態になり、気泡が発生します。特にマグマ中の固体結晶が核となることで、気泡が形成されやすくなります。

二酸化炭素と水では、どちらが先に気泡になりますか?

二酸化炭素の方が溶解度が低いため、水よりも深い場所(高圧状態)で先に気泡化し、放出される傾向があります。

References

  1. Hui, Man-To; Farnocchia, Davide; Micheli, Marco (2019). "C/2010 U3 (Boattini): A Bizarre Comet Active at Record Heliocentric Distance". The Astronomical Journal. 157 (4): 162. :1903.02260. :2019AJ....157..162H. :10.3847/1538-3881/ab0e09.  118677320.
  2. Parfitt E A, Wilson L, (2008): Fundamentals of Physical Volcanology. Blackwell Publishing, Malden USA