地質学の世界において、ショショナイトは非常にユニークな化学組成を持つ火成岩の一種です。具体的には、カリウムを豊富に含んだ「玄武岩質粗面安山岩」に分類されます。1895年にイディングスによって、アメリカ・ワイオミング州を流れるショショーン川にちなんで命名されました。
この岩石の内部構造を詳しく見ると、カンラン石、輝石(オージャイト)、斜長石といった大きな結晶(斑晶)が、カルシウムを含む斜長石やサニディン、そして暗色の火山ガラスからなる地質(石基)の中に点在しています。近年の研究では、これらの大きな結晶の多くはマグマの中で成長した斑晶ではなく、周囲のガブロ(斑れい岩)が高温のシエナイト質マグマに同化して取り込まれた「外来結晶(ゼノクリスト)」や「微小外来岩塊(マイクロゼノリス)」であるというハイブリッドな起源が示唆されています。

Key Facts
- 分類:カリウムに富む玄武岩質粗面安山岩。
- 主要成分:カンラン石、輝石、斜長石、サニディン。
- 化学的特徴:高いアルカリ含有量(Na2O + K2O > 5%)と低いTiO2濃度。
- 地質学的背景:主に島弧の沈み込み帯、特にベニオフ帯の深く急峻な領域に関連。
- 経済的価値:世界的な金・銅鉱床の形成に関与していることが多い。
化学的組成と分類の境界
ショショナイトを定義づける化学的な特徴は、単なる成分の含有量だけでなく、元素間の比率にあります。特にシリカ(SiO2)が飽和に近い状態で、鉄の濃集が低く、全アルカリ量(ナトリウムとカリウムの合計)が5%を超えることが条件となります。また、シリカ含有量が低い段階でK2Oが急激に増加する正の勾配を示すのが特徴です。
さらに、リン(P)、ルビジウム(Rb)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉛(Pb)、および軽希土類元素が濃集しており、酸化チタン(TiO2)が少ない傾向にあります。アルミナ(Al2O3)の含有量は高く、変動幅があります。また、酸化鉄の比率(Fe2O3/FeO)が高いことも重要な指標です。
組成の変化によって、ショショナイトは近縁の岩石へと移行します。斜長石の斑晶が減少するとアブサロカイトとなり、逆にサニディンの割合が増えるとバナカイトへと変化します。
テクトニクス的背景と分布
ショショナイトは一般的に、沈み込み帯におけるカルクアルカリ系の島弧火山活動に伴って発生します。特に、沈み込むプレートの境界であるベニオフ帯(地震発生帯)が深く、傾斜が急な領域の上方で、比較的若い年代の岩石として現れる傾向があります。
具体的な分布例としては、アメリカのイエローストーン国立公園に見られるアブサロカイト・ショショナイト・バナカイト系列や、イタリア西部のチミニテ・トスカナイト系列が挙げられます。これらはロイサイトを含む岩石やカリウムに富む粗面岩、安山岩などと共に分布しています。同様の構成はインドネシアや東アフリカ地溝帯でも確認されています。
例えば、ティレニア海南部のエオリア諸島では、過去100万年の間に火山活動がカルクアルカリ系から高Kカルクアルカリ系、そしてショショナイトへと変遷しました。これはベニオフ帯の傾斜が50〜60°へと次第に急になったことが原因と考えられており、ヴルカーノ島付近のカポ・セッコ溶岩盾がその代表例です。また、白亜紀後期のプエルトリコの火山活動も同様の環境であったと解釈されています。
鉱物資源との関連性
ショショナイトおよび高カリウムのカルクアルカリ系マグマ活動は、世界的に重要な熱水鉱床(金や銅の鉱化作用)と密接に関連しています。以下に代表的な鉱山を挙げます。
- ラドラム金鉱山(パプアニューギニア、リヒール島)
- ビンガム銅金鉱山(アメリカ、ユタ州)
- グラスバーグ銅金鉱山(インドネシア)
- オユトルゴイ銅金鉱山(モンゴル)
ショショナイトの特性まとめ
| 項目 | 詳細・特徴 |
|---|---|
| 岩石分類 | 玄武岩質粗面安山岩(K-rich) |
| 主要鉱物 | カンラン石、輝石、斜長石、サニディン |
| 化学的指標 | 高アルカリ(>5%)、低TiO2、高K2O/Na2O比 |
| 発生環境 | 急傾斜のベニオフ帯上方の島弧沈み込み帯 |
| 関連鉱床 | 世界クラスの金・銅熱水鉱床 |
Frequently Asked Questions
ショショナイトとはどのような岩石ですか?
カリウムを豊富に含む玄武岩質粗面安山岩の一種で、カンラン石や輝石、斜長石などの結晶を含む火成岩です。19世紀末にアメリカのショショーン川付近で発見されたことに由来します。
化学的にどのような特徴がありますか?
全アルカリ量(Na2O + K2O)が5%を超え、チタン(TiO2)が少なく、カリウム(K2O)の比率が高いことが特徴です。また、ルビジウムやバリウムなどの特定の元素が濃集しています。
どのような地質環境で形成されますか?
主にプレートの沈み込み帯(島弧)で形成されます。特に、沈み込むプレートの境界であるベニオフ帯が深く、急な角度を持っている領域に関連して発生しやすいとされています。
アブサロカイトやバナカイトとの違いは何ですか?
これらはショショナイトと密接に関連する系列の岩石です。ショショナイトから斜長石の斑晶が減少するとアブサロカイトになり、サニディンの量が増加するとバナカイトに分類されます。
経済的な価値はありますか?
はい。ショショナイト系のマグマ活動は、世界的な規模の金鉱山や銅金鉱山(例:ビンガム鉱山やグラスバーグ鉱山)の形成に関わっていることが多く、資源探査において重要な指標となります。
References
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