南米大陸の厳しい自然環境に適応して生きるビスカチャ(Viscacha)をご存知でしょうか。見た目はウサギに非常に似ていますが、分類学上は齧歯目チンチラ科に属する動物です。これは、異なる系統の生物が似た環境で似た形態に進化する「収斂進化(しゅうれんしんか)」の好例と言えます。
Key Facts
- 分類:齧歯目チンチラ科のLagidium属とLagostomus属の2属で構成される。
- 生息地:南米大陸(アンデス山脈やアルゼンチンのパンパなど)。
- 外見:ウサギに似た長い耳と形態を持つが、実際にはチンチラの親戚である。
- 種類:現在、5つの種が確認されている。
ビスカチャの多様な種とその特徴
ビスカチャは、生息する環境によって大きく「山岳地帯に住むグループ」と「平原に住むグループ」に分かれます。
平原ビスカチャ(Lagostomus maximus)
アルゼンチンのパンパ(広大な草原地帯)に生息するこの種は、顔にある黒とグレーの口ひげのような模様が大きな特徴です。10匹から100匹以上の集団で地下の巣穴(ウォーレン)を作って共同生活を送ります。非常に社交的で、外敵を知らせる警戒声を出す習性があります。一方で、家畜の餌となる草を大量に食べてしまうため、牧場主からは害獣と見なされることもあります。
山岳地帯に生息するビスカチャ(Lagidium属)
アンデス山脈の険しい岩場や高地に生息する種には、以下の4種類が含まれます。
- キタビスカチャ(Lagidium peruanum):ペルーのアンデス山脈、森林限界から雪線までの高地に生息。グレーや茶色の背毛と、ふさふさした尾、長い耳を持っています。家族単位の個室が集まったアパートのような構造のコロニーで生活し、過酷な環境で育つあらゆる植物を食料とします。
- ミナミビスカチャ(Lagidium viscacia):キタビスカチャと似ていますが、毛色がより赤みを帯びているのが特徴です。同様にアンデス山脈の環境に適応しています。
- ウォルフソンビスカチャ(Lagidium wolffsohni):他の種に比べて希少で、チリおよびアルゼンチン南西部の地域に限定して生息しています。
- Lagidium ahuacaense:エクアドルのアンデス山脈で新たに記載された種です。
分類学的位置づけ
ビスカチャは、生物学的に以下のように分類されます。伝統的な分類では除外されていましたが、系統解析(クラディスティクス)によってチンチラ属なども近縁であることが分かっています。
| 階級 | 名称 |
|---|---|
| 界 | 動物界 (Animalia) |
| 門 | 脊索動物門 (Chordata) |
| 綱 | 哺乳綱 (Mammalia) |
| 目 | 齧歯目 (Rodentia) |
| 科 | チンチラ科 (Chinchillidae) |
| 属 | Lagidium属 / Lagostomus属 |
Frequently Asked Questions
ビスカチャはウサギの仲間ですか?
いいえ、見た目は似ていますが、ウサギではなく齧歯類(ネズミやリスの仲間)であり、特にチンチラに近い親戚です。
どこに生息していますか?
南米大陸にのみ生息しています。具体的には、ペルーやチリ、ボリビア、アルゼンチンなどのアンデス山脈やパンパなどの地域です。
平原ビスカチャが「害獣」とされるのはなぜですか?
家畜が利用する草原の草を大量に食い尽くしてしまうことがあるため、畜産業に従事する人々にとって経済的な影響があるためです。
山岳ビスカチャはどのような生活をしていますか?
岩場などの厳しい環境で、家族単位のグループが集まってコロニーを形成して生活しています。食性は幅広く、周囲にある利用可能な植物を摂取して生き延びています。
References
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- Werner, F. A.; Ledesma, K. J. R.; Hidalgo, B. (2006). "Mountain vizcacha (Lagidium cf. peruanum) in Ecuador - First record of Chinchillidae from the Northern Andes" (PDF). Mastozoología Neotropical. 13 (2): 271–274.
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- Galetto, Emanuel (2020), Chinchillón Anaranjado: El Centinela Del Cañadón