バレーフェア・モール:全米初の屋内型ショッピングセンターの軌跡
アメリカの商業史において、天候に左右されず買い物を楽しめる「屋内型モール」という概念を確立させた先駆的な施設がありました。それがウィスコンシン州アップルトンに誕生したバレーフェア・ショッピングセンター(通称:バレーフェア・モール)です。1955年のオープン以来、地域の商業の中心として機能し、時代の変遷とともにその姿を変えてきました。
Key Facts
- 歴史的意義: 米国で初めて天候から保護された(エンクローズド)形式で建設されたショッピングモール。
- 開業日: 1955年3月10日。
- 最大規模: ピーク時には55店舗が入居し、延床面積は約265,400平方フィートに達した。
- 設計: アップルトンの建築家ジョージ・ナロベックによる設計。
- 現状: 2006年以降、VFパートナーズによる再開発が進み、現在は個別の店舗ビルが並ぶ形式に変更されている。
誕生と初期の発展
バレーフェアの建設は1953年7月1日に始まりました。もともとはメナシャという町に位置していましたが、後に土地がアップルトン市に編入されました。ホフマン・ショッピングセンター社によって開発され、1955年3月10日にグランドオープンを迎え、同年8月11日には全施設が完全に稼働しました。
開業当初は、スーパーマーケットのクランボ(後のクローガー)や、カメラ・カード店、塗料・金物店など、地域密着型の6店舗からスタートしました。その後、1956年までに段階的な拡張が行われ、東端にディスカウントストアのW.T.グラントが導入されることで、初期の形態が完成しました。
時代の変化と大規模リニューアル
1970年代後半になると、バレーフェアは大きな転換期を迎えます。1978年から1979年にかけて実施された大規模な改修プロジェクトでは、地元の小規模店から全米展開するチェーン店へのシフトが図られました。この際、東翼が拡張され、ウォルグリーンやウールワース、ホールマークカードなどの有名店が次々と出店しました。
また、この時期に大型店であるコールズ(百貨店とスーパーの複合店)が導入され、娯楽施設としてマーカス・シネプレックス(映画館)も併設されました。内装についても、元のコンクリート床にカーペットを敷き詰め、照明や看板を刷新するなど、近代的な外観へとアップデートされました。
[Former Kohl's building (now Copps Food Center)]
競争の激化と衰退への道
1980年代から90年代にかけて、周辺地域に競合施設が出現したことで客足が減少します。特にアップルトン北部のノースランド・モールや、1984年にグランドシュートにオープンしたフォックスリバー・モールの影響は大きく、多くのテナントがこれらの新施設へと移転していきました。
2002年には、キリスト教系の非営利団体「YouthFutures」がモールを買収し、若者向けの「ユースモール」への転換を試みました。元コールズの建物に屋内スケートボードパークやティーン向けの交流スペースを設けるなど、斬新な試みが行われましたが、築50年近い建物の維持管理コスト(冷暖房費など)が財政を圧迫し、計画は頓挫しました。
現在の姿:再開発による再生
2006年3月30日、施設はVFパートナーズに230万ドルで売却されました。これにより、巨大な一つの構造物を維持するのではなく、個別の建物が並ぶ現代的な商業地区へと再開発されることになります。多くの建物が解体されましたが、構造的に健全だったチェース銀行やマーカス・シネマなどは一時的に残されました。
現在、かつてのコールズの跡地には、約70,000平方フィートの規模を持つコップス・フードセンター(スーパーマーケットおよび薬局)が建設され、地域の利便性を支えています。なお、長年親しまれたマーカス・バレーバリューシネマは、デジタル化への移行を行わなかったため、2015年9月7日をもって閉館しました。
[2006 Aerial Photo of Mall]
施設概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 所在地 | アメリカ合衆国ウィスコンシン州アップルトン |
| 開発者 | ホフマン・ショッピングセンター社 |
| 最大店舗数 | 55店舗(ピーク時) |
| 主要テナント(過去) | Kohl's, W.T. Grant, Marcus Cinemas |
| 現在の主要施設 | Copps Food Center |
| 公共交通機関 | バレー・トランジット |
Frequently Asked Questions
バレーフェア・モールが歴史的に重要とされる理由は何ですか?
アメリカ国内で初めて、天候の影響を受けない「エンクローズド(密閉型)」形式で建設されたショッピングモールであり、現代の屋内型モールの先駆けとなったためです。
YouthFuturesによる「ユースモール」計画はなぜ失敗したのですか?
老朽化した建物の冷暖房費などの維持コストが非常に高く、リフォームに必要な資金が不足していたためです。
現在の敷地はどのような形態になっていますか?
かつての巨大な単一構造のモールは解体され、現在は個別の店舗ビルが道路(Memorial Drive)に沿って配置され、その背後に駐車場があるという形式に再開発されています。
マーカス・シネマが閉館した理由は何ですか?
映画の上映形式をフィルムからデジタルへ移行しなかったため、2015年に営業を終了しました。
現在の主要なテナントは何ですか?
かつてのコールズの建物跡地に建設された、薬局併設のスーパーマーケット「コップス・フードセンター(Copps Food Center)」が中心となっています。