1973年のイギリス音楽界は、後の音楽史に決定的な影響を与える名盤が次々と誕生し、アーティストたちが大胆な変貌を遂げた激動の1年でした。プログレッシブ・ロックの金字塔が打ち立てられる一方で、グラムロックの熱狂が最高潮に達し、さらには新たな伝説的バンドが産声を上げた時代です。
Key Facts
- ピンク・フロイドが不朽の名作『狂気(The Dark Side of the Moon)』をリリース。
- デヴィッド・ボウイが象徴的なキャラクター「ジギー・スターダスト」の引退を宣言。
- クイーンがデビューアルバムをリリースし、音楽シーンへの第一歩を踏み出した。
- エルトン・ジョンの『Don't Shoot Me I'm Only the Piano Player』が年間アルバムチャートで1位を記録。
- レッド・ツェッペリンが米ツアーのタンパ公演で、当時の最大観客動員数(56,800人)を記録。
ロック界の地殻変動と象徴的な出来事
この年、最も衝撃的だった出来事の一つは、デヴィッド・ボウイによるステージ・ペルソナ「ジギー・スターダスト」の引退です。7月3日のハマースミス・オデオン公演で、彼は観客に衝撃を与えながらこのキャラクターに別れを告げました。また、ピンク・フロイドが3月に発表した『狂気』は、その後のアルバム販売記録を塗り替える世界的な大ヒットとなりました。
新星の登場も見逃せません。7月13日には、後に世界を席巻するクイーンが待望のデビューアルバムをリリースしました。また、リチャード・ブランソンが立ち上げたヴァージン・レコードの第1弾作品として、マイク・オールドフィールドの『チューブラー・ベルズ』が発売され、音楽業界のビジネス構造にも新しい風が吹き込みました。
アーティストたちの苦悩とドラマ
華やかな成功の裏で、アーティストたちは心身の限界や法的なトラブルに直面していました。デヴィッド・ボウイはニューヨークでの公演後に疲労で倒れ、ポール・マッカートニーはスコットランドの農場での大麻栽培により罰金を科せられました。また、ザ・フーの米国ツアー中には、ドラマーのキース・ムーンがステージ上で意識を失い、観客から選ばれた19歳のファンが急遽代役を務めるという異例の事態も発生しています。
1973年のヒットチャート分析
シングルのチャートでは、スレイド(Slade)やゲイリー・グリッターといったグラムロック勢が圧倒的な強さを見せました。特にスレイドは、年末の「Merry Xmas Everybody」をはじめとする多くの楽曲で首位を獲得し、大衆的な人気を博しました。
アルバム部門では、当初は映画『That'll Be the Day』のサウンドトラックが首位と考えられていましたが、後の再調査によりエルトン・ジョンの作品が年間1位であったことが判明しています。また、ビートルズのベスト盤が依然として高い人気を維持していたことも、当時の音楽市場の特徴と言えます。
| カテゴリー | 主要アーティスト / 作品 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 年間アルバム1位 | エルトン・ジョン | 『Don't Shoot Me I'm Only the Piano Player』 |
| 年間シングル1位 | スレイド | 「Merry Xmas Everybody」 |
| 歴史的名盤 | ピンク・フロイド | 『狂気』のリリース |
| 注目デビュー | クイーン | 1stアルバムをリリース |
クラシックと舞台芸術の展開
ポピュラー音楽以外でも、重要な芸術的成果がありました。ベンジャミン・ブリテンはオペラ『ヴェニスの死』を初演させ、ロンドン交響楽団はイギリスのオーケストラとして初めてザルツブルク音楽祭に参加しました。また、アンドリュー・ロイド・ウェバーとティム・ライスによるロック・オペラ『ジーザス・クライスト・スーパースター』が映画化され、ジャンルを超えた表現の融合が進みました。
Frequently Asked Questions
1973年にデビューした最も影響力のあるバンドは?
クイーン(Queen)です。7月13日に彼らのデビューアルバムがリリースされ、後の音楽史に多大な影響を与えるキャリアが始まりました。
デヴィッド・ボウイが1973年に行った大きな決断とは?
自身の象徴的なステージ上の人格である「ジギー・スターダスト」を引退させたことです。これは7月のイギリスツアー最終公演で発表されました。
当時のアルバムチャートで最も売れた作品は何でしたか?
最新の調査によると、エルトン・ジョンの『Don't Shoot Me I'm Only the Piano Player』が1973年の年間ベストセラーアルバムとなりました。
レッド・ツェッペリンが1973年に達成した記録とは?
アメリカ・ツアーのフロリダ州タンパ公演において、56,800人という当時のコンサート最大観客動員数を記録し、ビートルズの記録を塗り替えました。
1973年のシングルチャートで目立った傾向は?
スレイドやゲイリー・グリッターに代表される、派手な衣装とサウンドが特徴のグラムロック・アーティストがチャートの上位を独占する傾向にありました。
References
- Reached number 1 in 1969