1980年代から現代に至るまで、心地よいメロディとソウルフルな歌声で聴衆を魅了し続けてきたスコットランドのバンド、Wet Wet Wet(ウェット・ウェット・ウェット)。彼らはソフトロックやソフィスティ・ポップ、ブルー・アイド・ソウルといったジャンルを融合させ、イギリス音楽シーンに確固たる地位を築きました。特に映画の主題歌として世界的にヒットした楽曲は、今なお多くの人々に愛されています。
Key Facts
- 結成: 1982年、スコットランドのクライドバンクにて結成。
- 代表曲: 「Love Is All Around」は全英チャートで15週連続1位という驚異的な記録を達成。
- 音楽性: ソフトロック、ソフィスティ・ポップ、ブルー・アイド・ソウルを基調とする。
- 受賞歴: 1988年のブリット・アワードにて「最優秀新人賞(Best British Newcomer)」を受賞。
- 現状: メンバー交代を経て、現在はケビン・シムがリードボーカルを務め活動中。
バンドの誕生と初期の歩み
彼らの物語は、1982年にスコットランドのクライドバンク高校で始まりました。当初は「Vortex Motion」という名で活動し、ザ・クラッシュやマガジンのカバー曲を中心に演奏していました。結成メンバーは、後にリードボーカルとなるマーティ・ペロウ(当時はマーク・マクラクラン)、ドラムのトミー・カニンガム、ベースのグレアム・クラーク、キーボードのニール・ミッチェル、ギターのリンジー・マコーレーの5人でした。
その後、ギターにグレアム・ダフィンが加入し、現在の方向性を決定づけるラインナップが完成します。彼らは家庭のキッチンで地道なリハーサルを重ね、楽曲制作のスキルを磨きました。バンド名はスクリッティ・ポリティの楽曲の一節から引用し、ボーカルのマクラクランは「マーティ・ペロウ」というステージネームを採用しました。
1987年にリリースされたデビューアルバム『Popped In Souled Out』は、全英アルバムチャートで1位を記録し、150万枚を売り上げる大ヒットとなりました。「Wishing I Was Lucky」や「Angel Eyes」などのシングルがチャートを賑わせ、彼らの快進撃が始まりました。
黄金期の到来と世界的な成功
1980年代後半から90年代にかけて、バンドは商業的な絶頂期を迎えます。1988年にはチャリティ活動の一環としてビートルズの「With a Little Help from My Friends」をカバーし、初の全英1位を獲得しました。また、アメリカのメンフィスで録音された『The Memphis Sessions』や、ストリングスを多用した『Holding Back the River』など、音楽的な幅を広げていきました。
1992年のアルバム『High on the Happy Side』からは、彼ら自身が書き下ろした楽曲で初の1位となった「Goodnight Girl」が誕生しました。しかし、彼らのキャリアにおいて最大の転換点となったのは1994年です。映画『フォー・ウェディングス』のサウンドトラックに収録された「Love Is All Around」が爆発的なヒットを記録しました。
この曲はイギリス、オーストラリア、デンマークなど多くの国でチャート1位となり、特にイギリスでは15週連続で首位を維持するという歴史的な記録を打ち立てました。あまりのヒットに、マーティ・ペロウが次作の制作に集中するため販売停止を要望したものの、それでもチャート上位に留まり続けるという異例の事態となりました。
解散、そして再結成への道のり
絶頂期を過ごした彼らでしたが、1997年のアルバム『10』のリリース後、内部で不協和音が生まれます。印税の分配を巡る争いからドラマーのトミー・カニンガムが脱退し、その後、依存症との闘いという個人的な困難に直面したマーティ・ペロウもバンドを離れました。これにより、バンドは事実上の活動休止状態に入ります。
しかし、2004年にオリジナルメンバーで再結成を果たし、再び活動を再開。2007年にはアルバム『Timeless』をリリースし、シングル「Weightless」がトップ10入りするなど、根強い人気を証明しました。その後もツアーやベストアルバムのリリースを続けましたが、2017年にマーティ・ペロウがソロ活動に専念するため、再びバンドを脱退することになります。
新体制での再出発と現在
2018年、バンドは新たなリードボーカルとして、Liberty Xの元メンバーであり『The Voice UK』の優勝経験を持つケビン・シムを迎えました。新体制となった彼らは精力的にツアーを行い、2021年には2007年以来となるスタジオアルバム『The Journey』をリリースしました。この作品では、ケビン・シムが過去のヒット曲のボーカルを再録音したボーナスディスクも収録されています。
2022年には、長年活動を共にしたトミー・カニンガムが聴覚の問題で脱退し、ニール・ミッチェルもバンドを離れました。現在はグレアム・クラーク、グレアム・ダフィン、ケビン・シムを中心に活動しており、2024年にはGo Westとの共同ヘッドラインツアー「Best of Both Worlds」を開催するなど、今なお音楽シーンで存在感を示し続けています。
| リリース年 | アルバム名 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 1987 | Popped In Souled Out | デビュー作。全英1位を記録。 |
| 1992 | High on the Happy Side | 自作曲「Goodnight Girl」が1位に。 |
| 1995 | Picture This | 世界的大ヒット曲「Love Is All Around」を収録。 |
| 2007 | Timeless | 再結成後のスタジオアルバム。 |
| 2021 | The Journey | ケビン・シム加入後初のアルバム。 |
Frequently Asked Questions
「Love Is All Around」がなぜそんなに有名だったのですか?
映画『フォー・ウェディングス』の主題歌として起用され、その心地よいメロディが世界的に受け入れられたためです。特にイギリスでは15週連続1位という驚異的な記録を達成し、90年代を代表するヒット曲となりました。
現在のリードボーカルは誰ですか?
2018年に加入したケビン・シム(Kevin Simm)が務めています。彼は元Liberty Xのメンバーであり、歌唱力に定評のあるシンガーです。
バンドが一度解散した理由は何ですか?
主な理由はメンバー間の金銭的なトラブル(印税の分配に関する争い)です。これによりドラマーのトミー・カニンガムが脱退し、その後マーティ・ペロウも個人的な理由で離脱したため、活動休止に至りました。
Wet Wet Wetの音楽ジャンルは何に分類されますか?
主にソフトロックに分類されますが、洗練されたポップスである「ソフィスティ・ポップ」や、白人シンガーが歌うソウルミュージックである「ブルー・アイド・ソウル」の要素を強く持っています。
マーティ・ペロウは今もバンドに影響を与えていますか?
彼は2017年に正式に脱退し、現在はソロ活動に専念しています。しかし、バンドの黄金期を築いた象徴的なフロントマンとして、今も多くのファンに記憶されています。
References
- "Wet Wet Wet: "We're all coming up to 50 now and no-one's died!"". Cambridge News. 31 July 2014. Retrieved 27 August 2014.[]
- "Wet Wet Wet tweet their thanks to Carlisle". ITV News. 5 August 2014. Retrieved 27 August 2014.
- , ed. (2006). "Wet Wet Wet". (4th ed.). . .
- Mawer, Sharon. "Wet Wet Wet – Popped in Souled Out". . . Retrieved 27 April 2016.
- "BRIT Certified Awards". BPI Membership Community. Retrieved 23 May 2026.
- "The songs that spent the longest at Number 1". Official Charts. Retrieved 23 May 2026.
- "BRIT Certified Awards". BPI Membership Community. Retrieved 23 May 2026.
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- Snow, Mat (14 March 1987). "I can't stand the rain". . London, England: : 21–22.
- liner notes