コンピュータゲームの黎明期、戦略シミュレーションというジャンルを確立させたのがSSIStrategic Simulations Inc.)です。1979年にジョエル・ビリングスによって設立されたこの会社は、ボードゲームとしてのウォーゲームをデジタル空間に移行させ、後の戦略ゲームの基礎を築きました。

Key Facts

  • 創業:1979年、ウォーゲーム愛好家のジョエル・ビリングスにより設立。
  • 代表作:『Computer Bismarck』、『Panzer General』シリーズ、『Gold Box』エンジン作品群。
  • 転換点:1987年にTSR社から「Advanced Dungeons & Dragons (AD&D)」のライセンスを取得し、RPG分野へ拡大。
  • 終焉:Mindscape、Mattelを経て、2001年にUbisoftに吸収され、ブランドは消滅。

黎明期とウォーゲームへの情熱

SSIの始まりは、TRS-80などの初期ホームコンピュータにウォーゲームを導入したいというビリングスの構想からでした。当初は既存のゲーム出版社への提案を試みましたが、最終的に自社での開発に踏み切ります。ジョン・ライオンズが開発した『Computer Bismarck』は、マイクロコンピュータ向け初の本格的なウォーゲームと評され、エド・ウィリガーによる『Computer Ambush』と共に、BASIC言語を用いて制作されました。

開発過程では、後のElectronic Arts創設者であるトリップ・ホーキンスの助言により、グラフィックス性能に優れたApple IIへのプラットフォーム変更が行われました。これにより、1980年1月にはApple II版『Computer Bismarck』がリリースされ、その後TRS-80版も登場しました。

Strategic Simulations booth at the West Coast Computer Faire in 1982

事業の拡大と「RapidFire」ラインの展開

1980年代前半、SSIは戦場からスポーツまで幅広いシミュレーションを提供し、その影響力を強めていきました。1982年には、外部作者による作品をブランド化した「RapidFire」ラインを立ち上げ、『Cytron Masters』や『The Cosmic Balance』などのタイトルをリリースしました。このシリーズには、世界的な疫病をテーマにしたリアルタイム戦略ゲーム『Epidemic!』なども含まれており、当時の専門誌からは極めて高い評価を受けていました。

An SSI ad for Commodore 64 games, published in a 1984 issue of Computer Gaming World

1985年頃には、本格的なウォーゲーム界において唯一無二の存在として認められるようになります。当時のSSIは60名の従業員を抱え、年間12本ほどの新作をリリース。開発者には高額なロイヤリティが支払われる体制が整っており、1987年度には売上高500万ドル、創業8年で計89本のゲームを世に送り出しました。

RPGへの進出と「Gold Box」時代の到来

1984年、SSIは『Wizard's Crown』や『Questron』などのタイトルを通じてロールプレイングゲーム(RPG)分野へ進出します。最大の転換点は1987年、TSR社から「Advanced Dungeons & Dragons (AD&D)」のライセンスを獲得したことでした。1988年の『Pool of Radiance』を皮切りに、計30本ものAD&D作品をリリース。これらの作品は共通の「Gold Box」エンジンを用いて開発され、RPG史に残る重要なシリーズとなりました。

Panzer Generalの成功とブランドの変遷

1990年代に入ると、SSIは単なるウォーゲーム会社から、より幅広い戦略ゲームのパブリッシャーへと変貌します。1994年にリリースされた『Panzer General』は、深いゲーム性と遊びやすさを両立させ、大ヒットを記録しました。その後、『Allied General』や『Pacific General』、さらにはSFやファンタジー設定の作品を含む「5-Star General」シリーズへと展開しました。

1997年には、手書きのマップとアイコンを採用した『Panzer General II』が登場し、初版で10万本を超える販売数を記録。その後、3Dエンジンを導入した『Panzer General 3D Assault』や『Panzer General III: Scorched Earth』がリリースされましたが、ブランドの運命は会社の所有権の変遷と共に幕を閉じます。1994年にMindscapeに買収され、その後Mattelを経て、2001年にUbisoftの一部となり、数年後にブランド名は消滅しました。

SSIの歴史まとめ

SSIの主要時代区分と特徴
期間 主要ジャンル 代表的な出来事・作品
1979年〜1983年 純粋なウォーゲーム 『Computer Bismarck』の発売、Apple IIへの移行
1984年〜1990年 RPG・戦略ゲーム AD&Dライセンス取得、『Gold Box』シリーズ展開
1991年〜2001年 近代戦略シミュレーション 『Panzer General』シリーズの成功、Ubisoftによる吸収

Frequently Asked Questions

SSIが開発した最初の「本格的な」ウォーゲームは何ですか?

ジョン・ライオンズによって開発された『Computer Bismarck』です。これはマイクロコンピュータ向けにリリースされた初の本格的なウォーゲームであるとされています。

「Gold Box」エンジンとは何ですか?

SSIがTSR社からライセンスを受けた「Advanced Dungeons & Dragons (AD&D)」シリーズのゲームを開発するために使用した共通のゲームエンジンです。『Pool of Radiance』などがこのエンジンで制作されました。

Panzer Generalシリーズの評価はどうでしたか?

特に初代と『Panzer General II』が高く評価されました。前者は戦略的な深みと親しみやすさを両立させ、後者は美しい手書きグラフィックスを採用し、現在でもMOD制作が行われるほどの人気を誇っています。

SSIは最終的にどうなったのでしょうか?

1994年にMindscapeに買収され、その後Mattelを経て、2001年にUbisoftに統合されました。その後、SSIというブランド名は引退しました。

SSIの作品は現在どのように保存されていますか?

創業者であるジョエル・ビリングスが2013年12月に、『Computer Bismarck』を含む複数のゲームのソースコードをICHEG(国際コンピュータゲーム歴史保存協会)に寄贈し、保存が進められています。