1970年代半ばに誕生したGrenadier Modelsは、歴史的な軍事ミニチュアから、爆発的な人気を博したファンタジーやSFの世界まで、幅広いラインナップでホビー業界に足跡を残したメーカーです。熟練の彫刻家とアーティストによって設立された同社は、単なる模型製造にとどまらず、当時のロールプレイングゲーム(RPG)文化の発展に深く寄与しました。

Key Facts

  • 創設者:アンドリュー・シャーナック(彫刻担当)とレイ・ルービン(アート担当)による共同設立。
  • 原点:1976年の米国建国200周年を記念したアメリカ独立戦争の25mmフィギュアからスタート。
  • 黄金期:TSR社との提携により、『アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ(AD&D)』の公式フィギュアを製造。
  • 素材の転換:1992年末より、健康への配慮から鉛を含まない合金「ルミナイト(Luminite)」へ移行。
  • グローバル展開:1984年に英国法人を設立し、後にデザインと開発の拠点へと成長。

黎明期からファンタジー市場への転換(1975年〜1980年)

同社はもともと、古典古代や南北戦争、西部開拓時代のガンファイターといった歴史的なミニチュアに注力していました。しかし、1978年頃から市場のトレンドが歴史物からSFやファンタジーへと移行し始めたことにいち早く反応します。

「Wizzards & Warriors」などのファンタジーラインや、宇宙船をテーマにした「Space Squadrons」を展開し、1980年にはゲーム向けに特化したボックスセットを多数リリースしました。これらの革新的な製品群が、当時RPGの旗手であったTSR社の目に留まり、後の強力なパートナーシップへと繋がりました。

TSR社との提携と「D&Dフィギュア」の時代(1981年〜1982年)

1981年秋、Grenadier Modelsは「Your D. & D. Figure Company」を掲げ、TSR社の『アドバンスド・ダンジョンズ&ドラゴンズ(AD&D)』および『ガンマ・ワールド』の公式フィギュアメーカーとしての地位を確立しました。モンスターのブリスターパックや大型ボックスセットなど、多様な製品を展開し、塗装キットを含む「Action Art」セットで初心者への普及も図りました。

しかし、この蜜月関係は短期間で終了します。Grenadier社が他社製ゲームのフィギュアも製造したいという意向を示したため、1982年末にTSR社との提携は解消されました。その後、同社は自社が権利を持つ彫刻を再利用し、「Dragon Lords」や「Fantasy Lords」といった独自のラインとして再リリースすることで、あらゆるゲームプレイヤーに高品質なミニチュアを提供し続けました。

多角化とライセンス展開の拡大(1983年〜1990年)

TSR社との分離後、同社はさらに積極的に外部ライセンスを追求しました。Chaosium社の『クトゥルフ神話TRPG』やGDW社の『トラベラー』の公式フィギュアを製造したほか、映画『ダーククリスタル』のコレクションを子会社のPinnacle Productsから発売するなど、一般小売市場へのアプローチも強化しました。

また、1984年には「Dragon-of-the-Month」という月刊形式のドラゴンフィギュアシリーズを開始し、コレクターの間で絶大な人気を博しました。さらに、1988年にはジョージ・ルーカス監督の映画に基づいた『スター・ウォーズ』のミニチュア、1989年にはFASA社の『シャドウラン』のフィギュアを世に送り出しました。

英国拠点の台頭と素材の革新(1991年〜1994年)

1984年に設立された英国法人(Grenadier Models UK Ltd)は、1991年までに同社のデザインと開発の中心地となりました。マーク・コップルストーンやボブ・ネイスミスといった英国人アーティストが参画し、30mmスケールの大型ミニチュアなど、欧州のトレンドを反映した製品を開発しました。

この時期の大きな転換点は、素材の変更です。1993年にニューヨーク州で玩具への鉛使用を制限する法案が検討されたことを受け、同社は1992年冬から鉛を含まない独自の合金「ルミナイト」への切り替えを決定しました。これは、後年のコレクターにとって製品の年代を特定する重要な指標となっています。

Grenadier Modelsの概要まとめ

Grenadier Models 事業展開の変遷
期間 主要フォーカス 代表的な製品・提携
1975-1980 歴史的ミニチュア → SF/ファンタジー アメリカ独立戦争、Wizzards & Warriors
1981-1982 TSR社公式パートナー AD&D、ガンマ・ワールド
1983-1990 ライセンス拡大と多角化 クトゥルフ神話、スター・ウォーズ、シャドウラン
1991-1994 英国主導の開発と素材変更 Fantasy Warriors、ルミナイト合金の導入

その後と遺産

1996年のGen Conにて、同社の金型とマスター彫刻がイタリアのStratelibri社(後にMirliton S.G.社へ承継)に売却されたことが明らかになりました。これにより、多くの製品が現在もイタリアで生産され続けています。また、ジュリー・ガスリーの作品など一部の権利は、後にMega MiniaturesやCenter Stage Miniaturesへと引き継がれました。

創設者の一人であるアンドリュー・シャーナックは、現在は方向性を変え、戦没者を追悼する記念碑的なブロンズ彫刻の制作や、軍事史に関する講演活動に従事しています。

Frequently Asked Questions

Grenadier Modelsはどのような製品から始まりましたか?

1976年のアメリカ建国200周年を記念して発売された、25mmスケールのアメリカ独立戦争のフィギュアが最初の製品です。社名も、この最初の製品である「グレナディア(擲弾兵)」に由来しています。

TSR社との提携が終了した理由は何ですか?

Grenadier社がTSR社以外のゲーム会社向けにもフィギュアを製造したいという計画を持っていたため、意見の相違が生じ、1982年末にビジネス関係が解消されました。

「ルミナイト(Luminite)」とは何ですか?

1992年末から導入された、鉛を含まない白い金属合金のことです。当時の公衆衛生法への対応や安全性の向上を目的に導入され、それまでの鉛・錫合金に代わって使用されました。

現在、Grenadier Modelsのフィギュアは入手可能ですか?

会社としての活動は終了していますが、金型や権利を継承したMirliton S.G.社(イタリア)やem4miniatures(英国)などが、現在も一部の製品をライセンス生産しています。

「Dragon-of-the-Month」とはどのような企画でしたか?

1984年から始まった月刊シリーズで、毎月異なるファンタジードラゴンと、幻想的な土地の地図の一部が同梱されていました。12種類すべてを集めたユーザーには、特典のドラゴンフィギュアが贈られる仕組みでした。