チリの首都サンティアゴの心臓部として機能しているサンティアゴ・メトロ(Metro de Santiago)は、国内初のラピッドトランジット(高速輸送システム)であり、都市の移動を根本から変えた重要なインフラです。国営のMetro S.A.によって運営されるこのネットワークは、現在7つの路線と143の駅を備え、日々多くの市民や観光客を目的地へと運んでいます。

主要データ(Key Facts)
- 総延長:149km
- 路線数:7路線(1〜6号線および4A号線)
- 駅数:143駅
- 利用実績:平日平均利用客数 約203万人(2023年)
- 年間利用客数:5億9,900万人(2023年)
- 運行開始:1975年9月15日
ネットワークの進化と歴史
初期の展開と路線の拡大
サンティアゴ・メトロの歴史は1975年、サンパブロ駅からラ・モネダ駅を結ぶ1号線の開通から始まりました。当初は地下区間が中心でしたが、1980年までにエスクエラ・ミリタール駅まで延伸され、都市の主要軸をカバーするようになりました。

1980年代後半には、運営体制が公共企業であるMetro S.A.へと移行し、組織的な近代化が進みました。その後、人口が急増した南東部のラ・フロリダ地区などの需要に応えるため、1997年には5号線が開通。地下区間と高架橋(ヴィアダクト)を組み合わせた構造で、広範囲な地域へのアクセスを実現しました。

近代化とネットワークの深化
2000年代に入ると、マポチョ川の地下横断を含む2号線の延伸や、4号線・4A号線の新設など、網目状のネットワーク構築が加速しました。2010年代には、ラス・コンデス地区への1号線延伸や、マイプ地区への5号線延伸が行われ、郊外と都心部の接続性が飛躍的に向上しました。

さらに、2010年代後半からは3号線や6号線といった最新鋭の路線が導入され、自動運転に近い高度なシステムが採用されています。2023年には3号線のプラザ・キリクラ駅、および2号線のホスピタル・エル・ピノ駅までの延伸が完了し、さらなるサービスエリアの拡大を果たしました。

技術仕様と車両システム
サンティアゴ・メトロでは、路線の特性に合わせて異なる電化方式と走行方式を採用しています。1、2、5号線では第三軌条方式(ガイドバー形式)の750V DCが使用されており、4号線および4A号線では従来の第三軌条方式が採用されています。一方、最新の3、6、7号線では架空電車線方式(オーバーヘッドカテナリ)の1,500V DCが導入されています。
車両については、ゴムタイヤ方式(Rubber-tyred)と鉄輪方式(Steel-wheeled)が混在しています。特にパリ地下鉄のMP 89をベースにしたNS 93などのゴムタイヤ車両は、加速・減速性能に優れ、都市部での効率的な運行を支えています。

困難と再生:2019年の抗議デモ
2019年に発生した大規模な社会抗議デモの際、メトロネットワークは深刻な被害を受けました。合計79の駅が損壊し、一部の車両が放火されるなど、被害額は3億ドルを超えたと推定されています。保険未加入のインフラが多かったため、復旧には多大な時間を要しましたが、2020年9月には全駅が再開し、完全復旧を果たしました。
未来への展望:2037年に向けた計画
サンティアゴ・メトロは現状に満足せず、さらなる拡張計画を推進しています。2027年の開通を目指す7号線は、レンカからヴィタクラまでを繋ぎ、19の駅を新設する予定です。また、2030年以降には8号線および9号線の建設が計画されており、特に9号線はプエンテ・カル・イ・カント駅を4路線が乗り入れる巨大ターミナルへと変貌させます。

さらに、2037年までの中長期計画では、6号線のマイプ方面への延伸や、4A号線の近代化および「10号線」への名称変更、さらにはサンティアゴ〜バトゥコ間の通勤鉄道の整備などが盛り込まれています。


システム概要まとめ
| 項目 | 詳細内容 |
|---|---|
| 運営主体 | Metro S.A.(国営) |
| 軌間 | 1,435mm(標準軌) |
| 電化方式 | 750V DC(第三軌条)/ 1,500V DC(架空線) |
| 走行方式 | ゴムタイヤ方式および鉄輪方式 |
| 主要車両メーカー | Alstom, CAF |
Frequently Asked Questions
サンティアゴ・メトロの全路線数はいくつですか?
現在は1号線から6号線、および4A号線の合計7路線が運行されています。今後、7、8、9号線などの新設が計画されています。
ゴムタイヤ方式の車両が使われている理由は?
ゴムタイヤ方式は、鉄輪方式に比べて加速・減速性能が高く、また走行時の騒音や振動を抑えられるため、駅間距離が短い都市部での運行に適しています。
最新の延伸計画ではどのエリアがカバーされますか?
2037年までの計画では、マイプ地区の西側やロ・エスペホ地区など、これまで交通アクセスが困難だった地域への延伸が予定されています。
2019年のデモによる被害はどうなったのでしょうか?
多くの駅や車両が破壊され、甚大な経済的損失が出ましたが、約1年をかけて修復作業が行われ、2020年9月にはすべての設備が正常に稼働するまでになりました。
今後の新路線で注目すべき駅はどこですか?
プエンテ・カル・イ・カント駅が注目されています。計画通りに進めば、4つの路線が乗り入れる市内最大のハブ駅となる予定です。
References
- "Conoce la "estación fantasma" de la Línea 3: fue construida hace 30 años y no será utilizada" [Meet Line 3's "Ghost Station": Built 30 years ago and not used] (in Spanish). Bio Bio. 21 January 2019. Retrieved 2019-01-22.
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