Metamorphosed (serpentinized) clinopyroxenite, made of green diopside, from the Shetland ophiolite, Unst, Scotland
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パイロキセナイト輝石岩超塩基性岩上部マントル輝石

パイロキセナイト(輝石岩)の組成と地球内部における役割

🗓 2026年8月10日

地球の深部から地表まで、火成岩は多様な形態で存在していますが、その中でもパイロキセナイト(輝石岩)は、地球内部のダイナミクスを理解する上で極めて重要な超塩基性岩です。主に輝石グループの鉱物で構成されるこの岩石は、マントルの組成やマグマの生成過程を解き明かす鍵を握っています。

Key Facts

  • 主成分:輝石(クリノ輝石およびオルソ輝石)を主体とする超塩基性火成岩。
  • 産出場所:主に上部マントルに存在し、地殻内の貫入岩体や稀に火山岩としても見られる。
  • 分類:輝石の種類により、クリノ輝石岩、オルソ輝石岩、ウェブスタライトに分けられる。
  • 特徴:カンラン石を40%未満しか含まないため、ペリドタイト(カンラン岩)と区別される。
  • 変質:低温環境下では蛇紋岩化し、圧力下では角閃岩へと変化することがある。

パイロキセナイトの鉱物学的組成

パイロキセナイトを定義づけるのは、その主成分である輝石(Pyroxene)です。輝石はケイ酸塩四面体が単鎖状に連なった構造を持ち、結晶系によって大きく2つのグループに分類されます。単斜晶系に属するものが「クリノ輝石」、斜方晶系に属するものが「オルソ輝石」です。

これらの含有比率によって、岩石は以下のように分類されます。クリノ輝石が主体のものはクリノ輝石岩、オルソ輝石が主体のものはオルソ輝石岩、そして両者が混在するものはウェブスタライトと呼ばれます。また、副成分としてカンラン石、角閃石、ガーネット、スピネルなどが含まれることがあります。

Classification diagram for peridotite and pyroxenite, based on proportions of olivine and pyroxene. The pale green area encompasses the most common compositions of peridotite in the upper part of the Earth's mantle

形成プロセスと産出形態

上部マントルにおける存在

パイロキセナイトの多くは上部マントルに由来します。マントル内では、上昇するマグマと周囲のペリドタイト(カンラン岩)が反応することで、数センチから1メートル程度の厚さの層として形成されることが一般的です。また、マントル内で結晶が堆積して形成される場合もあります。玄武岩やキンバーライトに含まれる「ゼノリス(捕獲岩)」として地表に運ばれてくることもあり、これらはマントル内部の層の断片であると考えられています。

地殻への貫入と累積岩

地殻内では、超塩基性岩の貫入に伴い、マグマ溜まりの底部で輝石の結晶が堆積して「累積岩」として形成されます。この場合、粗粒な組織となり、個々の結晶が数センチメートルに達することもあります。通常、ガブロ(斑れい岩)やアノーサイト(斜長岩)の層と共に現れ、単独で産出することは稀です。

稀な火山岩としての形態

純粋な輝石を含む火山岩は非常に稀ですが、太古代のグリーンストーンベルトに見られるシル(岩床)や溶岩チューブなどで確認されています。ここでは、溶岩流の底部で輝石が急速に結晶化し、針状の「スピニフェックス組織」という特徴的な構造を形成します。西オーストラリアのガレワ・グリーンストーンベルトなどが代表的な産地であり、金鉱床との関連性が指摘されています。

変質作用と分布

パイロキセナイトは環境の変化に応じて変質します。低温での後退変成作用や風化を受けると、蛇紋岩化(Serpentinization)が起こり、元の輝石が蛇紋石に置き換わります。この際、元の鉱物が持っていた劈開や層状構造が保存されることがあります。また、高圧条件下では角閃石が生成され、角閃岩や角閃石片岩へと変化します。

Metamorphosed (serpentinized) clinopyroxenite, made of green diopside, from the Shetland ophiolite, Unst, Scotland

世界的な分布としては、南アフリカのブッシュフェルト複合岩体やジンバブエのグレートダイクなどの巨大な貫入岩体に見られるほか、スコットランド、ニュージーランド、サクソニーなど各地で報告されています。

パイロキセナイトの特性まとめ

パイロキセナイトの分類と特徴
分類項目 詳細内容
岩石種別 超塩基性火成岩(Ultramafic)
主要鉱物 輝石(オージャイト、ダイオプサイド、エンスタタイト等)
分類基準 クリノ輝石 vs オルソ輝石の比率
ペリドタイトとの違い カンラン石の含有量が40%未満であること
主な産出形態 マントル内の層、マグマ溜まりの累積岩、稀に火山岩

Frequently Asked Questions

パイロキセナイトとペリドタイト(カンラン岩)はどう違うのですか?

どちらも超塩基性岩ですが、主成分となる鉱物が異なります。ペリドタイトはカンラン石を主体とする岩石ですが、パイロキセナイトは輝石を主体としており、カンラン石の含有量が40%未満であることで区別されます。

ウェブスタライトとは何ですか?

ウェブスタライトは、パイロキセナイトの一種で、クリノ輝石とオルソ輝石の両方を相当量含んでいる岩石のことを指します。

パイロキセナイトはどのようにして形成されますか?

主に2つの経路があります。一つは上部マントルでマグマと周囲の岩石が反応して層状に形成されること。もう一つは、マグマ溜まりの底部で輝石の結晶が重なり合って堆積する(累積岩となる)ことです。

蛇紋岩化とはどのような現象ですか?

パイロキセナイトなどの超塩基性岩が、低温環境下で水と反応し、構成鉱物が蛇紋石に置き換わる化学的な変質作用のことです。これにより岩石の色や性質が変化します。

火山岩として見つかることはありますか?

非常に稀ですが、太古代の地層などで見つかります。特に溶岩流の底部で急速に冷え固まった際、スピニフェックス組織と呼ばれる針状の結晶構造を持つことがあります。

References

  1. Harmon, R.S.; DeLucia, F.C.; McManus, C.E.; McMillan, N.J.; Jenkins, T.F.; Walsh, M.E.; Miziolek, A. (2006). "Laser-induced breakdown spectroscopy – An emerging chemical sensor technology for real-time field-portable, geochemical, mineralogical, and environmental applications". Applied Geochemistry. 21 (5): 730–747. :10.1016/j.apgeochem.2006.02.003.
  2. Stratigraphy of the BIC http://jgs.lyellcollection.org/content/161/6/903/F2.large.jpg

📸 フォトギャラリー

Metamorphosed (serpentinized) clinopyroxenite, made of green diopside, from the Shetland ophiolite, Unst, Scotland
Classification diagram for peridotite and pyroxenite, based on proportions of olivine and pyroxene. The pale green area encompasses the most common compositions of peridotite in the upper part of the Earth's mantle