異なる仮想化プラットフォーム間で仮想マシンをスムーズに移行させるためには、共通の形式が必要です。その解決策として誕生したのがOVF (Open Virtualization Format)です。OVFは、仮想マシンのパッケージングに関するオープンな標準規格であり、ベンダー間の相互運用性を高める重要な役割を担っています。
OVF誕生の背景と業界の連携
OVFの構想は2007年9月に始まりました。VMware、Dell、HP、IBM、Microsoft、そしてXenSourceという、当時の仮想化およびハードウェア業界を牽引する主要企業が共同で、Distributed Management Task Force (DMTF) に対して「Open Virtual Machine Format」という名称で提案を行いました。
この取り組みの目的は、特定のベンダーに依存せず、仮想マシンを配布・移行できる共通フォーマットを確立することにありました。
規格の進化とバージョンアップ
DMTFによる標準化は段階的に進められ、利用シーンの拡大に合わせて機能が拡張されてきました。
初期の標準化(V1.0.0 〜 V1.1.0)
2008年9月に暫定標準としてリリースされたのがOVF Specification V1.0.0です。その後、2010年1月にはV1.1.0へとアップデートされ、基礎となる仕様が整備されました。
クラウド時代への対応(OVF 2.0)
2013年1月にリリースされたOVF 2.0では、急速に普及し始めたクラウドコンピューティングへの対応が強化されました。特に、ネットワーク設定のサポート向上や、安全な配送を実現するためのパッケージ暗号化機能が追加されたことが大きな進歩といえます。
国際的な標準規格としての認定
OVFは単なる業界合意にとどまらず、公的な標準規格として世界的に認められています。V1.1.0はANSI(米国国家規格協会)によって「INCITS 469-2010」として批准されました。
さらに2011年8月には、国際標準化機構 (ISO) および国際電気標準会議 (IEC) の共同技術委員会(ISO/IEC JTC 1/SC 38)によって採択され、「ISO/IEC 17203」という国際標準規格として定義されました。
Key Facts
- 共同提案者: VMware, Dell, HP, IBM, Microsoft, XenSourceの6社。
- 管理団体: Distributed Management Task Force (DMTF) が仕様を策定。
- 主要な進化: OVF 2.0でクラウド向け機能(ネットワーク設定・暗号化)が大幅に強化。
- 国際規格: ISO/IEC 17203 として国際的に標準化されている。
| バージョン / 規格名 | リリース・認定時期 | 主な特徴・変更点 |
|---|---|---|
| OVF V1.0.0 | 2008年9月 | 暫定標準としてリリース |
| OVF V1.1.0 | 2010年1月 | 仕様の更新(後にISO/IEC 17203として採択) |
| OVF 2.0 | 2013年1月 | クラウド対応、ネットワーク設定改善、暗号化機能の追加 |
Frequently Asked Questions
OVFとは具体的にどのような規格ですか?
仮想マシンをパッケージ化するためのオープンな標準形式です。これにより、異なるハイパーバイザー間での仮想マシンの配布や移行が容易になります。
OVF 2.0で最も改善された点はどこですか?
クラウド環境での利用を想定し、ネットワーク構成のサポートが強化されたことと、パッケージを暗号化して安全に配送できる機能が追加されたことです。
どの団体がこの規格を管理していますか?
Distributed Management Task Force (DMTF) が仕様の策定と管理を行っています。
OVFは国際的に認められた規格ですか?
はい。ANSIによる批准に加え、ISO/IEC 17203として国際標準規格に認定されています。