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CIMI (Cloud Infrastructure Management Interface) の概要とクラウド相互運用性の実現

🗓 2026年8月13日

現代のクラウド利用において、複数のサービスプロバイダーを併用するマルチクラウド戦略が一般的となっています。しかし、各ベンダーが独自のAPIを提供しているため、管理ツールをベンダーごとに書き分ける必要があるという課題がありました。この問題を解決するために策定されたのが、CIMI (Cloud Infrastructure Management Interface) です。

CIMIは、クラウドインフラストラクチャを管理するためのオープンな標準API仕様です。サービス提供者と利用者の間での相互運用性を高めることで、シンプルかつ統一された方法でクラウド環境を操作することを目指しています。

Key Facts

  • 策定団体: Distributed Management Task Force (DMTF)
  • 標準化ステータス: ISO/IEC 19831 として国際標準に登録 (2014年8月)
  • 主な目的: IaaSプロバイダー間の相互運用性の確保と、ベンダーロックインの軽減
  • 通信プロトコル: RESTアーキテクチャに基づいたHTTP通信を採用
  • 管理対象: 仮想マシン、ストレージ、ネットワークなどのコアIaaS機能

CIMIが解決する課題と設計思想

多くのクラウドベンダーは、自社製品に最適化した「デファクト標準(事実上の標準)」となる独自インターフェースを提供しています。しかし、これでは利用者が別のクラウドへ移行したり、複数のクラウドを統合管理したりする際に、膨大な開発コストが発生します。

CIMIは、標準化団体による管理下にある「デジュレ標準(法的な標準)」として機能します。これにより、利用者は単一のインターフェースセットを用いて、異なるプロバイダーのインフラをプロビジョニング(準備・設定)し、管理することが可能になります。ベンダー側には、汎用的なCIMI準拠の機能と、独自の高度な機能を提供するプロプライエタリな機能の「二段構え」の戦略が期待されています。

技術的な構成と仕様

CIMIの仕様は、単なるAPI定義に留まらず、以下の複数のドキュメントによって包括的に定義されています。

  • モデルおよびRESTfulプロトコル仕様: CIMIの全体的なアーキテクチャと基本概念を定義します。
  • XMLスキーマ: CIMIモデルをXML形式で表現するための定義です。
  • CIMIプライマー: マシンイメージのリスト取得やテンプレートからのマシン作成など、具体的なユースケースに基づいた利用方法を解説しています。
  • ユースケース・ホワイトペーパー: 災害復旧 (DR)、サービスレベル目標 (SLO) 管理、マルチクラウド管理など、次世代のIaaSが直面する課題と今後の方向性をまとめています。

リソースモデルと管理機能

CIMIモデルでは、クラウド消費者がアクセスでき、プロバイダーが維持するリソースとその関係性が詳細に定義されています。利用者はまず「クラウドエントリーポイント」からアクセスを開始し、そこから以下のようなリソースを段階的に探索します。

  • 基本リソース: 仮想マシン (Machines)、ボリューム (Volumes)、ネットワーク (Networks)、およびこれらをグループ化したシステム (Systems)。
  • プロビジョニング用: 新しいリソースを作成するためのテンプレートやマシンイメージ。
  • 監視・運用: メーター (Meters)、イベントログ、および特定の目的を達成するためのジョブ (Jobs)。
  • メタデータ: プロバイダーがサポートする機能やリソース制限に関する情報。

また、CIMIはライフサイクル管理を重視しており、仮想マシンの作成・削除・変更だけでなく、開始・停止操作、バックアップや複製のためのスナップショット作成なども定義しています。さらに、Open Virtualisation Format (OVF) パッケージのインポート・エクスポートをサポートしており、ハイパーバイザー層でのリソース移行を容易にしています。

通信プロトコルと実装例

CIMIは、HTTPを用いたREST (Representational State Transfer) スタイルを採用しています。GET、POST、PUT、DELETEといった標準的なHTTPメソッドをモデル操作にマッピングし、データのやり取りにはJSONまたはXML形式が使用されます。これにより、Web標準の技術を用いて効率的にクラウド操作が行えます。

現在まで、以下のような実装やアダプターが開発されており、独自のAPIをCIMI形式に変換して提供する取り組みが行われてきました。

  • Apache Deltacloud
  • OW2 Sirocco Project
  • StratusLab Project
  • OpenStack向けCIMIインターフェース

相互運用性をさらに向上させるため、CIMIワーキンググループによる「プラグフェスト(相互接続テストイベント)」も実施されています。

CIMI 仕様まとめ

CIMI 標準仕様の概要
項目 内容
標準化団体 DMTF (Distributed Management Task Force)
国際規格 ISO/IEC 19831
主要プロトコル REST / HTTP
データ形式 JSON, XML
管理対象範囲 IaaS (マシン, ボリューム, ネットワーク, 監視)
連携規格 OVF (Open Virtualisation Format)

Frequently Asked Questions

CIMIを導入する最大のメリットは何ですか?

最大のメリットは、異なるクラウドプロバイダー間で共通のAPIを利用できるため、ベンダー固有の仕様に依存しない管理コードを記述できる点にあります。これにより、マルチクラウド環境における運用コストの削減と、プロバイダー移行の柔軟性が向上します。

CIMIはどのようなリソースを管理できますか?

主にIaaS(Infrastructure as a Service)のコア機能である、仮想マシン、ストレージボリューム、ネットワーク、およびそれらをまとめたシステム単位の管理が可能です。また、監視用のメーターやイベントログ、リソース作成用のテンプレートなども管理対象に含まれます。

RESTプロトコルが採用されている理由は何ですか?

RESTはHTTPの標準的な機能を活用するため、軽量で実装が容易であり、多くの開発者に親しまれているためです。JSONやXMLといった汎用的なデータ形式をサポートすることで、多様なクライアントアプリケーションからのアクセスを容易にしています。

OVFとの関係について教えてください。

CIMIは、仮想マシンのパッケージ形式であるOVF (Open Virtualisation Format) のインポートおよびエクスポートをサポートしています。これにより、CIMIで管理されるシステムをOVF形式で書き出したり、逆にOVFパッケージからシステムを構築したりすることが可能になります。

CIMIは現在も更新されていますか?

最新バージョンは2013年10月にリリースされた1.1であり、その後ISO/IECの国際標準として登録されました。現在は、ビジネス継続性や災害復旧、マルチクラウド管理といった次世代のユースケースへの対応が検討されています。

References

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