アラブ首長国連邦(UAE)は、太陽系の謎に迫る野心的な宇宙計画「エミレーツ小惑星帯ミッション」を推進しています。その中核となるのが、7つの小惑星を巡る探査機MBRエクスプローラーです。このミッションは、UAE宇宙プログラムの発展に尽力した副大統領兼首相、シェイク・モハメド・ビン・ラシード・アル・マクトゥーム氏の名を冠しており、人類の生命の起源を探る手がかりを得ることを目的としています。
Key Facts
- ミッション目的:メインベルト(小惑星帯)にある7つの小惑星の調査と、そのうち1つへの着陸。
- 打ち上げ予定:2028年3月、日本のH3ロケットにより種子島宇宙センターから射出。
- 総航行距離:約50億キロメートルに及ぶ壮大な旅。
- 探査機スペック:重量は約2.8トン、平均速度は時速33,000km。
- 最終目的地:小惑星「269 Justitia」での周回および着陸。
ミッションの概要と航行ルート
MBRエクスプローラーは、単一の目的地を目指すのではなく、複数の天体を巡る「フライバイ(接近通過)」を繰り返す複雑なルートを辿ります。効率的に加速するため、金星、地球、火星といった惑星の重力を利用する重力アシスト(スイングバイ)を組み込んでいます。
旅の始まりは2028年の打ち上げ後、すぐに金星と地球を通過して加速し、2030年から2033年にかけて、Westerwald、Chimaera、Rockox、Ghaf、Ousha、Mozaという6つの小惑星を次々と訪れます。これらの天体の中には、ミッション提案時には仮符号で呼ばれていたものもありましたが、2025年10月に正式に命名されました。
最終目的地:269 Justitiaへの到達
長い旅の締めくくりとなるのが、小惑星「269 Justitia」です。2034年10月にこの天体の周回軌道への投入を予定しており、その後、2035年5月には小型ランダー(着陸機)を表面に降下させ、直接的な観測を試みます。フライバイ期間に約8.5年、周回期間に約7ヶ月を費やす長期ミッションとなります。
ミッション詳細スケジュール
以下に、MBRエクスプローラーが辿る主要なタイムラインをまとめました。
| 時期 | イベント / 通過天体 | 役割・目的 |
|---|---|---|
| 2028年3月 | 打ち上げ | H3ロケット(種子島)より出発 |
| 2028年7月 | 金星 | 重力アシスト |
| 2029年5月 | 地球 | 重力アシスト |
| 2030年〜2033年 | 6つの小惑星 | フライバイ観測(Westerwald等) |
| 2031年9月 | 火星 | 重力アシスト |
| 2034年10月 | 269 Justitia | 周回軌道投入 |
| 2035年5月 | 269 Justitia | ランダー着陸 |
Frequently Asked Questions
MBRエクスプローラーはどこから打ち上げられますか?
日本の種子島宇宙センターから、三菱重工業が製造するH3ロケットを用いて打ち上げられる計画です。
なぜ多くの小惑星を巡るのですか?
複数の小惑星をフライバイすることで、小惑星帯の多様な組成を調査し、太陽系初期の状態や生命の起源に関する情報を効率的に収集するためです。
重力アシストとは何ですか?
惑星の重力を利用して探査機の速度を上げたり方向を変えたりする航法です。これにより、少ない燃料で遠方の目的地へ到達することが可能になります。
最終的にどこに着陸するのですか?
7番目に訪れる小惑星「269 Justitia」に小型のランダーを降下させ、表面の調査を行う予定です。
References
- The name "Moza" was mistakenly given to asteroid on 13 October 2025, but was swiftly corrected on the same date.