View of the Chilean Lake District where the Llanquihue glaciation has been defined.
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リャンキウェ氷期南チリ氷河時代パタゴニア氷床最終氷期極大期

リャンキウェ氷期南チリの地形と生態系を形作った最後の氷河時代

🗓 2026年8月12日

南チリの壮大な景観を決定づけた重要な地質学的イベントに、リャンキウェ氷期(Glaciación de Llanquihue)があります。これはパタゴニア氷床の最終段階にあたる氷河期であり、特にリャンキウェ湖の西側に見られる堆積物や終端モレーン(氷河が運んだ土砂が堆積してできた堤のような地形)によってその痕跡が証明されています。なお、アルゼンチンのナウエル・ウアピ湖周辺では、同様の現象が「ナウエル・ウアピ漂砂」として知られています。

この氷河期に先立つ温暖な期間は、ヴァルディビアをタイプロカリティ(基準地)とする「ヴァルディビア間氷期」と呼ばれています。

View of the Chilean Lake District where the Llanquihue glaciation has been defined.

Key Facts

  • 地域的特性: 北部では谷氷河(アルプス型)が主流だったが、南緯41.5度以南では大規模な氷床が形成された。
  • 気候の影響: 中部チリでは降水量に、南部チリでは気温と降水量の両方に氷河の変動が左右された。
  • 避難所(リフュジア): 氷河に覆われなかった海岸山脈の一部などが、ヴァルディビア温帯雨林の生存拠点となった。
  • 火山活動との連動: 氷河の消失による地殻への負荷軽減が、火山の噴火様式(爆発的から非爆発的へ)を変化させた。

緯度による氷河形態の違いと環境

リャンキウェ氷期の特徴は、緯度によって大きく異なります。アタカマ砂漠以南の中部チリでは、偏西風の移動に伴う降水量の変化が氷河の拡大を制御していました。一方、南緯39度から43度の地域では、降水量だけでなく地球規模の気温変動にも強く相関していました。

特に南緯41.5度を境に、氷河の形態に劇的な差が見られます。このラインより南側では、アンデス山脈から流れ出した氷河が合流して巨大な氷床となり、チロエ海やその他の海盆を埋め尽くし、時には海岸山脈の麓まで到達しました。対して、北側のチリ湖水地方(南緯39〜41.5度)では、氷河は地形に制限された「谷氷河」として存在し、個別の大きな氷河ローブ(氷の塊)を形成するにとどまりました。

View of Llanquihue Lake. During much of the Llanquihue glaciations glaciers flowing from the Andes in the east (background) coalesced and entered the lake basin forming a large glacier lobe there.

氷河の影響を受けなかった地域

すべての地域が氷に覆われたわけではありません。標高5,000mを超えるアタカマ砂漠の高山地帯や、アンデス東部の乾燥地帯は氷河の影響を免れました。ただし、後者では氷楔やパターン地といった周氷河地形(氷河の周辺で凍結・融解が繰り返されることで形成される地形)が発達しました。また、南緯37度から41度の沿岸部や海岸山脈の低地は氷河や周氷河作用の影響を受けず、貴重な植物の避難所となりました。

氷河の展開と時間的経過

チロエ島の花粉分析からは、氷期の間にも少なくとも3回の温暖期(間氷期)があったことが判明しています。具体的には、57,000〜49,000年前、50,000〜47,000年前、そして45,000〜35,000年前に温暖な期間が存在しました。これらの時期には、現在よりも広い範囲に針葉樹のフィッツロヤやピルゲロドンドロンが分布していました。

氷河の最大拡大時期は地域によって異なります。南緯30〜40度では約40,000〜35,000年前にピークを迎えましたが、さらに南のトーレス・デル・パイネ付近(南緯51〜52度)では、より早い約48,000年前に最大規模に達していました。

最終氷期極大期(LGM)とその後の変遷

最終氷期極大期(Last Glacial Maximum)において、谷氷河は合流して巨大な裾氷河となり、湖盆や海盆を占拠しました。リャンキウェ湖の西側へは約7kmまで氷河が到達しましたが、南側への進出は2〜3km程度に留まりました。この時期、チロエ島の大部分では約26,000年前に氷河がピークを迎え、東海岸沿いに南北に長いモレーン系を形成しました。

当時の植生は、氷のない地域では高山植物が中心の開けた地表が広がっていました。その後、温暖化に伴いノトファガス属(南ブナ)を中心とした疎林へと移行し、次第に温暖な気候を好む樹木が現れました。樹林限界は最寒期には現在の標高より約1,000m低い位置にありましたが、19,300年前まで徐々に上昇しました。

脱氷期と環境の劇的変化

約17,800年前から急速な温暖化が始まり、わずか1,000年ほどで間氷期の気温に達しました。これにより氷河は後退し、ノトファガス・ドンベイなどの樹木が急速に定着して、現在のヴァルディビア温帯雨林へと発展しました。ただし、14,850年前には再び一時的な氷河の前進が起こり、コルコバード湾の氷河ローブが過去3万年で最大規模に達したことが記録されています。

火山活動への影響

氷河の消失は、地質学的なストレスの変化を通じて火山活動にも影響を与えました。氷の重みがなくなる(除荷)ことで、南火山帯の火山ではマグマの性質がフェルシック(珪長質)からマフィック(苦鉄質)へと変化し、爆発的な噴火から比較的穏やかな噴火へと移行した時期がありました。この現象は北側から順に発生し、ヴィジャリカ山(約17,000〜4,000年前)から始まり、南のカルブコ山へと波及しました。

区分 南緯39°〜41.5° (湖水地方) 南緯41.5°以南 (チロエ・パタゴニア)
氷河の形態 谷氷河(アルプス型) 大規模な氷床
主な制御要因 主に降水量 気温および降水量
最大拡大時期 約40,000〜35,000年前 約48,000年前 (南部地域)
地形的特徴 個別の氷河ローブ 海盆を埋める広大な氷床

Frequently Asked Questions

リャンキウェ氷期とは具体的にどのような現象ですか?

南チリで起こった最後の氷河期のことです。アンデス山脈から流れ出した氷河が広大な範囲を覆い、現在の湖水地方やチロエ島の地形を形成しました。

氷河に覆われなかった地域はどこにありましたか?

アタカマ砂漠の高山地帯や、南緯37〜41度の沿岸地域、および海岸山脈の低地などは氷河に覆われず、植物の避難所(リフュジア)となりました。

氷河の変動は植物にどのような影響を与えましたか?

氷期の間には高山植物が優占していましたが、温暖化に伴いノトファガス属などの森林が拡大しました。また、温暖な間氷期には現在よりも広い範囲に針葉樹が分布していました。

氷河の消失が火山活動に影響を与えたのはなぜですか?

巨大な氷床が消失することで、地殻にかかっていた圧力が軽減されました。これにより火山のマグマ供給系やストレス状態が変化し、噴火の激しさやマグマの組成が変わったと考えられています。

この氷河期と世界的な「最終氷期極大期(LGM)」は一致していますか?

概ね一致していますが、地域差があります。チロエ島では約26,000年前にピークを迎えましたが、さらに南の地域ではそれよりもかなり早い時期に最大規模に達していました。

References

  1. Previously in the 1930s had named the last glacial period in South America "Finiglacial" after an existing scheme in .
  2. However, not all of the reported features have been verified.

📸 フォトギャラリー

View of the Chilean Lake District where the Llanquihue glaciation has been defined.
View of Llanquihue Lake. During much of the Llanquihue glaciations glaciers flowing from the Andes in the east (background) coalesced and entered the lake basin forming a large glacier lobe there.