テーブルトークRPG(TRPG)の世界、特に「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」の発展において、ジェレミー・パーキンスの名は欠かせません。長年にわたりWizards of the Coast社で中枢を担い、ゲームの構造から物語の構築まで、数多くの金字塔を打ち立ててきた彼のキャリアは、まさにTRPGの進化そのものと言えるでしょう。
主要な実績と経歴
- Wizards of the Coastでの長期貢献:1997年から2025年まで約28年間にわたり勤務し、編集者からクリエイティブディレクターまで歴任。
- D&Dの基盤構築:第4版の宇宙観や設定を刷新した「SCRAMJET」チームへの参画や、第5版の重要シナリオ『ストラードの呪い』のリードストーリーデザイナーを務める。
- ゲームアーキテクトとしての指導:デザイナーや編集者のチームを統括し、製品開発の方向性を決定づける役割を担った。
- 新たな挑戦:2025年に引退後、Darrington Pressに参画し、新システム「Daggerheart」の展開に携わる。
キャリアの歩み:編集者からクリエイティブディレクターへ
パーキンス氏のキャリアは1988年、「Christopher Zarathustra」というペンネームで『Dungeon』誌に冒険シナリオ「Wards of Witching Ways」を寄稿したことから始まりました。その後、1997年にWizards of the Coast社へ正式に入社し、『Dungeon』誌の編集者を経て、同社の定期刊行物の編集長へと昇進しました。
その後、D&Dのシニアプロデューサーとして、デザイナーや開発者のチームを率いる立場となります。特に2007年の第4版リリース前にはストーリーマネージャーを務め、リチャード・ベイカー氏率いる「SCRAMJET」チームの一員として、ゲームの世界観や宇宙論(コスモロジー)のアップデートという重要な任務を遂行しました。また、この時期には『スター・ウォーズ Saga Edition』の開発にも携わり、第4版チームと密接なアイデア交換を行っていました。
2016年には、第5版にレイヴンロフトの世界を導入した名作『ストラードの呪い(Curse of Strahd)』のリードストーリーデザイナーとして手腕を振るいました。その後、ゲームアーキテクトとしてブランド全体の製品管理やビジネスパートナーへのサポートを行い、最終的にクリエイティブディレクターの職に就きました。2024年版の『ダンジョンマスターズ・ガイド』を最後にプロダクトリードとしての役割を終え、2025年4月に28年の勤務に区切りをつけ、引退を表明しました。
実況プレイ(Actual Play)への貢献と影響力
パーキンス氏は開発者としてだけでなく、プレイヤーやマスターとしての顔も持っています。PAX(Penny Arcade Expo)で開催される人気セッション「Acquisitions Incorporated」では、2008年から2018年まで長らくダンジョンマスター(DM)を務めました。このセッションは第4版から始まり、後に第5版へと移行しましたが、彼は現在もゲストとして登場するなど、深い関わりを持ち続けています。
また、Twitchで配信された『Dice, Camera, Action』では、2016年から2019年までDMとして最新のストーリーラインを実演しました。さらに、世界的に人気の配信番組『Critical Role』にも2度ゲスト出演しており、その卓越したゲーム進行能力を披露しています。
次なるステージ:Darrington Pressへの参画
引退から間もない2025年6月、パーキンス氏はジェレミー・クロフォード氏と共に、Critical Role Productions傘下の「Darrington Press」への加入を発表しました。Wizards of the Coast時代と同様に、パーキンス氏はクリエイティブディレクターとして、クロフォード氏はゲームディレクターとして就任しています。
彼は、D&Dの50周年記念までWizards社に留まり、後継者の育成や出口戦略を十分に練った上で、この新天地への挑戦を決めました。現在は、TRPGシステム「Daggerheart」向けに、相互に連結したアドベンチャー・サプリメントの制作に取り組んでいます。
パーキンス氏の経歴まとめ
| 期間/年 | 所属・役割 | 主な実績・活動 |
|---|---|---|
| 1988年 | フリーライター | 『Dungeon』誌に初のシナリオを寄稿 |
| 1997年〜 | Wizards of the Coast | 『Dungeon』誌編集者 → 定期刊行物編集長 |
| 2000年代後半 | シニアプロデューサー | D&D第4版の設定刷新(SCRAMJETチーム) |
| 2016年 | リードストーリーデザイナー | 『ストラードの呪い』の開発 |
| 2025年4月 | Wizards of the Coast | 28年のキャリアを経て引退 |
| 2025年6月〜 | Darrington Press | クリエイティブディレクター就任 |
よくある質問
ジェレミー・パーキンス氏はどのような役割でD&Dに関わっていましたか?
編集者から始まり、シニアプロデューサー、ストーリーマネージャー、ゲームアーキテクト、そしてクリエイティブディレクターまで、開発のほぼすべての段階で指導的な役割を担いました。
「SCRAMJET」チームとは何ですか?
リチャード・ベイカー氏が率いたチームで、D&D第4版の開発に合わせて、ゲームの世界設定や宇宙論(コスモロジー)を現代的にアップデートすることを目的としたプロジェクトチームです。
彼が執筆していたブログの内容は何でしたか?
「The Dungeon Master Experience」というブログを2年以上運営し、自身のホームブリュー(自作)世界である「Iomandra」を例に、キャンペーンを運営するDM向けのテクニックやアドバイスを共有していました。
現在はどこで活動していますか?
現在はDarrington Pressのクリエイティブディレクターを務めており、TRPG「Daggerheart」向けのアドベンチャー・サプリメントを制作しています。
Acquisitions Incorporatedとの関係は?
2008年から2018年までPAXでの実況プレイにおいてメインのダンジョンマスターを務めていました。現在は第一線を退いていますが、時折ゲストとして参加しています。