1947年に誕生した「It's Magic」は、トラディショナル・ポップの黄金時代を象徴する名曲です。作曲をジュール・スタイン、作詞をサミー・カーンという黄金コンビが手掛けたこの楽曲は、映画の世界から生まれ、多くのアーティストに愛されるスタンダード・ナンバーとなりました。
もともとはドリス・デイのワーナー・ブラザース映画デビュー作『Romance on the High Seas』(英国題:It's Magic)のために書き下ろされた楽曲です。この曲の持つ魔法のような魅力は、映画のタイトルを塗り替えるほどの大きな影響力を持ちました。
Key Facts
- 制作年:1947年
- 主要アーティスト:ドリス・デイ(代表的な録音)
- 制作陣:ジュール・スタイン(作曲)、サミー・カーン(作詞)
- 実績:アカデミー歌曲賞にノミネート
- チャート記録:ドリス・デイ版がBillboard誌のセールスチャートで最高2位を記録
音楽的な成功とチャートの記録
ドリス・デイによる録音はコロンビア・レコードからリリースされ、1948年9月にはBillboardの小売レコード販売チャートで2位にまで上昇しました。21週間にわたってチャートに留まるという、当時のポップスとして類稀なるヒットを記録しています。
この曲の人気の高さは、多くの競合アーティストがカバーをリリースしたことからも分かります。1948年秋には、ヴィック・ダモン、トニー・マーティン、ディック・ヘイムズ、ゴードン・マクレイ、サラ・ヴォーンといった豪華な顔ぶれがチャート入りを果たしました。しかし、商業的な成功においてドリス・デイの記録を塗り替える者は現れませんでした。
また、映画音楽としての評価も高く、第20回アカデミー賞の歌曲賞にノミネートされました。結果的にジェイ・リヴィングストンとレイ・エヴァンスの「Buttons and Bows」に敗れましたが、音楽史に刻まれる一曲となったことは間違いありません。
多様なアーティストによるカバーと展開
「It's Magic」は、時代を超えてジャンルを問わずカバーされ続けてきました。ジャズの女王サラ・ヴォーンや、名歌手ダイナ・ワシントン、キーリー・スミスらがそれぞれのスタイルでこの曲を解釈しています。また、1962年にはボーカルグループのプラッターズがシングルとしてリリースし、Billboardチャート95位にランクインしました。
インストゥルメンタル(歌のない演奏)の分野でも注目され、1960年にはエリック・ドルフィーがアルバム『Far Cry』の中で独自の解釈を加えて録音しています。さらに、2013年にはサミー・カーンの生誕100周年を記念したアルバムや、スティーヴ・タイレルによるカバーなど、現代に至るまでその生命力を維持しています。
| アーティスト | レーベル | 最高順位 (Billboard) | チャート滞在期間 |
|---|---|---|---|
| ドリス・デイ | Columbia | 2位 | 21週間 |
| ディック・ヘイムズ | Decca | 9位 | 18週間 |
| ゴードン・マクレイ | Capitol | 9位 | 17週間 |
| トニー・マーティン | RCA Victor | 11位 | 13週間 |
| サラ・ヴォーン | Musicraft | 29位 | 2週間 |
ポップカルチャーへの浸透とパロディ
この曲の知名度は、映画やラジオなどのメディアを通じてさらに広がりました。ドリス・デイ自身、1952年に開始した自身のラジオ番組『The Doris Day Show』のテーマ曲としてこの曲を採用しています。
また、ワーナーのスタジオ作品であったため、アニメーションの金字塔『ルーニー・テューンズ』のバックス・バニーによるパロディとしても使用されました。1951年の『Rabbit Every Monday』では、歌詞を「ニンジンは素晴らしい(Carrots are divine)」と書き換えて歌い、後の作品でもこのメロディが繰り返し登場しています。
Frequently Asked Questions
「It's Magic」はもともと何のために作られた曲ですか?
ドリス・デイのワーナー・ブラザース映画デビュー作である『Romance on the High Seas』のために書き下ろされた楽曲です。
この曲で最も成功したアーティストは誰ですか?
ドリス・デイです。彼女の録音はBillboardのセールスチャートで最高2位を記録し、他の多くのカバーアーティストを上回る商業的成功を収めました。
アカデミー賞での評価はどうでしたか?
歌曲賞にノミネートされましたが、最終的に「Buttons and Bows」に次ぐ結果となりました。
どのようなジャンルのアーティストがカバーしていますか?
トラディショナル・ポップだけでなく、サラ・ヴォーンのようなジャズシンガー、プラッターズのようなグループ、さらにはエリック・ドルフィーのようなインストゥルメンタル奏者まで、非常に幅広くカバーされています。
アニメーション作品でも使われていますか?
はい。バックス・バニーが登場する『ルーニー・テューンズ』のいくつかのエピソードで、歌詞を変えたパロディソングとして使用されています。
References
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