1959年に公開された『It Happened to Jane』(邦題:ジェーンの災難)は、当時の人気スターであるドリス・デイとジャック・レモンが共演した、心温まるアメリカン・ロマンティック・コメディです。リチャード・クイン監督の手によって、小さな町の女性が巨大な鉄道会社に立ち向かう姿が、ユーモアたっぷりに描かれています。
本作は、単なる恋愛物語にとどまらず、個人の尊厳とコミュニティの結束をテーマにしており、当時のアメリカの地方都市の空気感を色濃く反映した作品となっています。
Key Facts
- 主演:ドリス・デイ、ジャック・レモン、アーニー・コバックス
- 公開日:1959年8月5日(アメリカ)
- 監督:リチャード・クイン
- ジャンル:ロマンティック・コメディ
- 上映時間:97分
- 配給:コロンビア・ピクチャーズ
物語のあらすじ:ロブスターと鉄道会社を巡る戦い
舞台はメイン州の静かな町、ケープアン。主人公のジェーン・オズグッドは、レストランにロブスターを卸す事業を営む未亡人です。ある日、E&P鉄道会社の不手際により、輸送中だったロブスター300匹が死ぬという大損害が発生します。これにより顧客を失ったジェーンは、親友の弁護士ジョージ・デンハムと共に、鉄道会社へ損害賠償を請求することになります。
鉄道会社の幹部ハリー・フォスター・マローンは、自身の予算削減が原因でこの事故が起きたことを知り、事態を揉み消そうとします。しかし、提示された少額の賠償金に納得しなかったジェーンは裁判に訴え、見事に勝訴。支払いの代わりに、彼女は「オールド97」と呼ばれる蒸気機関車を差し押さえることになります。
この珍しい出来事はメディアの注目を集め、ニューヨークの敏腕記者ラリー・ホールが取材に訪れます。マローンは嫌がらせとして機関車の駐留地に賃料を課すなど妨害を続けますが、世論の支持を得たジェーンは、最終的に機関車を完全に譲り受けます。
しかし、マローンはさらに強硬な手段に出ます。町への全列車を運休させ、48時間以内に機関車を撤去しなければならないと通告したのです。物流が止まり、町の人々が困窮する中、ジェーンとジョージは町の人々の協力を得て、自力でロブスターを配送することを決意します。住民から集めた石炭を積み込み、引退した機関士の叔父オティスを招いて、彼らは困難な配送ルートへと旅立ちます。
紆余曲折を経て、最終的にマローンも彼らの情熱に心を打たれ、和解に至ります。物語は、ジェーンとジョージの結婚、そして町への消防車の寄贈というハッピーエンドで締めくくられます。
作品の制作背景と舞台裏
劇中に登場する機関車「オールド97」は、かつてニューヘイブン鉄道で運用されていたJクラス2-8-2蒸気機関車をモデルにしています。撮影の大部分はコネチカット州のチェスターで行われ、サウージントンやプレインフィールドなどの地域でもロケが行われました。特筆すべきは、ラストシーンに登場する機関車が木製のプロップ(小道具)であった点です。
また、タイトルの決定には紆余曲折があり、当初は『Miss Casey Jones』や『That Jane from Maine』という案が出ていました。なお、1961年には『Twinkle and Shine』という別タイトルで再公開されています。
音楽面では、ドリス・デイが歌う主題歌「It Happened to Jane」や、ボーイスカウトに歌いかける「Be Prepared」などが物語を彩っています。
作品概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 製作年 | 1959年 |
| 製作会社 | Arwin Productions |
| 主要キャスト | ドリス・デイ、ジャック・レモン、アーニー・コバックス |
| 撮影地 | コネチカット州(チェスター他) |
| 興行収入 | 約170万ドル(推定) |
Frequently Asked Questions
この映画のメインテーマは何ですか?
個人の権利を守るための闘いと、困難に直面した際の地域コミュニティの連帯、そしてその過程で育まれる愛情がテーマとなっています。
「オールド97」とは何のことですか?
劇中に登場する蒸気機関車の愛称です。実在したニューヘイブン鉄道のJクラス機関車をモデルにしており、物語の重要な鍵となるアイテムです。
ドリス・デイとジャック・レモンの関係はどう描かれていますか?
長年の友人である弁護士ジョージ(レモン)が、ジェーン(デイ)への想いを抱きつつ、彼女を法的に、そして精神的にサポートするという、王道のロマンティック・コメディ形式で描かれています。
映画の評価はどうでしたか?
ニューヨーク・タイムズ紙の批評家ハワード・トンプソンは、一部に強引な展開はあるものの、小都市の生活を鮮やかに切り取った、非常に愉快で親しみやすい作品であると評しています。
再公開時にタイトルが変わったのは本当ですか?
はい。1961年の再公開時には、『Twinkle and Shine』というタイトルに変更されて上映されました。
References
- "1959: Probable Domestic Take", Variety, 6 January 1960 p. 34
- It Happened To Jane . Accessed September 20, 2014
- "It Happened to Jane". Turner Classic Movies. Archived from the original on August 2, 2011. Retrieved November 19, 2023.
- "Name-Changing 'Jane' Double-X's Fawcett". . February 11, 1959. p. 22. Retrieved July 6, 2019 – via .
- Thompson, Howard (August 6, 1959). "Double Bill Program". . p. 18.