金星の表面には、地球の大陸に似た広大な高地(テラ)が点在しています。その中でも、北半球に位置するイシュタル高地(Ishtar Terra)は、アッカドの女神イシュタルにちなんで名付けられた、惑星内で2番目に大きな大陸状の地域です。
この地域の位置については、金星の自転方向の定義によって異なります。右手の法則に基づいた順行自転として定義すると南極付近になりますが、地球の北半球と対応させるための逆行自転という一般的な地図表記の慣習では、北極付近に位置することになります。

主要な地理的特徴
イシュタル高地の面積は、オーストラリア大陸とアメリカ合衆国本土の中間ほどの規模を誇ります。この広大な領域は、周囲を険しい山脈に囲まれ、中央に低地が広がるという独特の構造を持っています。
金星最高峰と山脈の構成
この高地には、金星を代表する4つの主要な山脈が存在します。東端に位置するマックスウェル山脈(Maxwell Montes)は、標高約11kmに達し、地球の最高峰であるエベレスト(8.8km)を大きく上回る金星の最高地点です。また、北部のフレイヤ山脈、西端のアクナ山脈、そして南部のダヌ山脈が、この地域の境界を形作っています。

平原と火山、そして地質構造
山脈に囲まれた中心部には、ヒンドゥー教の女神ラクシュミにちなんで名付けられたラクシュミ平原(Lakshmi Planum)が広がっています。また、この地域にはサカジャウィアやコレットといった著名な女性の名を冠した火山が存在します。
さらに、地殻の変動によって形成された複雑な網目状の地形であるテッセラ(tesserae)が多く見られることも、この地域の地質学的な大きな特徴です。また、マックスウェル山脈の傍らには、直径100kmの溶岩で満たされたクレオパトラ・クレーターが位置しています。

Key Facts
- 規模:金星で2番目に大きな高地(テラ)。面積はオーストラリアと米国本土の中間程度。
- 最高地点:マックスウェル山脈(標高約11km)。
- 構成:4つの主要山脈(マックスウェル、フレイヤ、アクナ、ダヌ)と中央のラクシュミ平原で構成。
- 地質:テッセラと呼ばれる構造変形地形や、溶岩で満たされたクレーター、火山が存在する。
イシュタル高地の概要まとめ
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 地形種別 | テラ(高地) |
| 座標 | 北緯70.4度 / 東経27.5度 |
| 直径 | 約5,610 km |
| 主要山脈 | マックスウェル、フレイヤ、アクナ、ダヌ |
| 中心平原 | ラクシュミ平原 |
Frequently Asked Questions
イシュタル高地はどのくらいの大きさですか?
直径は約5,610kmで、面積としてはオーストラリア大陸より大きく、アメリカ合衆国本土よりは小さい規模です。金星にある3つの主要な高地の中で2番目の大きさを誇ります。
マックスウェル山脈はエベレストより高いのでしょうか?
はい。マックスウェル山脈の標高は約11kmに達しており、地球の最高峰であるエベレストの8.8kmを大きく上回っています。
「テッセラ」とはどのような地形のことですか?
テッセラとは、プレートのような地殻の変動(テクトニクス)によって引き起こされた変形によって形成された、複雑な模様を持つ地表構造のことです。
この地域にあるクレーターの特徴は?
代表的なものにクレオパトラ・クレーターがあります。これは直径100kmの規模を持ち、内部が溶岩で満たされているのが特徴です。
なぜ位置が「北極付近」だったり「南極付近」だったりするのですか?
金星の自転方向をどう定義するかによるためです。地球の北半球と対応させるための一般的な地図表記(逆行自転)では北極付近になりますが、物理的な右手の法則(順行自転)で定義すると南極付近になります。
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