地球の地殻を構成する主要な岩石の一つである火成岩(magmatic rock)は、灼熱のマグマや溶岩が冷却され、凝固することで形成されます。ラテン語で「火」を意味する「igneus」に由来するこの岩石は、堆積岩や変成岩と並び、地質学における三大岩石の一つに数えられます。
火成岩は、地球の地殻深部から地表まで、極めて広範な環境で生成されます。大陸の安定した地塊である楯状地やプラットフォームから、プレートの衝突が起こる造山帯、そして海洋底に至るまで、その分布は地球上のあらゆる場所に及びます。

Key Facts
- 形成プロセス: マグマや溶岩の冷却・凝固によって生成される。
- 分布: 地殻上層(深さ16kmまで)の体積の90〜95%を火成岩と変成岩が占める。
- 主要成分: シリコン、酸素、アルミニウムなどのケイ酸塩鉱物が90%以上を構成する。
- 分類の基準: 主に二酸化ケイ素(SiO2)の含有量と、冷却場所(地表か地下か)で分類される。
マグマはどのようにして生まれるのか
マグマは、地球のマントルや地殻にある既存の岩石が部分的に融解することで発生します。岩石が溶ける仕組みには、主に以下の3つの要因が関わっています。
1. 温度の上昇
地殻深部へマントル由来の熱いマグマが貫入したり、プレートの衝突によって地殻が厚くなり内部温度が上昇したりすることで、岩石が融点に達し融解します。例えば、チベット高原のような厚い地殻を持つ地域では、このプロセスによる花崗岩や流紋岩の生成が顕著です。
2. 圧力の低下(減圧融解)
通常、岩石の融点は圧力が高くなるほど上昇します。しかし、マントルの対流によって高温の岩石が浅い場所へ上昇すると、周囲の圧力が下がるため、温度がそれほど下がらなくても融点以下となり、溶け始めます。これは地球の進化において極めて重要なプロセスです。
3. 成分の変化(水や二酸化炭素の影響)
岩石に水が加わると、融点が大幅に低下します。特に沈み込み帯では、海洋プレートから放出された水が上方のマントルを融解させ、玄武岩や安山岩質のマグマを生成します。これが環太平洋火山帯などの島弧を形成する要因となります。また、二酸化炭素の流入も、特定の条件下で低シリカのマグマ(カーボナタイトなど)を生成させます。

火成岩の分類:場所と組成による違い
火成岩は、マグマがどこで冷え固まったかによって、大きく火山岩(噴出岩)と深成岩(貫入岩)に分けられます。
火山岩(Extrusive Rocks)
地表に噴出した溶岩や火山灰が急速に冷却されて形成されます。冷却速度が速いため、結晶が成長する時間がなく、粒子が非常に細かいか、あるいは結晶が全くない天然ガラス(黒曜石など)になります。

溶岩の挙動は「粘性」に左右されます。玄武岩質のマグマは温度が高く粘性が低いため、さらさらと流れ広がり、パホイホイ溶岩のような滑らかな表面を作ります。対して、流紋岩質のマグマは粘性が極めて高く、爆発的な噴火を起こしやすい傾向があります。


深成岩(Intrusive Rocks)
地下深くでマグマがゆっくりと時間をかけて冷却されることで形成されます。冷却に時間がかかるため、大きな結晶が成長し、肉眼で鉱物が見える粗粒な組織になります。これらは岩脈(dike)や岩床(sill)、あるいは巨大な岩体である底盤(batholith)などの形態で存在します。



化学組成による詳細な分類
火成岩の性質を決定づける最大の要因は、二酸化ケイ素(SiO2)の含有量です。これにより、岩石は以下の4つのグループに大別されます。
| 組成区分 | SiO2含有量 | 深成岩(地下) | 火山岩(地表) |
|---|---|---|---|
| フェルシック(酸性) | 63%超 | 花崗岩 | 流紋岩 |
| 中間的 | 52% 〜 63% | 閃緑岩 | 安山岩 |
| マフィック(塩基性) | 45% 〜 52% | 斑れい岩 | 玄武岩 |
| ウルトラマフィック(超塩基性) | 45%未満 | かんらん岩 | コマタイト |
さらに詳細な分類には、アルカリ金属(Na2O + K2O)の量を用いたTAS図や、主要鉱物の比率を示すQAPF図などが利用されます。


![Total alkali versus silica classification scheme (TAS) as proposed in Le Maitre's 2002 Igneous Rocks – A classification and glossary of terms[21] Blue area is roughly where alkaline rocks plot; yellow area is where subalkaline rocks plot.](/images/f5/0b/f50bb1951af41b6ca1c035984bd75414522c815673b71d9d76d2502a4fe00f01.webp)

マグマの進化と分化作用
マグマは冷却される過程で、単に固まるだけでなく、その化学組成が変化していきます。これを分化作用(fractional crystallization)と呼びます。異なる鉱物はそれぞれ異なる温度で結晶化するため、先に結晶化した鉱物がマグマから分離されると、残った液体(残液)の組成が変化します。
例えば、斑れい岩質のマグマから特定の結晶が取り除かれることで、最終的に花崗岩質の組成を持つマグマが生成されることがあります。このプロセスにより、地球上には多様な種類の火成岩が存在することになります。


Frequently Asked Questions
火成岩と火山岩の違いは何ですか?
火成岩は、マグマからできた岩石全体の総称です。その中で、地表に噴出したものが「火山岩」、地下でゆっくり固まったものが「深成岩」と呼ばれます。
なぜ岩石によって色が違うのですか?
主に含まれる鉱物の組成によります。鉄やマグネシウムを多く含むマフィック(塩基性)な岩石は黒っぽく、シリカやアルミニウムを多く含むフェルシック(酸性)な岩石は白やピンク色に見える傾向があります。
マグマがなくても岩石が溶けることはありますか?
はい。既存の岩石であっても、地下深くで温度が上昇したり、圧力が急激に下がったり、あるいは水が混入したりすることで、部分的に融解してマグマに変わります。
「分化作用」とは具体的にどのような現象ですか?
マグマが冷える際、融点の高い鉱物から順に結晶化して沈殿し、残った液体の成分が変わっていく現象です。これにより、一つの親マグマから異なる種類の岩石が生まれます。
地球の地殻のほとんどは火成岩なのですか?
体積比で見ると、地殻上層の約90〜95%を火成岩と変成岩が占めています。特に海洋地殻の大部分は玄武岩や斑れい岩などの火成岩で構成されています。
References
- 15% is the arithmetic sum of the area for intrusive plutonic rock (7%) plus the area for extrusive volcanic rock (8%).
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![Total alkali versus silica classification scheme (TAS) as proposed in Le Maitre's 2002 Igneous Rocks – A classification and glossary of terms[21] Blue area is roughly where alkaline rocks plot; yellow area is where subalkaline rocks plot.](/images/f5/0b/f50bb1951af41b6ca1c035984bd75414522c815673b71d9d76d2502a4fe00f01.webp)

