読書を中断し、再び同じページから再開するために欠かせないのがしおり(ブックマーク)です。単にページを記憶するための道具としてだけでなく、素材やデザインによって読書体験を豊かにしてくれるアイテムでもあります。現代では多様な形態がありますが、その起源は驚くほど古く、本の形式の進化と共に歩んできました。
一般的にしおりは、カードや革、布などの薄い素材で作られており、ページに挟み込むことで読書箇所を記録します。中には本の製本時にリボンが縫い付けられているものや、ページをクリップのように挟み込むフラップ付きのタイプも存在します。

Key Facts
- 起源: 1世紀頃のコデックス(冊子体)の登場とほぼ同時に利用されていた形跡がある。
- 最古の遺物: 6世紀のコプト文書に付随していた、装飾革と羊皮紙製のしおりが確認されている。
- 近代の転換点: 1850年代に、本から切り離して個別に収集できる「独立型」のしおりが登場した。
- 素材の多様性: 紙や布だけでなく、銀、金、宝石、プラスチック、木材など多岐にわたる。
- 保存の注意点: 本を傷めないためには、酸を含まず、薄く、色移りしない素材を選ぶことが重要。
しおりの歴史的変遷
古代から中世まで
しおりの歴史は、巻物から冊子状の「コデックス」へと本の形態が変わった1世紀頃まで遡ります。現存する最古の例は6世紀のエジプト・サッカラ近郊で発見されたもので、装飾が施された革に羊皮紙を裏打ちし、ストラップで表紙に固定されていました。その後、1世紀から11世紀のコプト文書や、8世紀から12世紀のカロリング朝の文書からも、しおりの断片や痕跡が見つかっています。中世を通じて、羊皮紙の細い帯や紐がページ端に付けられて利用されていました。

19世紀の産業化と収集文化
1850年代になると、本に固定されていない「取り外し可能」なしおりが登場し、収集の対象となりました。1860年代には、イギリスのコヴェントリーを中心に、機械織りのシルクリボン製しおりが量産されました。特にトーマス・ステブンスが展開した「ステブングラフ」と呼ばれる絵柄入りの絹製しおりは、ヴィクトリア朝時代にあらゆる祝祭や機会に贈られる人気のギフトとなりました。
当初、19世紀のしおりは主に聖書や祈祷書で使われるため、革や絹などの高級素材が主流でした。しかし1880年代になると、本の普及に伴い、厚紙や硬い紙に印刷された安価で多様なデザインのしおりが普及し始めました。

素材とデザインの多様性
現代のしおりは、実用性と装飾性を兼ね備えたあらゆる素材で制作されています。定番のカードボードや厚紙のほか、フェルト、スチール、ワイヤー、ビーズ、ビニール、さらには金や銀などの貴金属に宝石をあしらった豪華なものまで存在します。

大切な本を守るための選び方
お気に入りの本を長期的に保存したい場合、しおりの素材選びには注意が必要です。本にダメージを与えないための条件は以下の通りです。
- 酸を含まない(アシッドフリー): 紙の劣化を防ぐため。
- 十分な薄さ: ページに挟んだ際に、紙に深い圧痕(へこみ)がつかないようにするため。
- 色移りのない素材: 染料や装飾材がページに滲み出さないこと。
- 滑らかなエッジ: ページを傷つけないよう、端が平らで緩やかな形状であること。
| 素材 | 主な特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 紙・カードボード | 安価でデザインが豊富 | 一般的な読書、コレクション |
| 絹・リボン | 薄く、本への負荷が少ない | 高級書、聖書、ギフト |
| 金属(銀・真鍮など) | 耐久性が高く装飾的 | 装飾品としての利用 |
| 革・フェルト | 質感が良く丈夫 | 日記帳やハードカバー本 |
Frequently Asked Questions
しおりの最古の例はいつのものですか?
現存する最古のしおりは6世紀のもので、エジプトのサッカラ近郊にあるアパ・ジェレミア修道院の遺跡から発見されました。装飾された革に羊皮紙が貼られた構造になっています。
「ステブングラフ」とは何ですか?
19世紀のイギリスの絹織物職人、トーマス・ステブンスが1862年頃から制作した、絵柄が織り込まれた絹製しおりのことです。当時のヴィクトリア朝で非常に人気の高い贈り物でした。
本を傷めないしおりの条件は?
酸を含まない素材(アシッドフリー)であり、ページに跡がつかないほど薄く、かつ色移りしない染料が使われていることが重要です。また、端が鋭利でないものを選んでください。
昔のしおりはどのような目的で使われていましたか?
19世紀の多くは、聖書や祈祷書などの宗教書で使用することを目的としており、リボンや絹、革などの素材が主に用いられていました。
References
- Szirmai, J.A. (1999). The Archeology of Medieval Bookbinding. Ashgate. .
- Lamacraft, C.T. (1939). Early Book-Bindings from a Coptic Monastery. The Library, Fourth Series, Vol. 20 (1940). pp. 214–233.
- For a 9th-century Carolingian bookmark see: Szirmai, J. A. (1999). The archaeology of medieval bookbinding. Aldershot: Ashgate. p. 123. . For a 15th-century bookmark, see Medeltidshandskrift 34, Lund University Library.
- Gordon Campbell (2006). The Grove Encyclopedia of Decorative Arts. Vol. 2. . p. 395. .
- "Collecting Bookmarks | Book Collecting Guide". Archived from the original on 2023-05-22. Retrieved 2021-03-01.
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