An oil tanker taking on fuel, or "bunkering"
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燃料油の基礎知識種類から環境への影響、最新の国際基準まで

🗓 2026年8月13日

私たちが日常的に耳にする「燃料油」とは、原油を蒸留して得られるさまざまな成分(分留分)の総称です。これらは、比較的軽い成分である蒸留燃料油と、蒸留後に残る重い成分である残留燃料油に大別されます。用途は多岐にわたり、家庭用暖房から巨大な船舶の動力源まで、現代社会のエネルギー基盤を支えています。

化学的な視点で見ると、燃料油はアルカン、シクロアルカン、芳香族などの長鎖炭化水素で構成されています。プロパンやガソリンのような低沸点分子は蒸留の初期段階で取り除かれますが、ディーゼル燃料や潤滑油などの重い成分は揮発性が低いため、ゆっくりと抽出されます。

HAZMAT class 3 fuel oil

Key Facts

  • 定義:原油の蒸留で得られる液体燃料で、主に加熱用(ボイラー等)や動力用(エンジン等)に使用される。
  • 分類:軽い「蒸留分」と重い「残留分」に分かれ、後者は粘度が高く加熱が必要な場合がある。
  • 環境負荷:特に残留燃料油は燃焼時の硫黄酸化物や微粒子の排出量が多く、健康被害の原因となる。
  • 国際規制:IMO(国際海事機関)により、船舶燃料の硫黄分含有量に厳しい上限が設けられている。

燃料油の特性と実用上の課題

燃料油は、その粘度や揮発性によって使い分けられます。特に「No.6燃料油」に代表される高粘度の残留燃料油は、常温ではタール状の半固体になることがあるため、取り扱いには高度な設備が必要です。例えば、貯蔵時に約38°Cに保ち、ポンプで輸送する際には65〜120°Cまで加熱しなければなりません。

A sample of residual fuel oil

このような高粘度燃料を、低温のまま無理にポンプで送ろうとすると、燃料ラインや炉などの設備を損傷させるリスクがあります。そのため、燃料の特性に合わせた精密なエンジニアリングが不可欠です。

用途の変遷と環境への取り組み

かつて残留燃料油は、蒸気機関車や蒸気船、産業用ボイラーの主役でした。しかし、現在ではディーゼル車や電気鉄道への移行、また天然ガスや低汚染の暖房油への切り替えが進んでいます。

Fuel oil truck making a delivery in North Carolina, 1945

例えばニューヨーク市では、かつて建物で使用されていたNo.4およびNo.6燃料油が、市内のすす汚染の大部分(約86%)を占めていたことが判明しました。これを受けて、健康被害を防ぐための環境計画「PlaNYC」が策定され、2015年末までにNo.6燃料油の使用は完全に廃止されました。

発電分野でも同様の傾向が見られます。米国では1973年に発電量の16.8%を占めていた残留燃料油ですが、2005年には石油系燃料全体でわずか3%まで減少しました。これは天然ガスとの価格競争に加え、二酸化炭素排出量の多さや、燃焼後のメンテナンスコストが課題となったためです。

船舶燃料(バンカー油)と国際基準

海運業界では、船舶に燃料を補給することを「バンカリング」と呼びます。ここで使用される燃料は、ISO 8217という国際規格によって厳格に管理されています。

An oil tanker taking on fuel, or "bunkering"

船舶燃料は、蒸留分のみで作られるMGO(マリンガスオイル)から、ほぼ純粋な残留油であるHFO(ヘビーフューエルオイル)まで、粘度と密度に応じて分類されます。特に密度は重要で、遠心分離機を用いて水分や不純物を除去するため、水と明確に密度の差がある必要があります。

A fuel station in Zigui County on the Yangtze River

硫黄分規制の強化

船舶からの排出ガスに含まれる硫黄酸化物は、深刻な健康被害をもたらします。IMO(国際海事機関)は2020年1月より、外洋での硫黄分上限を0.5%に引き下げました。また、排出規制海域(ECA)ではさらに厳しい0.1%という基準が適用されています。これにより、従来の重油から低硫黄燃料への転換や、排ガス洗浄装置(スクラバー)の設置が進んでいます。

燃料油の分類まとめ

主要な燃料油の分類と特性
名称(米国基準等) タイプ 主な用途・特徴 炭素鎖長(目安)
No.1 燃料油 蒸留分 灯油、ジェット燃料 9-16
No.2 燃料油 蒸留分 道路用ディーゼル、MGO 10-20
No.4 燃料油 混合分 中間燃料油(IFO) 12-70
No.5 燃料油 残留分 重油、バンカーB 12-70
No.6 燃料油 残留分 船舶用重油、バンカーC 20-70

Frequently Asked Questions

残留燃料油が健康に悪い理由は?

残留燃料油は精製度が低く、燃焼時に大量の硫黄酸化物や微小粒子状物質を排出するためです。これらは肺がんや心血管疾患、子供の喘息などの深刻な健康被害を引き起こす要因となります。

船舶燃料の「バンカー油」とは具体的に何を指しますか?

船舶に補給される燃料の総称です。軽い蒸留燃料(MGOなど)から、非常に粘度の高い重油(HFOなど)まで含まれます。現在は環境規制により、低硫黄燃料への移行が進んでいます。

なぜ重油(No.6など)は加熱して使用するのですか?

非常に粘度が高く、常温ではドロドロとした状態(あるいは半固体)であるためです。適切にポンプで輸送し、バーナーで霧状に噴霧して燃焼させるには、一定の温度まで加熱して流動性を高める必要があります。

ISO 8217規格の役割は何ですか?

船舶用燃料の品質を世界的に統一するための規格です。粘度、密度、硫黄分、水分量などの制限値を定めており、エンジンの故障を防ぎ、環境負荷を低減させる役割を担っています。

海運による大気汚染の影響を強く受けている地域はどこですか?

主要な航路に面した国々です。特に中国、日本、イギリス、インドネシア、ドイツなどで影響が大きく、台湾やマレーシアなどの国では、輸送部門による大気汚染死における船舶の割合が非常に高い傾向にあります。

References

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