1958年にリリースされ、世界的なヒットを記録した「Everybody Loves a Lover」。明るく軽快なメロディで知られるこの楽曲は、アメリカのポップス黄金時代を象徴する一曲です。特にドリス・デイによる歌唱バージョンは、彼女の透明感のある歌声と楽曲のチャーミングな雰囲気が完璧に融合し、多くのリスナーを魅了しました。
Key Facts
- リリース年: 1958年(ドリス・デイ版)
- 作詞・作曲: リチャード・アドラー(作詞)、ロバート・アレン(作曲)
- 主要チャート成績: Billboard Hot 100で14位を記録
- 音楽的特徴: ドリス・デイ版ではオーバーダビングによるカウンターポイント(対位法)的なデュエットが導入されている
- 後世への影響: 1962年にはザ・シャイレルズがR&Bスタイルでカバーしヒットさせた
楽曲の誕生秘話と制作背景
この曲のインスピレーションは、意外なところから生まれました。作詞者のリチャード・アドラーが、自身の弁護士から「世界中の誰もが恋している人を愛するものだ(All the world loves a lover)」という言葉を聞いたことがきっかけです。なお、この言葉はシェイクスピアのものとされていましたが、実際にはラルフ・ウォルド・エマーソンの言葉であったと言われています。
ニューヨークで急いで書き上げられたこの曲は、その後ロサンゼルスでドリス・デイに提案されました。当時、デイは新しい「ノベルティ・ソング(奇抜で楽しい楽曲)」を探しており、彼女のマネージャー兼夫であるマーティ・メルチャーや、コロンビア・レコードのミッチ・ミラーもこの曲のヒットの可能性を確信していました。
しかし、レコーディングに至るまでには権利を巡る駆け引きがありました。メルチャーは、自身の出版会社「Artists Music」に著作権を譲渡することを条件に提示しましたが、作曲者のロバート・アレンがこれを拒否。最終的に、権利譲渡なしでレコーディングを行うことで合意に至りました。
ドリス・デイによる名演とチャートの記録
1958年5月、プロデューサーのフランク・デヴォルとドラマーのエール・パーマーを迎えてレコーディングが行われました。同年7月21日にBillboardチャートに登場すると、Disk Jockeyチャートで6位、Best Sellerチャートで17位、そして総合的なHot 100では14位という好成績を収めました。
音楽的な見どころは、第3節の構成にあります。オーバーダビング技術を用いて、第2節の冒頭4行と第1節の冒頭4行を重ねて歌わせることで、一人二役のカウンターポイント・デュエットを実現しました。そして最後は「Pollyanna(ポリアンナ)」という言葉で美しいハーモニーと共に締めくくられています。
この曲はドリス・デイにとって米国での最後の大きなヒット曲となりましたが、その後もBBCのドラマ『Call the Midwife』のサウンドトラックに使用されるなど、時代を超えて愛され続けています。
ジャンルを超えたカバーと再解釈
1962年になると、ガールグループのザ・シャイレルズがこの曲をR&Bスタイルでカバーしました。プロデューサーのルーサー・ディクソンが手掛けたこのバージョンは、ニューオーリンズ風のシャッフルリズムを取り入れたエネルギッシュなアレンジが特徴で、チャート19位まで上昇しました。
ザ・シャイレルズの解釈は後のアーティストにも影響を与え、サンディ・ショウ(1965年)やピーチズ&ハーブ(1967年)などのカバーの雛形となりました。また、ガイ・ミッチェルやザ・エンジェルズなど、多くのポップス歌手によっても歌い継がれています。
さらに、この曲は世界各国で翻訳され、スウェーデン語、フィンランド語、フランス語、ドイツ語、スペイン語などでリリースされました。2015年には、ドリス・デイ・アニマル財団への寄付を目的としたスコット・ドレイヤーとジェーン・モンヘットによるリメイク版が制作されるなど、チャリティー活動にも貢献しています。
楽曲データまとめ
| 項目 | ドリス・デイ版 | ザ・シャイレルズ版 |
|---|---|---|
| リリース年 | 1958年 | 1962年 |
| 音楽ジャンル | 伝統的ポップス | R&B / ガールグループ |
| 主なチャート成績 | Billboard Hot 100 14位 | Billboard 19位 |
| 特徴 | 対位法的なデュエット構成 | ニューオーリンズ風シャッフル |
| レーベル | Columbia | Scepter |
Frequently Asked Questions
この曲の歌詞のインスピレーションは何ですか?
作詞者のリチャード・アドラーが弁護士から聞いた「世界中の誰もが恋している人を愛するものだ」という言葉が元になっています。この言葉はエマーソンの名言に基づいています。
ドリス・デイ版の音楽的な特徴は何ですか?
第3節において、異なるパートの歌詞を重ねて歌うオーバーダビングによるカウンターポイント(対位法)が用いられており、一人でデュエットを再現している点が非常にユニークです。
ザ・シャイレルズ版はどのようなスタイルですか?
オリジナルのポップスとは異なり、ニューオーリンズ風のシャッフル・リズムを取り入れたR&Bスタイルでアレンジされており、より躍動感のある楽曲になっています。
この曲は世界的にカバーされましたか?
はい。英語圏だけでなく、フランス、ドイツ、スペイン、スウェーデン、フィンランドなど、多くの言語に翻訳されて世界各地のアーティストによってカバーされました。
最近のリリースや活動に関連していますか?
2015年にスコット・ドレイヤーとジェーン・モンヘットがリメイクし、その収益をドリス・デイ・アニマル財団に寄付するチャリティープロジェクトが行われました。
References
- McGee, Garry (2005). Doris Day: Sentimental Journey. Jefferson NC: McFarland & Company Incorporated. pp. 33–4. .
- Scherman, Tony, Backbeat: The Earl Palmer Story, foreword by Wynton Marsalis, Smithsonian Institution Press, Washington D.C., 1999
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