テーブルトークRPGの金字塔『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』の世界観において、外層平面(Outer Planes)は単なる場所ではなく、宇宙の道徳的・精神的な本質を具現化した領域です。これらの平面は、キャラクターの信念や神々の性質、そして宇宙を支配する「秩序」と「混沌」、「善」と「悪」という対立軸に基づいて構成されています。
初期の断片的なアイデアから始まり、時代を経て洗練されてきたD&Dの宇宙論は、プレイヤーに無限の想像力と冒険の舞台を提供し続けてきました。
Key Facts
- 外層平面の起源: 1977年の雑誌『The Dragon』第8号で、ゲイリー・ガイギャックスによって初めて概念が提示された。
- 基本構造: 多くのエディションで採用されている「グレート・ホイール(大いなる輪)」モデルは、アライメント(属性)に基づいた平面の配置を特徴とする。
- 主要な構成要素: 物質平面、エーテル平面、アストラル平面、内層平面、そして外層平面の5つの領域で宇宙が構成される。
- 変遷: 第4版では「世界軸(World Axis)」という全く異なる宇宙論が導入されたが、第5版で再びグレート・ホイールに近い形式へと回帰した。
外層平面の変遷と出版の歴史
D&Dの宇宙論は、固定されたルールではなく、版を重ねるごとに拡張・再定義されてきました。1977年の初出時、外層平面は16の領域として定義され、天国のような「高次平面」から地獄のような「低次平面」までが分類されていました。その後、1978年の『プレイヤーズ・ハンドブック』や1980年の『神々と半神』を通じて、これらの概念はより具体的に肉付けされていきました。
1980年代後半になると、ジェフ・グラブらの設計により、宇宙の構造が体系化されます。1987年の『Manual of the Planes』では、宇宙を5つの主要エリア(物質、エーテル、アストラル、内層、外層)に分けるスキーマが確立されました。この構造は、細かな調整こそあれ、最新の第5版に至るまでD&Dの根幹を成しています。
1994年に登場したキャンペーン設定『Planescape(プレーンスケープ)』は、マルチバースの複雑さを極限まで高め、平面間の移動に新たな視点をもたらしました。その後、第3版ではDM(ダンジョンマスター)が柔軟に設定を選べるモジュール方式が採用され、第4版では「世界軸」モデルへと大胆に転換されました。しかし、第5版では再び伝統的なグレート・ホイールモデルが中心となり、多くのファンに親しまれる形式に戻っています。

標準的な宇宙論とアライメントの構造
D&Dの標準的な宇宙論では、外層平面はアライメント(属性)の地図のように配置されています。中心にある「アウトランズ(中立の地)」から外側に向かって、善・悪、秩序・混沌の度合いに応じた平面が広がっています。例えば、絶対的な秩序にして善なる「セレスティア山」や、絶対的な混沌にして悪なる「アビス(深淵)」などがその代表です。
これらの平面は、そこに住まう種族や神々の性質を決定づけます。秩序ある機械的な存在であるモドロンはメカナスに、破壊的なデーモンたちはアビスに君臨しています。
| 平面名 | アライメント(属性) | 主な住民・特徴 |
|---|---|---|
| セレスティア山 | 秩序にして善 | アーコン、デヴァ、善なる神々 |
| アビス(深淵) | 混沌にして悪 | タナリ(デーモン)、深淵の君主 |
| バートール(九層地獄) | 秩序にして悪 | バアゼズ(デビル)、ティアマト |
| メカナス | 絶対的な秩序 | モドロン、不可避者(イネヴィタブル) |
| リンボ | 絶対的な混沌 | スラード、ギスゼライ |
| アウトランズ | 真なる中立 | リルマニ、中立の神々 |
キャンペーン設定による宇宙論の違い
フォーゴトン・レルム
フォーゴトン・レルムでは、第4版の移行期に多くの領域が「アストラル海」や「エレメンタル・カオス」へと再配置されました。もともとこの設定で検討されていた天界の構想が、後の第4版全体の「世界軸」モデルのベースになったと言われています。
エベロン
エベロンの宇宙論は、標準的なD&Dとは大きく異なります。ここでは「ダーンヴィ(完璧なる秩序)」や「ダル・クオール(夢の領域)」など、固有の性質を持つ平面が存在します。魔法の増幅や阻害といった特殊なルールが平面ごとに設定されており、戦略的な旅が求められます。
Frequently Asked Questions
外層平面と内層平面の違いは何ですか?
内層平面は火、水、空気、土といった「物質的な要素」を司る領域であるのに対し、外層平面は「精神的な信念や道徳(アライメント)」を具現化した領域であるという違いがあります。
グレート・ホイールモデルとはどのようなものですか?
宇宙の中心に中立の平面を置き、その周囲にアライメントに基づいた各平面を円環状に配置したモデルです。これにより、属性が近い平面同士が隣接し、対立する属性の平面が反対側に位置する構造になっています。
第4版の「世界軸」モデルでは何が変わりましたか?
伝統的な円環構造を捨て、アストラル海を中心とした異なる配置へと変更されました。これにより、平面間の地理的関係や移動方法が根本的に書き換えられました。
外層平面に住む住民はどのような存在ですか?
その平面の属性を体現した存在が住んでいます。例えば、秩序にして善なる平面には天使のような存在が、混沌にして悪なる平面にはデーモンが住んでおり、彼らはしばしば自身の信念を巡って激しい争いを繰り広げています。
References
- Appelcline, Shannon. "Manual of the Planes (1e) | Product History". Dungeon Masters Guild. Retrieved September 8, 2021.
- (July 1977). "Planes: The Concepts of Spatial, Temporal and Physical Relationships in D&D". . Vol. I, no. 8. . p. 4.
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