視覚的なアプローチで知識を伝えるスタイルで世界的に知られるDK社。その歩みは、単なる書籍の出版にとどまらず、業界の再編や大胆な挑戦、そして戦略的な合併の歴史でもあります。ロンドンの小さなブックパッカーから始まり、世界的なメディアグループの一翼を担うまで、DK社がどのように進化してきたのかを紐解きます。
主要な事実(Key Facts)
- 1974年にクリストファー・ドーリングとピーター・キンダーズリーによってロンドンで設立。
- 1988年に象徴的な「アイウィットネス(Eyewitness)」シリーズを刊行。
- 1991年に米国市場へ進出し、同年にマイクロソフト社が株式の26%を取得。
- 現在はベルテルスマン社の完全子会社として運営されている。
創業から拡大期へ:視覚的出版の確立
DK社の原点は1974年、ロンドンでブックパッカー(出版社にコンテンツを企画・制作して提供する業者)としてスタートしたことにあります。創業者はクリストファー・ドーリングとピーター・キンダーズリーの2名でした。英国での出版社としての第一歩は、英国のボランティア医療サービス向けに制作された『First Aid Manual』の刊行でした。
その後、1988年には同社の代名詞となる「アイウィットネス」シリーズを世に送り出し、視覚的な情報提示という独自の地位を確立します。1991年には活動の場をアメリカ合衆国へと広げ、同時にテクノロジー大手であるマイクロソフト社が資本参加(26%の株式取得)を果たしました。
1996年には、Orchard Booksからニール・ポーター、リチャード・ジャクソン、メラニー・クルーパの3名を迎え入れ、新インプリント(出版社内のブランド)である「DK Ink」を立ち上げます。この際、Grolier社との間で法的な争いとなりましたが、最終的に和解に至っています。

危機の克服と組織の変遷
順調に見えたDK社でしたが、1999年に大きな転機を迎えます。『スター・ウォーズ』関連書籍の需要を過大に見積もった結果、数百万冊という膨大な在庫を抱えることとなり、深刻な債務問題に直面しました。
この経営危機を受け、2000年にメディア企業であるピアソン plc(Pearson plc)による買収が行われ、ペンギン・グループの一員となりました。なお、買収後も『スター・ウォーズ』関連書籍の販売は継続されました。
グローバルメディアグループへの統合
2013年、出版業界の巨大な再編が起こります。ベルテルスマン社とピアソン社が合併し、「ペンギン・ランダムハウス」が誕生しました。設立当初の出資比率はベルテルスマン社が53%、ピアソン社が47%となっており、DK社はこの新体制下のペンギン部門に組み込まれました。
その後、資本関係は段階的に移行します。2017年7月にピアソン社が保有株の22%をベルテルスマン社に売却し、2019年12月には残りの25%もすべてベルテルスマン社が取得しました。これにより、DK社はベルテルスマン社の完全子会社となりました。また、2019年にはPrima GamesをAsteri Holdingsへ売却しています。
DK社の沿革まとめ
| 年 | 出来事 | 詳細 |
|---|---|---|
| 1974年 | 創業 | ロンドンでブックパッカーとして設立 |
| 1988年 | シリーズ展開 | 「アイウィットネス」初の書籍を出版 |
| 1991年 | 米国進出・資本提携 | 米国での出版開始およびマイクロソフト社の出資 |
| 2000年 | 親会社の変更 | ピアソン plcによる買収、ペンギン・グループへ |
| 2013年 | 合併 | ペンギン・ランダムハウスの設立 |
| 2019年 | 完全子会社化 | ベルテルスマン社が全株式を取得 |
Frequently Asked Questions
DK社はいつ、誰によって設立されましたか?
1974年に、クリストファー・ドーリングとピーター・キンダーズリーの2名によってロンドンで設立されました。
「アイウィットネス」シリーズはいつ始まりましたか?
1988年に最初の書籍が出版され、同社の代表的なシリーズとなりました。
過去にどのような経営危機がありましたか?
1999年に『スター・ウォーズ』関連書籍の市場予測を誤り、大量の未販売在庫を抱えたことで深刻な負債を抱えました。
現在の親会社はどこですか?
2019年にピアソン社が保有していた株式をすべて取得したベルテルスマン社が、現在の親会社(完全親会社)です。
マイクロソフト社はDK社とどのような関係でしたか?
1991年にDK社の株式の26%を取得し、資本提携を行っていました。